「自閉症とは」について自閉症の診断基準から特徴を考察、自閉症の診断基準とは?(自閉症1)

本章では「自閉症」について書いて行きましょう。

本章「自閉症」の第1ページ目、本ブログページでは「自閉症とは?」について「診断基準」からご紹介・考えて行ければと思います。


Enせんせい

あなたの中にも「自閉症像」があると思いますが、自閉症とは一体どういった症状を示すものなのでしょうか


本ブログページでは最初に「自閉症の始まり」と題して、自閉症はいつからあるものなのか?について書いて行きその後、本題の診断基準からみた自閉症について書いて行きます


「自閉症とは」とか、「ABAとは」とか、章立てるとき最初1ページ目の内容が書くとき1番悩む


自閉症の始まり

本ブログページでは以下の項から2021年現在の自閉症の診断について述べて行きますが、あなたは「自閉症」という症状がいつから認識されたかを知っていますか?

最初簡単にこのことについてご紹介をして行きます。


自閉症という症状を最初に報告したひとはアメリカの児童精神科医Leo Kanner(レオカナー)です。

発表年は1943年で第二次世界大戦の最中でした。


以下東條 吉邦 (2005) を参考にして書いて行きます。

自閉症の歴史は1943年カナーが論文で11人の症例から「情緒的接触の自閉症」を発表したことから始まりました。

カナーは翌年(1944年)に症例をさらに追加し名前を「早期幼児自閉症」へと変更しています。


ちなみに1944年オーストリアの小児科医アスペルガーも人や物への接触の狭さを主な特徴とする4症例を報告し、性格の極端な偏りとしての自閉的精神病質の概念を提唱しました。

カナーと同じように、このアスペルガーという人も有名人です(アスペルガー障がいという言葉を聞いたことがありませんか?)。


高木 隆郎 (2009) はカナー自身による自閉症の症状論をまとめています。

以下高木 隆郎 (2009) を参考にカナー自身による自閉症の症状論をみて行きましょう。


カナーは自閉症の中心症状を3つ示しました。それは、


(1) 極端な孤立性

(2) 同一性への執着

(3) 言語症状


です。


Enせんせい

以下簡単に解説して行きますが、

これらは実は現代の自閉症の診断基準とも重複する部分があります


内容を簡単に要約していくと、


「(1) 極端な孤立性」は、外界の刺激に反応せず人との情緒的接触を拒否し、人よりは写真、物体に興味を持つ


「(2) 同一性への執着」は、日課・家具の配置・儀式・行動順序など同じ状態に固執し、ステレオタイプな常同的行動があり、特定の関心ある事項に優れた記憶や知識を持っていて周囲を驚かせることがある


「(3) 言語症状」は言葉を持たないことが多い、言葉を獲得しても遅れている、言葉をおうむ返しする例えば「Yes」と言ったときも「Yes」ではなくただ言葉を繰り返しただけ、遅延性反響言語(例えば昔見たCMのフレーズを繰り返す)がある


以上のようにカナーは自閉症を捉えていたようでした。


自閉症の診断についての個人的な感想としてはカナーの時代よりも自閉症の枠組みは広がって来ており、

カナーが言ったほどの自閉症症状が見られなくとも「自閉症」という診断がつく時代になってきたのだろう、という印象を持っています。


自閉症の罹患率は近年上がって来ており、また罹患率については別のページでもご紹介しますが例えば、

Jon Baio・Lisa Wiggins・Deborah L. Christensen・Matthew J Maenner・Julie Daniels・Zachary Warren・Margaret Kurzius-Spencer・Walter Zahorodny・Cordelia Robinson Rosenberg・Tiffany White・Maureen S. Durkin・Pamela Imm・Loizos Nikolaou・Marshalyn Yeargin-Allsopp・Li-Ching Lee・Rebecca Harrington・Maya Lopez・Robert T. Fitzgerald・Amy Hewitt・Sydney Pettygrove・John N. Constantino・Alison Vehorn・Josephine Shenouda・Jennifer Hall-Lande・Kim Van Naarden Braun・Nicole F. Dowling (2018)

が行ったアメリカの大規模研究によれば2014年のデータですが、8歳時点のお子様が自閉症スペクトラムに罹っていた確率は1,000人中16.8人(59人中1人)でした。


著者めっちゃ多い。この文献はインターネットで検索すれば観覧可能です

以上の研究で(自閉症と)診断された確率は「有病率(ゆうびょうりつ):Prevalence」です。

有病率は研究によって数値が少しずつ違うのと、また国によっても数値は少し違うと思います。

※ めちゃくちゃ差があるということはないでしょう

国によって数値が少し違うと考えられる根拠ですが例えばJon Baio他 (2018) の研究中に書かれていますが上の数値はアメリカの各州の全体平均であり、アメリカ国内だけでも州によって有病率の数値は違ったからです。

アメリカ国内だけでも州によって自閉症の有病率に少し差があるのですから、国が違ったときも同じように少し差が出ると考えることは普通のことでしょう。

上の研究で示された有病率が正確な数値というよりはあくまで目安と思っていただいて、ざっくりそのくらいと捉えていただけると幸いです。


Enせんせい

しかし上の数値を見て意外にも「多い」と思ったのではないでしょうか?


