先行子操作で問題行動を一旦凌ぐ、ABA自閉症療育の問題対応方法の1つ(ABA自閉症療育テクニック14)

私はABA自閉症療育、いや、ABAでなくとも自閉症の療育は大きく分けると2つのことを並行して行なって行く必要があると考えています。


1つ目は「習得が充分でないスキルの獲得・促進と遅れている能力の促進」です。

例えばお友達と上手に遊ぶことができないお子様の場合「上手に遊ぶことができない」ということを分析してターゲット行動へと昇華し、その子に合わせた必要なスキル、例えば「順番を守る」とか「負けてもキレない」とか「応援する」などを教えて行きます。

他には言葉の発達が遅れていて周りの言っていることの理解が難しい、周囲の刺激に注意散漫になってしまって注目できておらずスキルが発揮できないなどの場合はその能力は遅れている可能性があると考え、促進が必要です。

療育場面で「できない」となると全てでは有りませんが日常場面でできる可能性は高いとは言えないと思うので、療育場面でできたことを日常場面でできるように般化を狙って行くイメージがあります。

そのため、まず療育場面でできるように練習をする必要があるでしょう。


そして2つ目が「今、ご家庭内や園・学校で生じている問題行動への対応」があります。

例えば「癇癪」や「泣き」、「暴力(攻撃行動)」や「偏食」などご家庭やお子様を取り巻く環境内で生じている行動問題によって、お子様もかもしれませんが周囲の人が困っていることへの対応です。


Enせんせい

本ブログページでは2つ目の「今、ご家庭内や園・学校で生じている問題行動への対応」に焦点を当てて書いて行きます


個人的に思っているのは、本ブログページテーマの2つ目「今、ご家庭内や園・学校で生じている問題行動への対応」も大きく分けると2つに分けて考えることが可能です。

その2つの対応とは「結果操作(けっかそうさ)」「先行子操作(せんこうしそうさ)」になります。


私のイメージだと「結果操作」は時間がかかるものの根本解決に至る問題解決方法です。

「代替行動(だいたいこうどう)の獲得」というキーワードを聞いたことがあるでしょうか?

結果操作は「代替行動の獲得」を狙う介入になります。

ABAで問題行動を扱うとき「代替行動の獲得(結果操作での介入)」は超王道の解決方法です。


対して「先行子操作」は?

「先行子操作」はハマれば一瞬で問題行動を消滅させることが可能な場合があります。

しかし「先行子操作」では問題解決までのスピードが「結果操作」と比べて速い、という特徴があるものの、基本的には根本の解決には至らないことも多い、ということは覚えておきましょう。


まとめるとこんな感じ、今日の主題は先行子操作です

ここまでをまとめると上のイラストのようになります。


本ブログページはブログタイトルにあるように「先行子操作」について書いて行きましょう。

本ブログページから、イラスト中の「先行子操作」について知っていくことで、明日からのABA自閉症療育の活動に生かしていってもらえれば幸いです。


また今回「ABA自閉症療育テクニック」の章で「先行子操作」を書いていますが、過去に他の章でも「結果操作」や「先行子操作」について解説したページもございますので、興味のある方は検索窓に「結果操作」や「先行子操作」というキーワードを入れて検索してみてください。



先行子操作とは何か、簡易解説

まず最初に「先行子操作」について簡単に解説をします。


Raymond .G .Miltenberger (2001)によれば、

先行子操作とは望ましい行動を生起させたり、望ましい行動の妨げとなる望ましくない行動を減らすために、物理的環境や社会的環境の何らかの要素を操作する方法です。


ABAでは行動は「行動の前の状況」と「行動のあとの結果」によって引き起こされると考えるのですが、

先行子操作では「行動の前の状況」をコントロールすることで行動を変化させることを狙います。

※ 「ABAでは」と書きましたが「ABAのオペラント条件付けによる行動は」です。レスポンデント条件付けによる行動はまた違うので注意しましょう


オペラント条件付けの基本ユニット

上のイラストは「行動の前の状況(A:Antecedent、先行状況)」「行動」、「行動のあとの結果(Consequence、結果)」「行動」を挟み、行動を見るABAの基本ユニットを記載したイラストです。


