2年間週25時間以上集中訓練をすると人はどう変わる?ー野球部で週25時間以上の集中訓練を受けた2年間について振り返る(ABA応用行動分析コラム43)


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ABA応用行動分析コラム43は「2年間週25時間以上集中訓練をすると人はどう変わる?ー野球部で週25時間以上の集中訓練を受けた2年間について振り返る」というタイトルで書いていきます


さて、最初になぜタイトルに「週25時間以上集中訓練」と書いたのか、この週25時間以上がどういう意味を持つのかを見て行きましょう。


ABA自閉症療育で最も有名な研究は何でしょうか?


いろいろあると思いますが私はO. Ivar Lovaas (1987)の、

「Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children」だと思います。


O. Ivar Lovaas (1987)

「(ABA自閉症療育のエビデンス2)O. Ivar Lovaas、1987年(https://en-tomo.com/2020/03/22/ivar-lovaas1987/)」でO. Ivar Lovaas (1987)の研究内容についてご紹介しているのですが、

この研究結果をざっくりと言えば、「ABA療育を行うことで、47%(19人中9人)のお子さんがプログラムを通して知的に正常域まで成長し、加えて付き添いなしで小学校の普通クラスで生活をすることできた」ということが示された研究です。


このとき私自身が注目したトピックの一つですが、最大の療育結果を受けた「47%(19人中9人)のお子さん」たちは1週間に40時間以上の集中療育を受けています。


それから時代が進み、効果的な療育に共通する要素についてKatarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008) が述べた内容があります。


Katarzyna Chawarska他 (2008) はNational Research Council (2001)というものの内容から自閉症児への効果的な介入要素は以下に集約できると述べました。


・ 自閉症が疑われればただちに介入プログラムを開始すること

・ 最低週5日、1日5時間の集中的な訓練への能動的な参加

・ 短期間用に構成された計画的指導の機会の反復利用

・ 毎日、大人からの個別的配慮を受ける

・ 親の訓練を含む家族の力の統合

・ 進行中の評価と対応する計画作成の再調整の機構

・ 以下についての指導を優先させる(a)機能的、自発的コミュニケーション(b)各設定を通じて人と関わる教示(c)仲間との交流に焦点をあてた遊びのスキル(d)新しいスキルの保全と自然的状況への般化(e)問題行動に対する機能的評価と肯定的行動の支持


O. Ivar Lovaas (1987)の1週間40時間からハードルが少し下がったように思うかもしれませんがKatarzyna Chawarska他 (2008) も週5日、1日5時間(1週間25時間)は最低それくらい必要と述べており、

これらを鑑みると効果的な療育では1週間にかなりの時間、集中したトレーニングが必要である、という内容になっています。

※ 1週間25時間で充分とは述べられていないことには注意

そして、それもできるだけ療育開始年齢は早い時期の方が良いという研究結果(参考 Helen E .Flanagan・Adrienne Perry・Nancy L .Freeman ,2012)があり、介入期間も2−3年は必要な感じです。


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私はABA自閉症療育を家庭で行うこと推進派ですが、

上のような自閉症児への効果的な介入要素へのハードルがかなり高いという事情があるため、

まずは療育を行う環境作りが大切だと思っています


「療育を行う環境作り」それは、療育時間をどう確保するか?

毎日の中で療育時間を確保するため(例えばお買い物中に教えるとか、入浴中に教えるとか)、いつどこで何を教えるか、どう生活の中に療育を取り入れるか?

などが療育を行う環境作りに含まれるでしょう。


また親御様側が受けるストレスに対するケアも必要です。

親御様自身の精神衛生上、ABA自閉症療育を行うことで生じるストレスに対応できることも大切だと思いますし、また子育てのストレスが高いことはお子様の成長にあまり良くない影響を与えるという論文もあります(参考 Lisa A. Osborne・Louise McHugh・Jo Saunders・Phil Reed, 2007)

私自身はまだスキル未取得ではありますが、特に近年では「マインドフルネス」が子育てストレスを軽減するのではないかと個人的には感じているところです(参考 Nirbhay N. Singh・Giulio E. Lancioni・Oleg N. Medvedev・Rachel E. Myers・Jeffrey Chan・Carrie L. McPherson・Monica M. Jackman・Eunjin Kim, 2018)