自閉症は以上のように現代でめちゃくちゃにレアリティの高い疾患ではありません。

さてここからは現代の自閉症診断について見て行きましょう。



自閉症の診断名や診断基準は何に記載されているか?

心理学や福祉を仕事としている人は知っていると思いますが、「自閉症」の診断基準は「精神疾患」の診断に使用するマニュアルに記載されています。


私は心理学を仕事にしているのですが主に使用される診断基準は2つあり、

1つは「American Psychological Association(APA)」が定めた診断基準である「DSM:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(精神疾患診断・統計マニュアル)」

そしてもう1つは「World Health Organization(WHO)」が定めた「ICD:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(国際疾病分類)」

です。


DSMの方は2021年現在バージョン5、2013年に最新版が出ました。

ICDは現在バージョン11、2018年に最新版が出ています。

※ 2021年現在の情報です


発達障がいについて知識が明るい方は「アスペルガー障がい」や「広汎性発達障がい」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

しかしそれは以前のバージョンでの記載であって現在2021年では「アスペルガー障がい」、「広汎性発達障がい」という障がい名は無くなりました。

そのため今後も障がい・疾患名が無くなる、変更がかかる可能性はあるでしょう。


例えば現在、自閉症の正式な診断名「自閉症スペクトラム障がい(Autism spectrum disorder)」です。

他に自閉症に近い新しい診断基準として「社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的) コミュニケーション障害(Social(Pragmatic)Communication Disorder:SCD)」

そして「発達性言語障がい(Developmental Language Disorder:DLD)」という障がい名も追記されました。


※ 「社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的) コミュニケーション障害(Social(Pragmatic)Communication Disorder)」はDSM、

「発達性言語障がい(Developmental language disorder)」はICDに登場


Enせんせい

これら「SCD」、「DLD」は以前の「アスペルガー障がい」や「高機能自閉症」、「PDD-NOS(特定不明の自閉症)」と診断されていた方達の症状群の中であまりこだわりが見られなかった人たち表していると思うのですが、

私自身はこれら「SCD」、「DLD」の診断名のお子様に出会ったことはありません

そのため個人的には「アスペルガー障がい」、「広汎性発達障がい」という障がい名は無くなったあと、

ほとんどが「自閉症スペクトラム障がい」として診断されるようになったと考えても問題ないと思います


本ブログページでは「自閉症スペクトラム障がい」のことを「自閉症」と書いて来ました。

そのためこれからも「自閉症」と書いていきますが、本ブログページで出てくる「自閉症」は基本的には「自閉症スペクトラム障がい」と読み替えてもらっても大丈夫です。


バージョンアップに伴って名前だけで無くもちろん診断基準も変わりました。

そのため正確には、主には2013年以前に自閉症と診断されたお子様と、現在自閉症と診断されるお子様では微妙に診断基準が違うということになります。

以下が2021年現在の自閉症の診断基準です。


以下ICDとDSMの両方を見て行きます


2021年現在の自閉症診断基準

最初にICD-11が示した自閉症についてご紹介しましょう。

ICD-11は英語ですがインターネットを通して無料で観覧できます。


例えば自閉症について記載したページは

https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http://id.who.int/icd/entity/437815624

のリンクから観覧可能です。


以上のホームページで記載されている自閉症の症状は以下のようなものになります。



WHO:ICD-11の示した自閉症

自閉症スペクトラムは社会的相互作用や社会的コミュニケーションを開始・維持する能力に持続的な障がいがあり、年齢や社会文化的背景から見て明らかに非典型的または過剰な、制限された反復的で柔軟性のない行動パターン、興味、活動を特徴する。

障がいの発症は発達期、典型的には幼児期に起こるが社会的な要求が制限された能力を超えるようになるまで症状が完全には現れないこともある。

障がい(困難)は個人的、家族的、社会的、教育的、職業的またはその他の重要な機能分野において障がいを引き起こすほど深刻であり、社会的、教育的またはその他の文脈によって異なるかもしれないが通常すべての環境で観察可能な個人の機能の広汎な特徴である。

スペクトラムの人々はあらゆる種類の知的機能と言語能力を持っている。


以上となります。


上で赤文字にした「社会的相互作用や社会的コミュニケーションを開始・維持する能力に持続的な障がい」と、

「年齢や社会文化的背景から見て明らかに非典型的または過剰な、制限された反復的で柔軟性のない行動パターン、興味、活動」がICDで示されている自閉症の主な特徴です。

ではDSM-5はどうでしょうか?