それぞれのユニットについての詳しい説明は「(ABA自閉症療育の基礎16)オペラント条件付けの基本ユニット(https://en-tomo.com/2020/08/07/operant-basic-unit/)」にてご紹介をしていますが、

本ブログページでご紹介する「先行子操作」は行動の前の状況をコントロールすることで行動を変化させることを狙うため「行動の前の状況(A:Antecedent、先行状況)」の中にある、


「SD(Discrimination stimulus):弁別刺激」


もしくは、


「EO(Establish operation):確立操作」


を利用することで行動変化を狙うアプローチと言えます。

以下のイラストのところです。


「行動の前の状況(A:Antecedent、先行状況)」「SD(Discrimination stimulus):弁別刺激」「EO(Establish operation):確立操作」ココのところです

以下、それぞれ「弁別刺激」と「確立操作」を使って先行子操作を用いて問題行動を扱う仮想事例を見て行き、どういった方法でアプローチが取れそうか考えて行きましょう。



「弁別刺激」を利用した「先行子操作」

「弁別刺激」を考えるとき、イメージしやすい考え方としては、「五感」から入ってくる感覚を考えてください。

五感とは「視覚」「聴覚」「臭覚」「味覚」「触覚」です。


正しくは五感以外の「バランス感覚」や「頭の中に浮かんでくるイメージや言葉」なども弁別刺激と捉え扱うため「五感から入ってきた刺激 = 弁別刺激」は誤りではあるのですが、

一旦『「弁別刺激」は「視覚」「聴覚」「臭覚」「味覚」「触覚」を通して入ってくる刺激である』と考えてください。

その方がわかりやすいでしょう。


例えば「お腹減ったな、ラーメン食べたいな」と思ったとき「そこにコンビニがある」、「目の前にラーメン屋さんがある」、「家に調理器具と袋麺が揃っている」などの「視覚」で捉えられる刺激が無ければ、「ラーメンを食べる」という行動は起こりません。


Enせんせい

弁別刺激について正しく定義したものとは少し違いますが、この考え方が大切です


また大きな音が嫌いな人がいて「工事現場」や「車のクラクション」など「聴覚」で捉えられる刺激が無ければ耳塞ぎなどの行動も生じにくいでしょう。


もしお子様が何か問題行動を起こしているとき、その問題行動が生じるきっかけを探すようにしてください。

その直接的な「きっかけ」が「弁別刺激」です。


「弁別刺激」はほとんどの場合「視覚」か「聴覚」から入ってくる刺激に反応して行動のきっかけになっていると思います。

「視覚」か「聴覚」以外、「嗅覚(匂い)」や「触覚(下の上に転がる味覚や手触り)」などもきっかけとなりますが「視覚」か「聴覚」から入ってくる刺激と比べると少ない印象です。

「弁別刺激」を用いた「先行子操作」介入では、そのきっかけに変化を与えることで行動が生じないよう戦略を立てて療育をして行きます。


「視覚刺激」の弁別刺激に対する「先行子操作」

例えば「スーパーに行くとお菓子を買ってくれとお願いしてきて、買わないと癇癪を起こす」お子様がいたとしましょう。

「スーパーに行ってお菓子を見ること」ことのお願いが「それこそが癇癪行動」のきっかけだったとします。


1つの戦略は?

どういったものでしょうか?


「スーパーに行ってお菓子を見せない」 = 「スーパーに連れて行かない」です。

極端に見えるかもしれませんがこれも立派な戦略となります。


他には?


電気のスイッチをパチパチと操作して「暗い」「明るい」と部屋の照明を切り替えることを繰り返すお子様がいたとしましょう。

「電気のスイッチを見る」ことが「スイッチをパチパチする行動」のきっかけだったとします。


この場合は「スーパー」の例のように簡単に視覚刺激(例では電気のスイッチ)は消すことができませんね?