マインドフルネスについてJon Kabat – Zinn (1990) は会得するためのトレーニングを積むことによって「痛み」、「時間ストレス」、「対人ストレス」、「仕事ストレス」などの症状を見つめ、ありのままの自分を受け入れることができると述べました。


Jon Kabat – Zinn (1990)、友人にも紹介した良い本ですよ🎶

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そのため、私自身も今後マインドフルネスを会得して親御様に方法を伝えるなどして、貢献して行きたいと思っています


以上、いろいろ書いてきましたが海外文献の内容については「自閉症ABA療育のエビデンス(https://en-tomo.com/category/aba-autism-evidence/)」の章でご紹介してきた内容ですので、興味があれば是非ご覧ください。


さて本題に戻って私自身は上のオレンジ色で書いたKatarzyna Chawarska他 (2008) が述べたすべての要素を満たしたわけではないと思いますが、

私自身、週25時間以上の集中訓練を受けた2年間が人生の中にあります。


タイトルにもありますが野球部で私はそのような生活をしていました。

高校時代です。


本ブログはABA自閉症療育を私自身が週25時間以上、集中して受けたわけではありませんが、

「野球が上手くなる」ということを目的として2年間、週25時間以上の集中訓練を受けた結果どのような能力変化があったのかについて書いて行きます。


今回ABA自閉症療育ではありませんが2年間、週25時間以上の集中訓練を受けると人はどう変わるかについて思うところを書いて行きましょう。



私の高校までの野球遍歴

「ABAで野球のスローイングを上達させるーABA自閉症療育に使えることを学ぼう(ABA:応用行動分析コラム11)(https://en-tomo.com/2021/03/09/aba-baseball-throwing/)」

などでも少し書いたのですが私は高校時代、というより小学4年生から大学2回生まで野球をしていました。


「サイト内のキーワード検索窓」で「野球」と検索すると関連記事が他にも出てきますが、関連記事でも私が野球をやっていたことは書いています。


ABAで野球のスローイングを上達させるーABA自閉症療育に使えることを学ぼう(ABA:応用行動分析コラム11)のサムネイル

私は高校時代、かなりガチ目の野球部に所属していました。

ガチ目というのは「甲子園をガチで目指す」という意味です。

甲子園だけではなく部員の中にはプロ野球選手になることが夢の選手もいます。


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また本ブログページは「2年間週25時間以上集中訓練をすると人はどう変わる?」というタイトルになっていますが、

実際には2年以上(3年は行かない)の期間です


1年生の4月から、3年生の夏までなので実際は2年間と少しですが、

1年生の最初の数ヶ月は練習時間もちょっと短かったりする(それでも週25時間超えていたと思うが・・・)ので、その期間を除けばMAX集中訓練期間はちょうど2年間くらいとなります。


さて私は小学生の頃から野球をしていたのですが、中学校は普通の学校の軟式野球部に所属していました。

私の高校だけではないと思いますが、野球の強豪校に来る部員は一般的な普通の中学野球部に所属していた人はほとんど来ません。

地域のリーグに所属している学校の部活以外の何といったら良いのか、野球に特化したチームに所属していた人が学校のセレクションを受けたり、優遇を受けたりして入ってきます。


「軟式」と「硬式」の違いはあるものの学校の部活以外の野球に特化したチームに所属していた人が多いです。

中学生時代の私とは全く違ったルートで生きてきた人たちでした。


そう、言ってしまえば、彼らはガチガチの野球エリートなのです。

例えば大人になったとき、同期や先輩後輩がプロ野球で活躍している人で知り合いだったり、などが普通にいます。

そのような人と同じチームだったり、顔見知りだったりする人たちです。


私は中学校の普通の軟式野球部に所属していたにもかかわらず、最後の夏はレギュラーでもありませんでした。

そのような人が強豪校の野球部に入るというのはレアケースかと思います。

そのような人たちと別の人生を歩んできた人と言って良いでしょう。


しかも特に野球部に入るつもりだったかというとそういうつもりもなく、入学式の日は正直言うと「チームスポーツはもうええか、剣道でもするか」と思っていたくらいです。


さて、とは言え当時「勢い」で強豪校の野球部に入った(結果的には入って良かった)のですが、

辞めていく人も多かった中なんとか最後まで辞めずに部活動を最後までやり遂げることができました。


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いや、正直、練習はめちゃくちゃきつかったです

みんなからしたら違ったかもしれませんが、私からすればとても刺激的な2年間でした


結果としては一度もレギュラーではなかったし背番号ももらえなかったですが、

そのような運動一般人の私が野球部を通して週25時間以上、2年間集中訓練を受けるとどうなったかについて本ブログページで書いて行きましょう。


ちょっと昔を思い出しながら書いてみます


高校の野球部で週25時間以上、2年間集中訓練を受けると?

