2020年最終日!個人的なお勧めABA書籍(ABA:応用行動分析コラム4)

2020年も今日が最後ですね!

ABA自閉症療育のブログを今年書き始めたものとしては一応、1年の締めくくりとして今日はブログページをアップしようという気持ちでいました。


2020年の締めくくりのブログページを何にしようかな?と思い一回やってみたかった内容をやってみようと思います!

ABA(応用行動分析)のお勧め書籍を紹介する


「ABA(応用行動分析)のお勧め書籍」ということで「ABA自閉症療育」の本ではありませんのでそこはご注意ください。


2020年最後のブログページです

2020年版ということで今後変わるかもしれませんが、現在私が思うところのABAを学ぶためのお勧め書籍トップ5!


Enせんせい

ちなみに私自身はあまりイラスト多めの本を好んで読んでこなかったという趣向生があるため、

イラスト多めの本が好きという人には合わないかも


また後半、


「個人的に今まで読んで1番難しかった本(今もしっかり理解できていないと思う)」

「難解だけれども読めれば情報量の多い面白い良本」

「どういったことを意識して臨床をしていけば良いか学べる行動療法の本」

「エビデンスとは?科学的とは?を考えるとき参考になる2冊」

「自閉症療育を解説している個人的におすすめの本」

「多分なんだけど絶版になっていて、惜しまれる1冊」


を番外編としてご紹介して行きます。



私が思うところのABAを学ぶためのお勧め書籍トップ5


第5位:応用行動分析学 ヒューマンサービスを改善する行動科学

第五位は比較的最近の本。

島宗 理 (2019) 応用行動分析学 ヒューマンサービスを改善する行動科学 新曜社


島宗 理 (2019)

強化子依存という言葉は知っていたけれども強化子依存を予防するための「強化子のリダクション」という言葉は本書で初めて知った。

ずっと「強化子」をフェイディングする手続きは必要だと感じていたものの、

「強化子をフェイディングする手続き」について述べている本がないだけでなく、その手続きに名前を与えた書籍はなかったし非常に感謝した1冊。

「応用行動分析学の進め方」を1冊にまとめたような内容でかなり実用的に使用できる1冊だと思います。



第4位:臨床行動分析のABC

第三世代のABAを私に紹介してくれたこの本は非常に参考になりました。

何回読み直した?これ以降の上位に入る本も3回は読み返しているけれど、そんな書籍はあまりないのだよ。

Jonas Ramnerö & Niklas Törneke (2008)The ABCs of HUMAN BEHAVIOR:BEHAVIORAL PRINCIPLES FOR THE PRACTICING CLINICIAN 【邦訳: 松見純子 (2009)臨床行動分析のABC 日本評論社】


Jonas Ramnerö & Niklas Törneke (2008)

特に大人の臨床的問題に取り組むときにかなり参考にさせていただいています。

「関係フレーム理論」という比較的新しいABAの理論を学ぶこともできるし、それが「レスポンデント条件付け」や「オペラント条件付け」とどのように派生してきたのかも書いていて、すごく参考になった。

ABAを使って大人のうつとか不安とかやりたい人には特におすすめの1冊!



第3位:行動の基礎 豊かな人間理解のために

特に「基礎」系のところのブログページを書く際に多用した、「困ったら小野浩一!」という感じで本書を使わせていただきました。

本当にありがとうございます。

私がこの本を手に取ったのは学生時代の頃で専門書を3冊くらい読み終わってからかな?

ちょうど良い時期に手に取らせていただけたと感じています。先輩から勧められて買ったよ、

小野 浩一 (2005) 行動の基礎 豊かな人間理解のために 培風館


小野 浩一 (2005)

ABAの専門書、これから紹介する上位トップ2と比較するとちょっと硬派な表現で書かれている本書。

ABAの実験背景かなりしっかり書かれています。

内容はものすごく濃く、ちょっとABAが分かってきた頃くらいに手に取ると理論的な部分から支援方法を展開できるのではないかな?

個人的にはソーンダイクの理論をスキナーがどう解釈したか?というところが面白かったです。



第2位:行動分析学入門

日本で一番有名なABA(応用行動分析)の参考書と言えば、この本を答える人が最も多いんじゃないかな?

杉山 尚子・島宗 理・佐藤 方哉・リチャード W マロット・マリア E マロット(1998)行動分析学入門 産業図書


杉山 尚子・島宗 理・佐藤 方哉・リチャード W マロット・マリア E マロット(1998)

内容がしっかりしているだけでなく、書き方がコミカルで面白い!

1ページ目の入りが「性転換したいの」から始まる本書は日本にまだ行動分析がほとんど認知されていないときに興味を惹くということを目的も考慮して書かれたのではないかな?

と勝手に思っています。

「阻止の随伴生」、「強化モドキ」や「刺激性制御では説明できない「行動の転移」といったマニアックな内容もしっかりと扱っています。



第1位:行動変容法入門

このブログで1番参考文献で使った回数が多いと思います。

ありがとう本当感謝してる、

Raymond .G .Miltenberger (2001)Behavior Modification : Principles and Procedures / 2nd edition 【邦訳: 園山 繁樹・野呂 文行・渡部 匡隆・大石 幸二 (2006) 行動変容方入門 二瓶社】


Raymond .G .Miltenberger (2001)

個人的にはアメリカンなイラストが好きなのもあるけれども、

「行動契約」や「習慣逆転法」、「消去バーストによるシェイピング」など、他の書籍では紹介されていない(私はみたことがない)テクニックが載っているし、「強化」「消去」「罰」などのABAの基礎もしっかりと載っている。

学生の頃、行動療法を学び始めた私が1番最初に買った専門書もこれでした。

すごく思い出深い1冊。

内容もすごく良い!