APA:DSM-5の示した自閉症

本田 秀夫 (2016) はDSMー5の自閉症の診断基準を要約した表を作成しています。

本田 秀夫 (2016) の要約からDSMー5の自閉症の診断基準を見て行きましょう。


A . 対人コミュニケーションおよび対人交流の持続的な欠陥

(1) 対人的ー情緒的な相互性の欠陥

(2) 対人交流に用いられる非言語的コミュニケーション行動の欠陥

(3) 対人関係を築き、維持し、理解することの欠陥


B. 行動、興味、活動の現局し反復的なパターン(以下から少なくとも2つ)

(1) 常同的または反復的な運動、物の使用、または言語

(2) 同一性への固執、ルーチンへの執着、言語/非言語の儀式的パターン

(3) 程度や対象が異常な非常に現局された固着した興味

(4) 感覚刺激への過敏または鈍感、または環境の感覚的な側面への異常な興味


C . 症状は発達早期に存在(対人的要求が本人の能力の限界を越えるまでは明らかではないか、学んだ処世術で隠れるか)


D. 症状は対人、職業、その他の重要な領域で臨床的に有意な欠陥を引き起こす


E. 知的障がい(知的発達障がい)や全般的発達遅延では説明できない/知的障がいとしてしばしば併存し、併存診断するのは全般的な発達レベルよりも対人コミュニケーションが低いとき


以上です。


ICD-11と同じように赤文字「A . 対人コミュニケーションおよび対人交流の持続的な欠陥」

「B. 行動、興味、活動の現局し反復的なパターン(以下から少なくとも2つ)」が主なDSMで示されている自閉症の主な特徴となります。


以下、これら2つの診断基準についてもう少し深く考えて行きましょう。



ICDとDSMの自閉症診断基準について考察する

Enせんせい

最初に書いておきますが私は心理士ですので、お子様に対して「診断」を下すことはできません

「診断を下す」ことができるのは「医師」のみです

そのことをここで最初に明言しておきます


ここまでご紹介して来た「ICD-11」も「DSM-5」でも、どのような記載方法となっていたかというと、


<1> 症状の記載

<2> 発症時期の記載

<3> 症状によって広汎な場面で困難が生じている場合に診断が下ることの記載

<4> 知的障がいとは別の疾患であることの記載


と、順番に4つのフェイズに分けて考えることができます


また見比べてもらえるとほとんど同じような内容となっていることも注目して欲しいです。

以下この<1>ー<4>について少し考察も交えて解説を行っていきます。


以下<1>ー<4>について少し見て行きましょう


自閉症の診断基準ー<1> 症状の記載について

最初は「<1> 症状の記載」について見て行きましょう。


ここまで紹介して来た赤文字のところ、

ICD-11の、

「社会的相互作用や社会的コミュニケーションを開始・維持する能力に持続的な障がい」

「年齢や社会文化的背景から見て明らかに非典型的または過剰な、制限された反復的で柔軟性のない行動パターン、興味、活動」


DSM-5の、

「A . 対人コミュニケーションおよび対人交流の持続的な欠陥」

「B. 行動、興味、活動の現局し反復的なパターン(以下から少なくとも2つ)」


ではほとんど同じような内容が記載されています。


確かに参考にした診断基準によって示される自閉症が違うとなれば、現場では確実に混乱が生じますからこれは必要な調整です。

例えばDavid J. Kupfer・Michael B. First・Darrel A. Regier (2002) を参考にすれば、「DSM」を2013年最新版にアップデートするとき、ICD(当時のバージョン)との食い違い評価を見直す試みが行われたようですので、

ICDやDSMはそれぞれを意識しながら診断基準を調整しているのでしょう。


さてここまでICD、DSMで赤文字で示した内容についてまとめると、


(1) 社会的・対人コミュニケーションの持続的な欠陥

(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動


自閉症は主な症状として以上の2つが特徴を持つ精神疾患であると考えられます。


「(1) 社会的・対人コミュニケーションの持続的な欠陥」を示す症状はいろいろな事例があると思いますが、

私自身が捉えている状態としては例えば以下のようなものです。

注意点としては以下のような状態は自閉症全てのお子様が見せるというより、「自閉症のお子様は以下のどれか(複数)の症状を見せる」と思っていただいて、加えて以下に記載した内容以外の反応型のお子様も存在するためあくまでも1つのイメージであると思って捉えてください。