電気のスイッチを消すとなった場合、例えばリモコンで明暗をコントロールできる照明に変えてリモコンを隠し、且つ工事をしてスイッチを無くす、少なくともスイッチによって照明の明暗は切り替わらないようにする、ということが必要になってきてとてもコストがかかります。


このような場合はどうでしょうか?


例えば1つの戦略はスイッチを動かないようにテープで固定し、触ってもお子様の力では動かない(パチっと切り替わらない)ようにすることです。

このこともコストがかかると思われるかもしれませんが工事をする等と比べるとコストは低いように思います。


Enせんせい

ここまで「視覚刺激」についての「弁別刺激」を扱った「先行子操作」についてご紹介して行きましたが、

「聴覚刺激」についてはどうでしょうか?


ここまで例にしてきた「視覚刺激」はスーパー、スイッチとこちら側でコントロールできるものでした。

次は「聴覚刺激」について考えてみましょう。


「聴覚刺激」の弁別刺激に対する「先行子操作」

こちら側でコントロールできる「聴覚刺激」については例えば「通園する通りで行なっている工事音」などがあるでしょう。

通園する際に工事が行われていて、いつもではないが、タイミングによっては工事のドリルなどの音がして、それがきっかけでパニックになってしまいそのあと1日の活動に支障が出て困っている。


これを「弁別刺激」を用いた「先行子操作」で考える場合はどうでしょうか?

この場合、問題行動(例ではパニック)が引き起こされるきっかけは「工事音」です。


実は戦略は単純で、


工事音が聞こえないルートで通園する


 などです。


Enせんせい

1点、注意点としてはここまで「スーパー」、「電気のスイッチ」、「工事音」を例に出してご紹介してきましたが、

「電気のスイッチ」は少しイレギュラーかと思うので解説を追記させてください


ここまで例として出して来た方法では「スーパー」、「工事音」ではそもそも問題行動を引き起こす刺激に触れない(近づかない)ため、問題行動が生じない、という結果を招く可能性が高いです。

しかし「電気のスイッチ」については部屋にあり、目に見えています。

そのため状況が違うでしょう。

お子様側から見れば「目の前にあるスイッチが今まで押せていたにも関わらず押せない」となるため、お子様の行動は「消去」の過程に入る可能性があります。


「消去」の過程に入ると、「消去バースト」という事象が生じる可能性があるのですが、もし「お子様が行動しても変化がないようにする」形で「弁別刺激」を用いた「先行子操作」を行う場合は以下の、

「(ABA自閉症療育の基礎77)問題行動が発展し悪化するプロセスー消去バーストとシェイピング(https://en-tomo.com/2021/02/11/aba-problem-behavior/)」の内容を知っておきましょう。


「(ABA自閉症療育の基礎77)問題行動が発展し悪化するプロセスー消去バーストとシェイピング」のサムネイル

消去バーストが生じ誤って、お子様が癇癪や泣きなどを起こしてしまったときに行動を強化してしまえば(例えば「わかったよ!」と言って電気スイッチのテープを剥がすなど)、状況はさらに悪くなってしまう可能性があります。


またここまで見てもらって、


お母様

いや私仕事帰りに保育園に子どもを迎えに行って、そのまま帰りスーパーに行かないと晩御飯の準備できひんからその方法、無理や


と思った方もいるかもしれません。


このご意見は大切です。

ご家族全体の生活を考えることは大切ですから、その場合は他の方法を考えれば良いと思います。


しかしこの場合でも例えば「週末に買い溜めしておく」とか「ネットで食品を買う」など他にも方法はあるでしょう?


ただやっぱり「いやいや、とは言っても生鮮食品の買い溜めは冷凍になっちゃうし嫌だし、ネットじゃなくて直接スーパーに行かないと20パーOFFとかになっているものを買うとかできないじゃない」などの意見もあるかもしれません。


Enせんせい

私は生活の中で何を優先するか、ということが大切だと思います


例えばスーパーでお菓子を見るとお願いをしてきて、買ってあげれば癇癪が起きないのであれば一旦それで問題行動を生じさせないようにし時間を持ち、その間に「結果操作」も含めて問題行動対策戦略を考える、ということも1つの正解でしょう。