週25時間以上、2年間集中訓練を受けるということなのですが、その時間内訳はどのようなものでしょう?


まず「月曜日」は基本的にオフでした。

つまり休みです。

学校は普通にあるので、学校が終わったら帰れました。

そのため活動日は火水木金土日となります。


年末年始はお休みでした。

GWはなかったような気がします。

お盆は覚えていません。


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もう20年くらい前のことなので正確じゃないかもしれませんが、だいたいこんな感じの、以下のような時間内訳です


朝の7:30から朝練習が始まり、8:40くらいまで続く。

授業が終わってから15:30くらいから20:00くらいまで練習がある。

それが火水木金は続く。


1日の練習時間が朝練と練習を合わせると「1時間10分+4時間30分=5時間40分」です。

火水木金だけで「1時間10分+4時間30分=5時間40分×4日=22時間40分」あります。


加えて土日は日によりますが、朝からのときは8時くらいには始まっていたと思います。

昼からのときは13時くらいだったかな?

昼とか昼過ぎに終わることもあったように思いますが基本的にはお弁当を持って行っていましたので18時、19時くらいまではやります。


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もちろんグラウンドにナイターがあったので夜も灯りがついて練習ができます(涙)


ただ土日は練習試合とかもあったので1日集中訓練を受けている、とは言えないかもしれません。

火水木金だけで「1時間10分+4時間30分=5時間40分×4日=22時間40分」ありますし、土日は練習試合があっても前後にもちろん練習がありますから、

確実に1週間25時間以上の集中訓練を2年間は継続したと言えます。


高校の野球部の中では私は平均以下の能力だったでしょう。

「野球の上手さ」で言えば基本的にはレギュラー陣がトップクラス、ベンチ入りとベンチ外ぎりぎりの人が拮抗している。

たまに「なんでこの人ベンチ入れへんかったんやろ?」と思う人はいるものの、「監督の趣向生とか事情もそりゃあるよなぁ?」と大人になって思うものの、そんな感じです。


さぁ、そのような生活をすると人はどのように変わるでしょうか?

私はどうなったでしょう?


まず個人的な変化です。

個人的な変化とは入部前と入部後、誰かと比べるわけではない個人的な変化で気がついている点について書いて行きます。


・ 腹筋が割れたり、かなり身体が筋肉質になった(今はもう違うよ(笑))

・ 足が早くなった。具体的には50m走は2秒くらいタイムが縮まった(今はもう遅いよ(笑))

・ 体力がついた。10kmくらいは自分でペースをコントロールして走ることができた(今はもう無理だよ(笑))

・ ベンチプレスが50kg以上上げられるようになった(今はもうできないよ(笑))

・ 街で絡まれても最悪逃げる脚もあるし、なんかあっても腕で押し合いになってもなんとかなるかもと思える(今はもう違うよ(笑))

・ 「もう無理」と思っても、とりあえず頑張れるようになった


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上では肉体的な変化と少しの精神的な変化も書いていますが、多分精神的な変化はもっとあったと思います


例えば『「やらされている練習」をしてそうな人と「自分で考えて練習をしている人」を比べると最後の結果を見れば違う結果になるんだな』、とか「怪我って本当に人生変えるんだな」とか、「体格って大切なんだな」とか、

書ききれないほどの発見があり、その発見によって変化したことはもっと多いでしょう。


上でも書きましたが私は中学時代レギュラーではありませんでしたね?

運動神経は正直あまり良くないと思っています。

そんな私は高校の部活のメンバーと比較すると野球が上手くないのですが、中学のメンバーと比べるとどのような変化があったでしょうか?


私の中学時代、友人はスポーツができるという人が多かった印象です。

別の高校に行きましたが中学の友達にも野球エリートもいましたし、他のスポーツのエリートもいました。

そのため高校の1年の後半から3年生の半ば、約2年間はあまり中学時代の遊ぶ時間もない、私自身も帰ってくるのが遅かったですし、友達もそのような生活をしていたのでしょう。


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私は運動一般人のまま、高校で野球エリート集団の一員になってしまったわけですが、

高校野球を引退して中学の友人と遊んでいるとき、どのような発見をしたでしょうか?