・ 遊びでの交流がほとんどない。例えば、連合遊びや協働遊びが見られない

・ 周りのひとに対して興味がないように見える

・ みんなが周りを見て状況を把握している場面で全く周りを見ない

・ アイコンタクトが合わない、共同注視が出現しない

・ 一方的に自分の興味のあることだけを話し続けることが多い

・ 状況に合わない発言をする(例えば、工作で友達が作った作品に対して「それ変だね、格好悪い」など言ってしまう)

・ 相手が暗に示した言葉の裏側への理解が乏しい(例えば「貸して」と言ったとき「あとでね」と相手が明らかに嫌そうな表情で言ったのに、「あとで」という言葉から少し時間を置いて何度も「貸して」と要求する)

・ 文脈を無視した話題の転換(例えばみんなで工場見学の計画を立てている場面で自分の好きな飛行機の話題を思い立ったように話し続ける)


例えば話していても目が合わない(アイコンタクトが合わない)

全てではありませんが青色の部分は発達年齢の幼いお子様で主に見られる印象で、

緑色の部分は発達年齢の高いお子様に見られる印象です。

発達年齢の高いお子様でも青色の部分が見られることもあるでしょう。

自閉症全員が上のような症状を示すわけではないし、また上のような症状以外のものを示すこともありますのでだいたいのイメージで捉えていただければ幸いです。


続いて以下「(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動」をご紹介して行きます。

これについてもお子様の示す症状についていろいろな事例があると思いますので、以下は一例と思ってください。

※ (1)と同じように以下の症状が全てではありません


・ 車のおもちゃを逆さにし、タイヤを回すことを異常に好む(本来のおもちゃの用途ではない)

・ 部屋の中をくるくると回る(その場で回転し続ける、他にも例えばテーブルの周りを回り続ける)

・ 手をパタパタする、目の前で手を動かし続ける

・ Youtubeで特定の動画を好む、場合によってはその動画の限局された一部分を何度も繰り返す

・ CMのフレーズや母親よく言うフレーズなどを意味なく文脈を無視して繰り返す

・ 普段と違う道順で行くよう言われると異常に情動的になる、例えば泣く、攻撃してくる

・ 普段と違う道順で行くよう言われると静かではあるが、例えばかがみこんでその場で動かなくなり周囲の人を困らせる

・ 特定のルーティンを行ってからでないと行動できず、特定のルーティンを行えないとなると異常に感情的になる

・ 同じ服しか着ない、同じものしか食べない(偏食)

・ 感覚過敏、例えば首を触られると異常なリアクションを見せる


例えば反復的、感覚的、運動的な行動の例の1つはこんな感じとか

などのさまざま症状が考えられます。


私自身の印象としては特にDSMのアップデートに伴って「(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動」は注目をされていると思っていて、

例えばMirko Uljarević・Bronia Arnott・Sarah J. Carrington・Elizabeth Meins・Charles Fernyhough・Helen McConachie・Ann Le Couteur・Susan R. Leekam (2017) は、

「制限された反復性のある行動:restricted and repetitive behaviors (RRBs)」について以下にタイプ分けしました。


Mirko Uljarević他 (2017)は「制限された反復性のある行動」について、

・ 「反復的、感覚的、運動的な行動(Repetitive sensory and Motor behaviors:RSM)」

と、

・ 「同一性へのこだわり(Insistence on Sameness:IS)」 

に分け206人の母親と8ヶ月の乳児のお子様(108人は女の子)サンプルを集め研究を行っています。


Mirko Uljarević他 (2017) の研究はまた別のページでご紹介していければと思いますが、

自閉症の診断基準の1つ、

「(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動」は以上のようなタイプ(両方持っているお子様もいる)に分け現在、研究がされているということも知っておいて良いでしょう。


また非常に重要なことなので赤色太字で書いておきますが「(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動」は健常と言われるお子様の初期発達にも見られることのある症状ですので、これだけで自閉症と決めつけないということは絶対に覚えておいて欲しいです。

これは本当に重要!

「(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動」は自閉症研究で近年注目されているトピックと個人的には考えていますが、この赤太字のことを知らないと誤った心配が生じてしまうかもしれないのでとても大切なことです。


さて次は「<2> 発症時期の記載」についてまとめて見て行きましょう。



自閉症の診断基準ー<2>発症時期の記載について

「<2>発症時期の記載」についてはICDでもDSMでも「発達初期に症状が出現する、そして本人の能力でなんとかできている環境が続いた場合は症状が露呈していないこともあり得る」と書いています。

この項は特に私の印象からの考察が多くなりますのでそのつもりで、「Enせんせいの考えなのね」とエビデンスヒエラルキーでいうと低い一個人の考えを多く含む内容と思って読んでいただけると幸いです。