※ 癇癪ののち、お菓子を買い与えるというのが問題行動も強化してしまうため最悪です


以上は「弁別刺激」を用いた「先行子操作」の介入例となります。

少し極端な方法に聞こえたかもしれませんが「スーパーに連れて行かない」「スイッチが動かないよう改造する」「そもそも音の聞こえる場所を通らない」

なんだか当たり前なことが書かれているようで少し違和感があったかもしれませんが、困っている場合はそのようなアプローチを試してみることも良いでしょう。


少しだけコストはかかりますが、毎日のルーティンの中に変化を付けることで生活が楽になることもあると思います。

実は私たちお子様に支援する側も習慣的に毎日意識せずにやっている生活パターンがあるでしょう。

あまり意識しないで慣習的に毎日行っている生活パターンのルーティンに小さな変化を起こし、問題行動が生じないようアプローチして行く、そのようなところから始めても良いと思います。


次は「確立操作」を用いた「先行子操作」の介入例を見て行きましょう。



「確立操作」を利用した「先行子操作」

「弁別刺激」が五感から入ってくる刺激に反応して行動を引き起こすものなのだとすれば「確立操作」を用いた介入はどのように行えば良いでしょうか?


上でも書きましたが、例えば「お腹減ったな、ラーメン食べたいな」と思ったとき「そこにコンビニがある」、「目の前にラーメン屋さんがある」、「家に調理器具と袋麺が揃っている」などの「視覚」で捉えられる刺激が無ければ、「ラーメンを食べる」という行動は起こりません。

しかし「そこにコンビニがある」、「目の前にラーメン屋さんがある」、「家に調理器具と袋麺が揃っている」などの「視覚」で捉えられる刺激があったとしても、「既に満腹」であれば「ラーメンを食べる」という行動は起こりにくいです。


「当たり前や!」と思うかもしれませんが、このことを療育に利用します

Enせんせい

「確立操作」を用いた「先行子操作」ではこのことを利用して戦略を組み立てます


例えば「スーパーに行くとお菓子を買ってくれとお願いしてきて、買わないと癇癪を起こす」お子様の例を上で出しました。

「スーパーに行ってお菓子を見ること」ことが「お願い、そして癇癪行動」のきっかけだったとします。


ここまでご紹介してきた「弁別刺激」を用いた「先行子操作」で考えられる1つの戦略は、


「スーパーに行ってお菓子を見せない」 = 「スーパーに連れて行かない」でした。


「確立操作」を用いた場合は?


・ 既に満腹な状態で連れていく(もしくは少し空腹が解消された状態で連れていく)

・ 買って欲しいお菓子をカバンに仕込んでおき見せ、「それあるから家帰ってから食べよ」という


など「お菓子を買って欲しい欲求がある程度(少なくとも少しは)満たされる」状態を作ります。


小野 浩一 (2005) は確立操作について、特定の行動が起きるときの生態の状態を決定するような環境変化である。

この環境は直接行動を誘発したり、行動のきっかけになるものではないが、行動の頻度を変え、後続する環境変化(※ 強化や罰のこと)の行動に及ぼす効力を変える重要なものであると述べました。


小野 浩一 (2005) が述べているように「確立操作」は「行動のきっかけになるものではない」のですが、

私は「確立操作」とは行動のきっかけがあったときに、行動が自発されるかどうか決定する要因であると考えています。

ちなみにこうどうのきっかけは上で説明してきた「弁別刺激」です。


「確立操作」には動機付けに関わるいくつかの種類があるのですが、本ブログページでは2つ覚えておきましょう。


それは、


・ 遮断化(しゃだんか)

・ 飽和化(ほうわか)


の2つです。


Enせんせい

この2つを知っているだけでもABA自閉症療育で充分使えます


「遮断化」はお子様が欲しい物や事が手に入る行動のきっかけ(弁別刺激)があったとき、それが現在足りない状態である場合、行動が出現しやすくなる現象です。

例えば上の例であればスーパーで欲しいお菓子があったとき、先週は旅行に言っていたため普段は週に3回そのお菓子を食べていたにもかかわらず今週は食べていない(お菓子が足りていない)状態であると遮断化がかかり、普段よりもお菓子を買って欲しいために取る行動は強力になるでしょう。