中学校の頃からよく夜にみんなで集まっていた公園がありました。

中学校の頃の友人は家が近いことがあったり、当時、携帯電話も普及してきていましたから「んな、何時に◯◯公園で」って感じで、自転車に乗って公園で夜にみんなで集まっていたものです。


高校生活も終わりらへんを迎え、みんな引退し部活動が落ち着いてきて、次の進路も決まり出してきた頃、また中学のメンバーで夜に公園に集まりだします。


集まってまた遊ぶことが増えた

そしてみんなでサッカーをしたり、タッチラグビーをしたりして遊んでいました。

お昼間はその公園ではありませんが、草野球もしたりしました。


すると、


・ 中学校の友人と比べても足が早くなっていた

・ 中学校の友人と比べても体格が良くなっていた

・ 中学校の友人と比べても野球が上手くなっていた


という変化があったのです。


高校の友達と一緒にいると分からなかったのですが、中学校の頃の友達と比較したとき、明らかに変化があったと言うのが私の大きな発見でした。

そしてこれは後から気がついただけで、特に狙っていなかった結果です。


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いや、そもそも「中学校の人と比べて運動が良くなりたいから高校で野球の練習をする」というのは変でしょう?

だから結果的にそうだった、という話です


このときの経験から、

私は、人はある程度の時間数、辛いな、しんどいなと思いながらも何かに取り組み続けることを継続すれば結果がついてくる

と思うようになりました。

私は少し言い過ぎかもしれませんが「あれ、俺、思ったより凄くなっている?」という感覚を覚えたのです。

そしてこれは環境が勝手に私が意図しない中で与えた結果でした。

後期雨の野球部という環境で過ごす中で、そのような変化があったことに後から気がつきました。


冒頭に紹介したO. Ivar Lovaas (1987)の、

「Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children」では1週間に40時間以上のABA療育を受けました。

結果、47%(19人中9人)のお子さんがプログラムを通して知的に正常域まで成長し、加えて付き添いなしで小学校の普通クラスで生活をすることできました。

当時、高校生だった私と重ね合わせるのも少し違うかもしれませんが、O. Ivar Lovaas (1987)の研究に参加したお子様にとっても同じように、環境が勝手に意図しないうちに与えた結果かもしれません。


また大切なことだと思うので、あまり注目されない方の結果も書いておきます。

O. Ivar Lovaas (1987)の研究では19人中9人が知的に正常域まで成長したという結果でしたが、

残りの10人の内2人は知的にも遅れたままだったようです。


私は「人はある程度の時間数、辛いな、しんどいなと思いながらも何かに取り組み続けることを継続すれば結果がついてくる」と考えたわけなのですが、

O. Ivar Lovaas (1987)の研究で2人だった親御様はそうは言わないかもしれません。


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「一生懸命やったのに」とか「なんでうちの子は?」とか、私なら思うかも


でも、私は人は自分の人生経験を通して、ある程度の時間数、辛いな、しんどいなと思いながらも何かに取り組み続けることを継続することは大切、と、過去の経験から考えています。


ABA自閉症療育は科学的に自閉症児の療育に効果があると言われているものです。

「(ABA自閉症療育のエビデンス5)EIBI(早期集中行動介入)のメタ分析(https://en-tomo.com/2020/03/30/eibi-metaanalysis/)」

でご紹介した内容はABA自閉症療育のエビデンスを示しています。


「(ABA自閉症療育のエビデンス5)EIBI(早期集中行動介入)のメタ分析」のサムネイル

ここで紹介した論文は「メタ分析」という論文の集合群です。

ただそこには本ブログページ冒頭で記載したようにエビデンスのあるABA自閉症療育を行うには高いハードルがあるのも事実でしょう。


そして、そのハードルを越えたとしても、O. Ivar Lovaas (1987)の研究で該当した2人がいることも事実で、その2人のお子様の親御様がどのように言うか、感じるか、今、私には分かりません。

「あぁ、無駄だった」と思うのか、「やらなきゃ良かった」と言うのか?