岩波 明 (2017) は長い間、自閉症などの原因は、「親の養育の失敗」「親の愛情不足」とみなされてきた。だが、現在この点は明確に否定されている。子どもに対する親の態度が患者の予後や幸福感に影響を与えることは確かであるが、ASD(自閉症)発症の原因ではない

と述べました。

他にも例えばJudith A .Crowel・lJennifer Keluskar・Amanda Gorecki (2019) も1950年代、母親または両親に対して「冷蔵庫(refrigerator)」という用語が登場し、自閉症の原因として親の暖かさの欠如や親子関係の機能不全が関連すると考えられていた時代があったと述べています。


上のように、かつては「親の養育態度や愛情不足」が自閉症の原因と考えられる時代がありました。

ICDやDSMの書いている「発達初期に症状が出現する」は上の岩波 明 (2017)・Judith A .Crowel他 (2019) の書いている「親の養育態度や愛情不足や関係不全」が原因ではない、ということを明確に記述したものだと考えられます。


「私の育て方が原因なの?」かといえば、現代では自閉症は「親の養育態度や愛情不足や関係不全」が原因ではないと考えられています

そしてその後に続く「本人の能力でなんとかできている環境が続いた場合は症状が露呈していないこともあり得る」というところは、

例えばある程度成長してからの診断も保証するための内容になっている、と考えられるでしょう。


次に「<3>症状によって広汎な場面で困難が生じている場合に診断が下ることの記載」を見て行きます。



自閉症の診断基準ー<3>症状によって広汎な場面で困難が生じている場合に診断が下ることの記載について

次に「<3>症状によって広汎な場面で困難が生じている場合に診断が下ることの記載」については基本的に精神疾患は周囲の環境に適応できている状態の場合は診断が下りませんが、

基本的には1つの場面だけでなく広汎な領域で困っている必要があることは診断ポイントです。

「ご家庭」、「祖父母のお家」、「園や学校」、「習い事先」他の見方としては「母親」、「父親」、「ママ友」、「兄弟」などさまざまな場面や人の前で(少なくとも2つ以上では)症状が確認される必要があるでしょう。


また1つ上の項で自閉症は診断がついていない時点で「症状が露呈していないこともあり得る」と書きましたが精神疾患は基本的には本人または周囲が困っている場合に診断が下ります。

<3>は症状によって広汎な場面で困難が生じている場合に診断が下ることの記載ですが、

1つ上の項の内容も含めて考え「症状が露呈していないこともあり得る」のであれば症状が露呈していない状態(診断はその時点ではついていない)とはどのような状態なのでしょうか?


この章のあとのブログページで「自閉症スペクトラム障がい」の「スペクトラム」についてご紹介をしていこうと考えていますが、

あなたの周りでも診断はついていないけれども「自閉症の症状」を少し持っていそうな人はいないでしょうか?

これはそういうお話です。


例えば「このひとあまり人の話聞かないな」とか「全く私の気持ちをわかってくれないな」とか、

他にも例えばプロのスポーツ選手で特定のルーティンにめちゃくちゃこだわる選手や自分のやり方を曲げない職人など、いろいろな人物を想像できるように思います。


これらはこれまで見て来た自閉症の症状と説明できるかもしれません。

例えばO.Ivar Lovaas (2003)観察すれば通常に発達する大人も高次の自己刺激行動(常同・反復行動と読み替えてok)を行っていることが分かると述べ、例としてさまざまな行動を上げました。

例として出されたものは例えば、


・ 喫煙

・ コップや食器をテーブルに並べる

・ ソリティア

・ ゴルフやバスケットなどでボールを穴に入れる

・ 拍手喝采で両手を打ちつける


などですが、この中にはあなたも日常的に行っているような行動が並んでいないでしょうか?


Enせんせい

ちなみに私の弟は自閉症と診断はありませんが20歳を超えて日常的に「爪噛み」を行っています

「爪噛み」も感覚刺激を伴う常同行動であると言えるでしょう


話が少し逸脱しますが、ここでプロのスポーツ選手や職人を引き合いに出して私が特に伝えたかったことは、自閉症の症状はみんなもっているよね、ということもそうですが、

自閉症の示す症状を悪いと決めつける必要はなくて、実は社会的に成功するためのキーとなることもあり得るという可能性です。

例えばO.Ivar Lovaas (2003) が示した例のゴルフやバスケットなどでボールを穴に入れる能力に強いこだわりを見せ鍛え上げられれば、普通のひとなんて余裕で超えられる社会的な成功が手に入れられるでしょう。