「遮断化」は行動を引き起こすことに利用できるので、例えば『「ちょうだい」と言葉で言うことを教える』などの場合に利用できます。

今回は「今、ご家庭内や園・学校で生じている問題行動への対応」についてのブログページのため「遮断化」の出番はあまりありません。

理由は、問題行動は抑制したいことがほとんどだからです。

しかし行動を引き起こしたい「習得が充分でないスキルの獲得・促進と遅れている能力の促進」を狙う際には「遮断化」は強力なツールとなります。


今回は「今、ご家庭内や園・学校で生じている問題行動への対応」についてのブログページですので「飽和化」が優秀な確立操作ギミックです。

「遮断化」はお子様が欲しい物や事が手に入る行動のきっかけ(弁別刺激)があったとき、それが現在既に充分な状態である場合、行動が抑制されやすくなる現象です。

上でラーメンの例を出しましたが、もう一度ご覧ください。


例えば「お腹減ったな、ラーメン食べたいな」と思ったとき「そこにコンビニがある」、「目の前にラーメン屋さんがある」、「家に調理器具と袋麺が揃っている」などの「視覚」で捉えられる刺激が無ければ、「ラーメンを食べる」という行動は起こりません。

しかし「そこにコンビニがある」、「目の前にラーメン屋さんがある」、「家に調理器具と袋麺が揃っている」などの「視覚」で捉えられる刺激があったとしても、「既に満腹」であれば「ラーメンを食べる」という行動は起こりにくいです。


上、オレンジ欄内容の下段、赤文字の部分は「飽和化」によって生じる現象です。


問題行動の対応に「飽和化」は使えるので覚えておきたい

「空腹」はイメージしやすいと思いますが、他にも「注目」も飽和化させることが可能でしょう。


例えば「相手の注目を引くために問題行動を起こす」ということは、あり得ます。

注目に遮断化がかかった(ちょっと暇になる、相手して欲しい欲求が高まる)タイミングで、自傷行為を行うお子様がいたとしましょう。


多分、このことで困っている場合は、


自傷行為が生じる → 「やめなさい」などと関わる


このようなことを日頃の関わりとして行っているかもしれません。

これは大人から見れば「やめなさい」という注意・叱咤を行っているため、お子様から見れば「不快な結果」を大人は与えているように感じるのすが、注目してほしいことの欲求が遮断された状態の子どもにとっては、注意・叱咤も強化子と成り得る可能性があるため要注意です。


「飽和化」を利用するとなるとどういった活用法があるでしょうか?