私は高校野球をそもそも「ノリ」で始め、めちゃくちゃしんどい思いをして、最後に「あぁそういうこともあるのか(そういう結果が待っていたのか)」と、

環境変化が勝手に用意した結果によって得た自身の成長を特に中学校のときの友人と遊んだとき経験した口です。


高校ではめちゃくちゃしんどい思いをしましたが、最後まで背番号をもらえませんでした。

でも、なんだかんだ知らないうちに、長い期間集中的に訓練を受ける中で私は自分の生活環境の中の周りと比べて成長していたようです。

これだけが理由ではありませんが、私は高校野球に関してはやって良かったと思っています。

単純に好きな友達ができたり、なんだかんだ苦しい中でも楽しかったというのは大きいでしょう。


でもこの経験をO. Ivar Lovaas (1987)の研究で2人に該当した親御様と重ね合わせることは私は恐縮すぎて私にはできません。

立場も違う、自分のことと子どものこととか、なので想像ができないというのが本音です。

私には今、子どもがいません。


今、自閉症や発達に遅れのある子どもがいるとすれば、ここまでの話を聞いて、あなたは、どうでしょう?

私はわからないものの、私は想像することの努力をしようと思います。


原田 隆之 (2015) はアインシュタインの言葉を引用し、

「現在のところわれわれ人間が用いる理解の道具として科学は一番ましな道具である」

と述べました。


「一番ましな道具」という表現をふざけているように思ったかもしれません。

私は、科学は魔法とまでは呼べないないものの「最善」に近い選択肢を選ぶ1つの基準となると思っています。


私は当時もちろん「最善」を選んで高校の野球部に入ったわけではないのですが、私の人生では結果的に「最善」だったのかもしれません。

いや、・・・比較対象もないので、やはり本当のところはわからないのか?


Enせんせい

そう!本当のところは分かりません

「その時間に英語勉強しとけよー」とか「プログラミングとか未来の勉強しとけよー」などと思うこともないわけでもありません

ただ、それが「最善だったかも」と思えること

それは私にとっては悪いことではありません


私はその時期に、しんどかったけど一生懸命(というか、全力を出さないとついていけないポテンシャル)だったわけです。

そして「もう一度やれ」と言われたら「いや」ですが、「その経験を忘れさせてあげよか?」と言われても「いや」という、体験となっています。

不思議な期間、時間、体験。


ただ私がそこで学んだこと、高校野球をしているときや、その先の人生でもずっとそういう気持ちを持ち続けてこられたかと言うと違う時期もありましたが、

どういう結果になるかわからんが、今、目の前にあることを一生懸命やる

という心持ちを学べたことは大きかったです。


落ち込んだときとか、人生に迷ったときはそのように考えて仕切り直すようにしています。

ずっと継続できるほど私は強くありませんし、一時的にこの気持ちを手放してしまう期間もありますが、落ち込んだり、迷ったりしたら、いつもそこに立ち戻ることを意識している、この心持ちは私には大切なものです。


初心に帰って「頑張る」


さいごに

『「やらされている練習」をしてそうな人と「自分で考えて練習をしている人」を比べると最後の結果を見れば違う結果になるんだな』という言葉が文中出てきました。


本ブログページかなり上の方でご紹介したKatarzyna Chawarska他 (2008) の自閉症児への効果的な介入要素「最低週5日、1日5時間の集中的な訓練への能動的な参加」の中に入っている単語はそれを示しているように思います。

「最低週5日、1日5時間の集中的な訓練への能動的な参加

上の赤太文字「能動的な参加」とはまさに本ブログページ、高校野球部活で言う「自分で考えて練習をしている人」に当てはまるでしょう。


Enせんせい

結果的にやはり、そういう人は伸びたという印象を持っています


ただお子様への療育の場合「能動的な参加」は「自分で考えて練習をしている人」という表現は正しくはなく、「楽しんで参加している」、「自発的に参加している」という表現が正しいと思います。

幼児期のお子様に「意味を持って自分で考えて能動的に参加しろ!」は、自分の意志で野球がやりたくて、甲子園に行きたくて、プロになりたくて集った人たちのモチベーションの持ち方とは違うでしょう?