話を戻し以上のように少し自閉症の症状を持つ周りの診断が下っていない人を想像してみてください。

その人たちの周囲や本人は診断が下った人よりも困難を感じていない(場合によってはとても困難を感じているものの医師に相談に行っていないこともあると思いますが)ため、

「自閉症ではない」と言えます。


この基本的な精神疾患の考え方、「本人または周囲が困っている」場合のイレギュラーとしては、

「親も困っていない、子どもも楽しそうに過ごしていて本人も特に困っているように思わないけど、検診にいったとき指摘をされた」というケースで例えば「自閉症の疑い」などと伝えられたケースはイレギュラーと言えるかもしれません。

この場合は発達に遅れが見られたことで「療育をお勧め」されたケースかと思いますが、自閉症療育ではこのようなケースもあり得ます。


しかしこれは特別か?と言えばそうではなく、

イレギュラーではありますが例えば大人でも職場のストレスチェックで本人の自覚はないものの結果が高く出たので医師に診てもらうことをお薦めされる、というようなケースに近いように思いますし、

このような「本人も周囲も困っていない」ようなケースはイレギュラーとして精神疾患には存在するでしょう。


私の精神疾患についての考え方は「私の思う精神疾患とは何か?どういう状態か?(ABA:応用行動分析コラム13)(https://en-tomo.com/2021/04/02/mental-disorders/)」でご紹介しました

例えば自閉症療育においてこのイレギュラーについてどのように考えるかですが、

自閉症療育の場合は年齢の低いときに始めることが介入効果で「最大の利益」を得る1つの要因であるというエビデンスもある(参考 Helen E .Flanagan・Adrienne Perry・Nancy L .Freeman, 2012)ため、一旦専門家に診てもらうことは個人的に有りなように考えています。



自閉症の診断基準ー<4>知的障がいとは別の疾患であることの記載について

自閉症の診断基準では「知的障がいとは別の疾患である」とわざわざ書かれているのですが、「知的障がい」とはまず何かをご紹介しましょう。

例えばICD-11では知的障がいは「Disorders of intellectual development(知的発達障がい)」と記載されていて、その内容は以下のようなものです。


知的発達障がいは発達期に発症する病因的に多様な疾患群であり、適切に規範化された個別に実施される標準化されたテストに基づいて平均よりも約2以上の標準偏差(約2.3パーセンタイル未満)の著しく低い知的機能および適応行動を特徴とする。

適切に規格化された標準テストが利用できない場合は知的発達障害の診断には同等の行動指標の適切な評価に基づく臨床的判断がより重要となる。


以上の内容です。


この内容はICDのホームページで確認でき、

https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http%3a%2f%2fid.who.int%2ficd%2fentity%2f605267007

をご参照いただければ書いてあります。


上で書いた文章太字「平均よりも約2以上の標準偏差」はIQや発達指数で言えば数値70以下のことです。

※ 計算式は標準偏差1が15の数値を表します。15×2=30、IQや発達指数の平均は100のため「100-30」で「平均よりも約2以上の標準偏差」とは70の数値となる


またDSMでも記載がありますが知的障がいの診断にはIQや発達指数も参考にするものの、実際の行動指標評価も大切と考えられています。


診断基準において自閉症は知的障害とは違うものなのですが、

GiacomoVivanti・Josephine Barbaro・Kristelle Hudry・Cheryl Dissanayake・Margot Prior (2013) は知的障がいを伴う/伴わない自閉症のお子様を研究し、自閉症症状の重篤度とIQの関連を研究しており、重度の自閉症児は低い認知能力であったという相関を見出しました。


このように「自閉症」と「知的障がい」を結びつける研究はあるものの、

現在自閉症は以上のようなIQや発達指数とは関係のない障がいとして定義されています。


ここまでがICDとDSMの自閉症診断基準の少しの考察を交えた解説でしたが、

以下番外編として「感情調節」、「心の理論」、「不安障がいやうつ病との併存」についても少しだけご紹介して行きましょう。


あともう少しで終わりなので是非お付き合いください


自閉症の診断基準ー<番外編1>感情調節

ここまでICDとDSMの自閉症診断から、


<1> 症状の記載

<2> 発症時期の記載

<3> 症状によって広汎な場面で困難が生じている場合に診断が下ることの記載

<4> 知的障がいとは別の疾患であることの記載


について記載して来ましたが診断には含まれないものの個人的に大切だと思っている「感情調節(Emotion Regulation)」についても簡単にご紹介します。


また感情調節についてのページもこの章内で作成していければと思いますが、

例えばLauren Berkovits・Abbey Eisenhower・Jan Blacher (2017) 108人の自閉症のお子様を対象に「感情調節」の研究を行ったのですが、論文の序論部分で、


自閉症のお子様の多くは1つ以上の感情調節能力を有する困難を持っていることが臨床的に認識されている。

例えば自閉症のお子様の中にはネガティブな感情に直面すると破壊的な行動を行う(例えば、イライラしたり怒ったりすると、かんしゃくを起こしたり、身体的に攻撃したりする)者がいる一方で、