例えば、


「これ、楽しいね」と一緒に遊ぶなど関わりを増やす → 注目が欲しい欲求に遮断化がかからないので「自傷行為が生じない(生じにくい)」


「飽和化」を利用するとこのような好循環を引き起こすことも可能でしょう。

普段、自傷行為が生じていない時間の関わりを増やしてお子様が自傷行為を行わなくとも充分に注目が満たされている時間を作る手続きです。


以上「確立操作」を用いた「先行子操作」の介入例でした。

「基本的には飽和化を利用する」という、少しテクニカルな内容だったかもしれません。


弁別刺激のときと違い、確立操作は生じているか、生じていないかの状態を把握することは難しいでしょう

その理由は弁別刺激は例えば「視覚刺激」であり、「聴覚刺激」であり、周囲から見ても確認しやすいからです

対して確立操作は生態の内部で生じる状態ですので、目で見ても飽和化の状態か、遮断化の状態かを確認することが難しいでしょう


少しテクニカルではありますが、是非、一度やってみてください。

ここまで「弁別刺激」と「確立操作」を用いた「先行子操作」についてご紹介をしてきました。


私は本ブログページのかなり上の方で、


「先行子操作」では問題解決までのスピードが「結果操作」と比べて速い、という特徴があるものの、基本的には根本の解決には至らない、ということが特徴的です


と書きました。

次の項で簡単に「基本的には根本の解決には至らない」理由を解説し、本ブログページをおしまいにしたいと思います。


長くなってしまって申し訳ないです・・・もう少しで終わりです


「先行子操作」が基本的には根本の解決には至らない理由

本項目では「先行子操作」が基本的には根本の解決には至らない理由を述べて行きましょう。

このことを知っていることも大切なことだと思います。


Enせんせい

項目タイトルにしていますが「基本的には」と書いているのは、

私自身100パーセントと言い切る自身がないためです


私は理論的には「先行子操作」は根本的な解決には至らないと考えているため、本項ではその理由を述べて行きます。


本ブログページでは「先行子操作」を利用した戦略の例をいくつか出してきました。

私は「先行子操作」が有用であると考えていることは本当で、大切な戦略です。

しかし「先行子操作」は根本的な解決には至らないとも考えています。

それは「先行子操作」の全てに当てはまるのですが、例えば「スーパー」の例を思い出してください。


例えば「スーパー」の例では「スーパーに行くとお菓子を買ってくれとお願いしてきて、買わないと癇癪を起こす」お子様がいました。

「スーパーに行ってお菓子を見ること」ことが「お願い、そして癇癪行動」のきっかけです。


ここまででご紹介した介入は?


・ スーパーに連れて行かない(弁別刺激)

・ 空腹を解消していく(確立操作)

・ 欲しいお菓子をあらかじめ買っておく(確立操作)


でした。

以上の戦略で問題行動が生じなければ「先行子操作」の戦略としては成立します。


ただ、


・ スーパーに連れて行かない(弁別刺激) → スーパーに連れて行ったらやっぱり問題行動は生じる

・ 空腹を解消していく(確立操作) → 普段のお腹のコンディションでスーパーに連れて行ったらやっぱり問題行動は生じる

・ 欲しいお菓子をあらかじめ買っておく(確立操作) → あらかじめ欲しいお菓子を買っておかなければやっぱり問題行動は生じる


ということが生じる可能性が高いことを忘れてはいけません。


ここまで「先行子操作」が基本的には根本の解決には至らないと述べましたが、

例えば「先行子操作」で「スーパーに連れて行かない(弁別刺激)」を行っている間に偶然、お子様の好きなアニメで「お母さんを困らせてはいけないぞ!」などのルールがたまたま入り、新しく「お母様を困らせない」という行動がルール付いて、


・ スーパーに連れて行かない(弁別刺激) → スーパーに連れて行っても問題行動は生じなくなっていた(以前と同じ状況でも、問題行動が生じないようになっていた)


ということが生じる可能性もあります。

ただ基本的にはこのようなたまたま生じるイベントはあまり無いんじゃないのかなと思うので、「先行子操作」は基本的には根本の解決には至らないと述べました。


なかなかそのような偶然のイベントはない

しかし今の事例から参考になることとしては、

一旦、先行子操作で問題行動が生じない状況を作って時間を稼ぐ、その間になんとかスーパーに連れて行ったとしてもなんとかなるような介入を計画する・行っておく

ということを狙って行うことは可能でしょう。


Enせんせい

先行子操作はそれ以上問題行動を強化しないということや、ご家族様が問題行動にあてられてストレスを抱えることがないということに貢献できると思います

これはとても大切なことです


ここまで「先行子操作」についてご紹介してきましたが、

「先行子操作」だけでなく「ルール」や「結果操作」などを使用することで以前と同じ状況であっても、同じ行動を取らないようになんとかやって行く

というのが戦略の筋としては良いでしょう。

以下ここまで見てきた問題行動の「先行子操作」以外の方法についても簡単にご紹介します。


「工事音」は?

・ 工事の音が聞こえるルートを避ける(弁別刺激) → 工事の音が聞こえたらやっぱり問題行動は生じる

この場合は「ルール」や「結果操作」を使用するのではなく「エクスポージャー」という介入方略が必要になる可能性があります。

※ ブログ内検索窓で「エクスポージャー」を検索すれば、「エクスポージャー」についてのブログ記事が出てきます


「電気のスイッチ」は?