「(ABA自閉症療育のエビデンス14)PRISM(http://Pivotal Response Intervention for Social Motivation)(https://en-tomo.com/2020/06/07/prismpivotal-response-intervention-for-social-motivation/)」

では「PRT:Pivotal Response Treatment(機軸行動発達支援法)」の発展版「PRISM(Pivotal Response Intervention for Social Motivation)」のパイロットテストについてご紹介したのですが、

PRISMでは上手いセラピストが意識していることがまとめられています。


PRISMで紹介されている要素はお子様が楽しく自発的に取り組める工夫があって、私は大切だと思っています(参考 Ty W. Vernon・Anahita N. Holden・Amy C. Barrett・Jessica Bradshaw・Jordan A. Ko・Elizabeth S. McGarry・Erin J. Horowitz・Daina M. Tagavi・Tamsin C. German, 2019)

「楽しい!」と感じることは能動的な療育への参加を促すヒントでしょう。


お子様も能動的に参加するためにはどういったことが必要か?

PRISMはそれを教えてくれる1つの方法だと感じています。


「(ABA自閉症療育のエビデンス14)PRISM」のサムネイル

そして本ブログページの最初の方で書いていた、ABA自閉症療育の療育時間をどのように確保するか?

環境をどう整えるかです。

ある程度の療育時間の確保は現代、効果的な自閉症療育で大切なことと言われています。

時間をたくさん使うことだけでなく、精神的にも疲弊することもあると思いますので、実践するためには準備も覚悟も必要でしょう。


私自身は自分の人生の中で野球というテーマではありますが、2年間週25時間以上集中訓練を受けた期間がありました。

そしてそれを本ブログページでご紹介しました。


私にとってその期間で得たことは大切なことでした。

一般化できるものかどうかわかりませんが、ある程度の期間集中して1つのものを一生懸命に継続すると何かしらの変化が結果としてあるのではないかなと感じているところです。


あと、最後に書いておきますが、これは別に「そういう時期があったから偉い」というものでもないと思います。

皆んなそれぞれ有限な人生の使い方は違って良くて、自由で良いでしょう。


Enせんせい

だから、あった、なかった、というものではないかもしれませんが、

今回はこのような内容で書いてみたいと思い書きました


ここまで、最後まで読んでくださってありがとうございました。

また良ければTwitteから感想などを待っています!



【参考文献】

・ 原田 隆之 (2015) 心理職のためのエビデンス・ベイスド・プラクティス入門 エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」 金剛出版

・ Helen E .Flanagan・Adrienne Perry・Nancy L .Freeman (2012) Effectiveness of large-scale community-based Intensive Behavioral Intervention: A waitlist comparison study exploring outcomes and predictors. Research in Autism Spectrum Disorders 6 p673–682

・ Jon Kabat – Zinn (1990)FULL CATASTROPHE LIVING 【邦訳:春木 豊 (2007) マインドフルネスストレス低減法 北大路書房】

・ Katarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008) AUTISM SPECTRUM DISORDER IN INFANT AND TODDLERS:Diagnosis, Assessment, and Treatment 【邦訳: 竹内 謙彰・荒木 穂積 (2010) 乳幼児期の自閉症スペクトラム障害 診断・アセスメント・療育 クリエイツかもがわ】

・ Lisa A. Osborne・Louise McHugh・Jo Saunders・Phil Reed (2007)Parenting Stress Reduces the Effectiveness of Early Teaching Interventions for Autistic Spectrum Disorders. Journal of Autism and Developmental Disorders Jul;38(6):1092-103. Epub Nov 20.

・ Nirbhay N. Singh・Giulio E. Lancioni・Oleg N. Medvedev・Rachel E. Myers・Jeffrey Chan・Carrie L. McPherson・Monica M. Jackman・Eunjin Kim (2018)Comparative Effectiveness of Caregiver Training in Mindfulness-Based Positive Behavior Support (MBPBS) and Positive Behavior Support (PBS) in a Randomized Controlled Trial. Frontiers in Psychology 7

・ O. Ivar Lovaas (1987)Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 55(1) p3–9.

・ Ty W. Vernon・Anahita N. Holden・Amy C. Barrett・Jessica Bradshaw・Jordan A. Ko・Elizabeth S. McGarry・Erin J. Horowitz・Daina M. Tagavi・Tamsin C. German
(2019)A Pilot Randomized Clinical Trial of an Enhanced Pivotal Response Treatment Approach for Young Children with Autism- The PRISM Model. Journal of autism and developmental disorders, 49(6)