目標に向かって行動することを妨げるような感情の持ち方をする子どももいる(例えば、過度に興奮したり、フラストレーションを感じたりすると課題や活動に集中したり、他者と上手く交流したりすることができなくなる)

と述べました(参考 Lauren Berkovits他, 2017)


自閉症のお子様は本ブログページでご紹介した診断基準には記載はなかったものの、このような感情調節にも課題がある場合もあることも知っておいて良いと思います。


Lauren Berkovits・Abbey Eisenhower・Jan Blacher (2017)

次は「感情調節」と同じような大きなトピックは「心の理論(Theory of Mind:ToM)」というキーワードです。



自閉症の診断基準ー<番外編2>心の理論

自閉症児「心の理論(Theory of Mind:ToM)」研究で有名なものとして、Simon Baron-Cohen・Alan M. Leslie・Uta Frith (1985)の行ったサリーアン課題という課題を用いて健常に発達しているお子様とダウン症児、そして自閉症児を比較した研究があります。

論文の中でSimon Baron-Cohen他 (1985)は「心の理論」についてPremack・Woodruff(1978)「自分自身と他者に精神状態を帰属させる能力」という定義を引用していますが、

簡単に「心の理論とは相手の立場に立って考える、相手の気持ちを推測する能力」と読み替えても良いでしょう。

自閉症児はこの能力が弱いという考え方があります。


Simon Baron-Cohen・Alan M. Leslie・Uta Frith (1985)

実際にSimon Baron-Cohen他 (1985)の研究では自閉症児はダウン症児より「心の理論」を表すであろうサリーアン課題の成績が良くありませんでした。

Simon Baron-Cohen他 (1985)の研究、そして心の理論についてもこの章の先のページでまとめて行きたいと思います。



自閉症の診断基準ー<番外編3>不安やうつ病との併存

最後に自閉症と不安障がい、うつ病との併存についてご紹介させてください。

とは言え、この内容については以前ブログ内でまとめましたので内容はかなり簡単なものとします。


詳しくは、

「(ABA自閉症療育のエビデンス27)自閉症者の不安障がいとうつ病、生涯有病率のエビデンスー成人自閉症者のデータから(https://en-tomo.com/2021/05/28/autism-anxiety-depression-lifetime-prevalence/)」

をご参照ください。


(ABA自閉症療育のエビデンス27)自閉症者の不安障がいとうつ病、生涯有病率のエビデンスー成人自閉症者のデータからのサムネイル

Matthew J Hollocks・Jian Wei Lerh・Iliana Magiati・Richard Meiser-Stedman・Traolach S Brugha (2018) は自閉症の成人を対象にした研究を集め、不安障がいとうつ病の割合についてメタ分析研究を行いました。

アメリカのデータとなりますが研究の結果、


・ 自閉症者の不安障がいの生涯有病率(一生のうちに一度はかかる割合)は42パーセント

・ 自閉症者のうつ病の生涯有病率(一生のうちに一度はかかる割合)は37パーセント


という結果になりました。

これは自閉症でない人と比較すると高い数値です。


上の「(ABA自閉症療育のエビデンス27)自閉症者の不安障がいとうつ病、生涯有病率のエビデンスー成人自閉症者のデータから」ブログページでは、

不安障害の中のもっと詳しい分類「社会不安障がいは20パーセントの生涯有病率」、「強迫性障がいは22パーセントの生涯有病率」などもご紹介しています。


以上、長くなりましたが2021年現在の自閉症の診断基準解説でした。



さいごに

本ブログページでは主にここまで診断基準からみた自閉症について書いて来ました。

本ブログページの内容をまとめると、

ICD、DSMを参考にすれば自閉症の主症状は、


(1) 社会的・対人コミュニケーションの持続的な欠陥

(2) 制限された反復的で柔軟性のない行動、興味、活動


であると考えられ、また発症時期は早期だが広汎な範囲で困難が生じたときに診断が下ることがあり(自身の能力で環境適用できた場合は出現しない場合もある)、知的障がいと自閉症は別の疾患である、

という内容でした。


他に診断基準ではないですが自閉症の症状として個人的に大切だと考えている、Lauren Berkovits他(2017)を参考にご紹介した「感情調節」の問題も知っておいて良いと思います。

また同じようにSimon Baron-Cohen他 (1985)を参考にご紹介した「心の理論」の問題についても知っておきましょう。

そしてMatthew J Hollocks他 (2018) のメタ分析研究を参考にご紹介した自閉症と不安障がいやうつ病との併存にも重要なテーマです。


この章、先のブログページでこれらのテーマについてもご紹介していければと思います。


また本ブログページでは触れませんでしたが、自閉症児は「模倣」、「手先の不器用さ」、「モチベーションの低さ」などの特徴を語られることもあり、このような部分についてもこの章で今後書いていければというところです。