・ 電気のスイッチがテープなどで止められて押せない状況(弁別刺激) → テープが撤去されたらやっぱり問題行動は生じる

この場合は「結果操作」によって適切な一人遊びという「代替行動」を形成する中で徐々に興味の幅を広げるのを狙っても良いかもしれません。

ただこの行動問題は実は解決までの時間がかなりかかってしまう可能性があって、少し他と比べても難易度が高い印象があります。


「注目を求めて自傷行為をする」は?

この場合はご紹介した「先行子操作」と並行して『「ねぇねぇ」と言葉で働きかける』や「肩を叩く」という行動を「代替行動」として「結果操作」の介入で教えていくことは1つの方法でしょう。


Enせんせい

どうして「電気のスイッチ」が一番、難易度が高いのでしょうか?


「電気のスイッチ」が一番、難易度が高い理由ですが、行動には「行動を行う機能(目的)」があると考えられています。


基本的には行動は4つの機能(目的)に分類でき「(1)モノや活動を手に入れたい」、「(2)人と関わりたい」、「(3)嫌なことから逃げたい」、そして他に、

「(4)自分の身体に入ってくる感覚刺激を楽しみたい/自分のルールに従いたい」という分類があって、

「電気のスイッチ」の例は「(4)自分の身体に入ってくる感覚刺激を楽しみたい/自分のルールに従いたい」である可能性が他と比べて高いからです。


この「(4)自分の身体に入ってくる感覚刺激を楽しみたい/自分のルールに従いたい」という分類に入るものは他の「行動を行う機能(目的)」と比較して介入が難しいでしょう。

他に電気のスイッチに代わる代替行動の特定が難しいです。

これがここまで出してきた例の中で「電気のスイッチ」が一番、難易度が高い理由になります。


行動の機能が4つに分類できるというのはABAを知っているひとでなくとも、療育を専門にしている人や行っている人は聞いたことがあるかもしれません。

行動の機能が何かを分析する方法を「機能分析」というのですが、その方法については今後、別の章でご紹介して行きます。

「結果操作」もそうですが、「先行子操作」においても機能分析を行った上で戦略を考える方が絶対に良いです。



さいごに

本ブログページでは「先行子操作」を扱いましたが、ABAで問題行動を扱うときは「代替行動の獲得(結果操作での介入)」が超王道の解決方法です。

本ブログページではその超王道とは違った問題行動の解決方法について書いてきました。

この超王道とは違う「先行子操作」はハマれば一瞬で問題行動を消失させることができるギミックです。


本ブログページでも書いてきましたが、王道と呼ばれる「代替行動の獲得(結果操作での介入)」に劣る個人的に思う致命的な理由は、根本の問題解決には至らないという決定的な理由がありました。

しかし私たちは毎日生活をしていて、家族の過ごす時間が日々流れていることを意識することも大切です。

「代替行動の獲得(結果操作での介入)」は基本的には時間がかかりますから、今、家族の時間の中で優先すべき事柄がある場合は、「先行子操作」を利用して時間を稼ぐことは良いでしょう。

「代替行動の獲得(結果操作での介入)」によって問題行動に対応することは、しっかりと取り組むためには時間とパワーが必要です。

「代替行動の獲得(結果操作での介入)」は「よし!やったるぞ」という気持ちである程度の期間を見て取り組んで行く必要があるでしょう。


本ブログページでは「先行子操作」について書いてきました。

「先行子操作」について書いてきましたが、個人的には問題行動に対しては基本的には並行をして、または少し遅れたタイミングでも良いので「代替行動の獲得(結果操作での介入)」も一緒に狙って行くべきという立場ではいます。

もしお子様の問題行動に困っているご家族様にとって本ブログページ「先行子操作」がABA自閉症療育のテクニックとしてお役に立てれば幸いです。



【参考文献】

・ 小野 浩一 (2005) 行動の基礎 豊かな人間理解のために 培風館

・ Raymond .G .Miltenberger (2001)Behavior Modification : Principles and Procedures / 2nd edition 【邦訳: 園山 繁樹・野呂 文行・渡部 匡隆・大石 幸二 (2006) 行動変容方入門 二瓶社】

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