本章の次ページでは本ブログページでも少し触れましたが、自閉症の有病率についてもう少し詳しく書いていきます。


長かったですが最後まで読んでくださってありがとうございました


【参考文献】

・ David J. Kupfer・Michael B. First・Darrel A. Regier (2002) A RESEARCH AGENDA FOR DSM-Ⅴ 【邦訳: 黒木 俊秀・松尾 信一郎・中井 久夫 (2008) DSMーⅤ研究行動計画 みすず書房】

・ GiacomoVivanti・Josephine Barbaro・Kristelle Hudry・Cheryl Dissanayake・Margot Prior (2013)Intellectual development in autism spectrum disorders: new insights from longitudinal studies. Frontiers in Human Neuroscience. Published online 2013 Jul 5. doi: 10.3389/fnhum.2013.00354

・ Helen E .Flanagan・Adrienne Perry・Nancy L .Freeman (2012) Effectiveness of large-scale community-based Intensive Behavioral Intervention: A waitlist comparison study exploring outcomes and predictors. Research in Autism Spectrum Disorders 6 p673–682

・ 本田 秀夫 (2016)第1章 発達障害の理解と支援 発達障害の理解と支援に向けて1 【編集 下山 晴彦・村瀬 嘉代子・森岡 正芳 (2016) 必携 発達障害支援ハンドブック 金剛出版 p 23】

・ ICD-11 6A02 Autism spectrum disorder
https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http://id.who.int/icd/entity/437815624

・ ICD-11 6A00 Disorders of intellectual development
https://icd.who.int/browse11/l-m/en#/http%3a%2f%2fid.who.int%2ficd%2fentity%2f605267007

・ 岩波 明 (2017) 発達障害 文春新書

・ Jon Baio・Lisa Wiggins・Deborah L. Christensen・Matthew J Maenner・Julie Daniels・Zachary Warren・Margaret Kurzius-Spencer・Walter Zahorodny・Cordelia Robinson Rosenberg・Tiffany White・Maureen S. Durkin・Pamela Imm・Loizos Nikolaou・Marshalyn Yeargin-Allsopp・Li-Ching Lee・Rebecca Harrington・Maya Lopez・Robert T. Fitzgerald・Amy Hewitt・Sydney Pettygrove・John N. Constantino・Alison Vehorn・Josephine Shenouda・Jennifer Hall-Lande・Kim Van Naarden Braun・Nicole F. Dowling (2018) Prevalence of Autism Spectrum Disorder Among Children Aged 8 Years ― Autism and Developmental Disabilities Monitoring Network, 11 Sites, United States, 2014. Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR). April 27 67(6); p 1–23

・ Judith A .Crowel・lJennifer Keluskar・Amanda Gorecki (2019)Parenting behavior and the development of children with autism spectrum disorder. Comprehensive Psychiatry Volume 90, April, p21-29

・ Lauren Berkovits・Abbey Eisenhower・Jan Blacher (2017) Emotion Regulation in Young Children with Autism Spectrum Disorders. Journal of Autism and Developmental Disorders. 47: p68-79

・ Matthew J Hollocks・Jian Wei Lerh・Iliana Magiati・Richard Meiser-Stedman・Traolach S Brugha (2018)Anxiety and depression in adults with autism spectrum disorder: a systematic review and meta-analysis. Published online by Cambridge University Press:  04 September

・ Mirko Uljarević・Bronia Arnott・Sarah J. Carrington・Elizabeth Meins・Charles Fernyhough・Helen McConachie・Ann Le Couteur・Susan R. Leekam (2017)Development of Restricted and Repetitive Behaviors from 15 to 77 Months: Stability of Two Distinct Subtypes? Developmental psychology (10): p1859 -1868

・ O.Ivar Lovaas (2003) TEACHING INDIVIDUALS WITH DEVELOPMENTAL DELAYS 【邦訳: 中野 良顯(2011) 自閉症児の教育マニュアルー決定版・ロヴァス法による行動分析治療 ダイヤモンド社】

・ Simon Baron-Cohen・Alan M. Leslie・Uta Frith (1985)Does the autistic child have a “theory of mind”? . Cognition 21 p 37–46

・ 高木 隆郎 (2009) 第1章 児童分裂病と早期幼児自閉症 【編集 高木 隆郎 自閉症 幼児期精神病から発達障害へ 星和書店 p 3-4】

・ 東條 吉邦 (2005) 第12章 臨床・障害 【編集 中島 義明・繁桝 算男・箱田 裕司 (2005) 新・心理学の基礎知識 Psychology:Basic Facts and Concepts 有斐閣ブックス p 441-442】