以上トップ5、

Raymond .G .Miltenberger (2001)個人的に2020年のお勧め書籍No1でした!



お勧め書籍の番外編

ここから番外編です。


個人的に今まで読んで1番難しかった本(今もしっかり理解できていないと思う)

この本はマジで難しかったです。ただ書いている内容の凄さと有用性は理解できます。

そんな1冊レスポンデント条件付けの専門書!

今田 寛・中島 定彦 (2003) 学習心理学における古典的条件づけの理論 培風館


今田 寛・中島 定彦 (2003)

相性もあったのかもしれないなと思います。

私は「レスポンデント条件付け」よりも「オペラント条件付け」を主に学生時代から学んできたこともあったので、ガチガチの「レスポンデント条件付け」の最先端の理論は当時キツかった。

自分に親しみのある理論との、相性もあると思いますが、

イラストのようにしっかり読み込んだのですが実際半分も理解できていないんじゃないか?

と思っているので2020年の個人的に今まで読んで1番難しかった本としてご紹介させていただきました。

ただ本書はとても魅力的で例えば「レスポンデント条件付け」をかなり深く知りたい人にはすごく参考になると思います。



難解だけれども読めれば情報量の多い面白い良本

このブログでも何度もお世話になりましたが、

James E. Mazur (2006) LEARNING AND BEHAVIOR:6Th ed. 【邦訳 磯 博行・坂上貴之・川合伸幸,訳 (2008) メイザーの学習と行動 日本語版 第3版 二瓶社】


James E. Mazur (2006)

この本、ページ数が多いだけじゃなくて1ページあたりの文字数も多い。

それだけ情報量が多いってことなので、お得な本なのですが、ABAに興味を持ってから1番最初に読むには難しいかもしれないと思います。

良い本なので5冊目くらいでチャレンジしてみてはいかがでしょうか?内容のボリュームと濃さから「読み足りなかったな」と思うことはないでしょう。


「科学的理論とは?」など、ABAのベースとなるところを序盤で紹介してくれていること、好感を持ちます。



どういったことを意識して臨床をしていけば良いか学べる行動療法の本

どういった姿勢で行動療法を行なっていけば良いのか?の凄く参考になりました。

山上 敏子 (2007) 方法としての行動療法 金剛出版



行動療法の本だけれども、もちろんABAについての姿勢の参考になる本です。

さまざまなテクニックや理論を書いてある本もある中でもちろんこの本にも書いてあるのですがこの本では事例も取り入れて書かれており、イメージしやすく臨床の細かい部分までイメージすることができます。


行動療法を使ってうつや不安を扱いたいなと思っている人にとってはかなりお勧め!



エビデンスとは?科学的とは?を考えるとき参考になる2冊

ABAは科学的と言われるが科学とは何か?エビデンスとは?

ということを知っていることは大切でしょう。

原田 隆之 (2015) 心理職のためのエビデンス・ベイスド・プラクティス入門 エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」 金剛出版


もし心理職で「エビデンス・ベースド・プラクティス」とは?と疑問に思うのならば、一度読んでおいて損はないと思う1冊です。

「(ABA自閉症療育のエビデンス3)科学性のヒエラルキー(https://en-tomo.com/2020/03/28/hierarchy-1/)」

にも使わせていただきました。


2冊目、

私は昔から「科学ってなんなの?」と思い、色々な「科学」という名前のついた本を読み漁ったことがあるのですが一番納得する答えをくれたのは、

森 博嗣 (2011) 科学的とはどういう意味か 幻冬社新書

科学というのは簡単にいえば「誰にでも再現できるもの」である、という言葉はかなり刺さりました。


左:原田 隆之 (2015)
右:森 博嗣 (2011)


自閉症療育を解説している個人的におすすめの本

ABAではなく自閉症療育のさまざまばエビデンスを解説してくれている本としては個人的にはNo.1の良本

Amazonでたまたまタイトル買いしたこの本が超当たりでした。

タイトルの通り早期療育に寄っている内容ではあるのですが、

Katarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008) AUTISM SPECTRUM DISORDER IN INFANT AND TODDLERS:Diagnosis, Assessment, and Treatment 【邦訳: 竹内 謙彰・荒木 穂積 (2010) 乳幼児期の自閉症スペクトラム障害 診断・アセスメント・療育 クリエイツかもがわ】


Katarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008)

この本はめっちゃ印象的に残りました。

確か買ってからとりあえず持ち歩いていたものの、太いしなかなか読み出さなかった・・・

仕事の合間時間があったから、蒲田のドトールコーヒーでとりあえず開いて読んでみると尋常じゃない感じのオーラを感じ、仕事が終わったあとまたドトールコーヒーに再度直行して続きを読み始めました(笑)

結構攻めた内容も載っています。

特に第9章が「賛否両論ある治療法」というタイトルなのですが、日本でもお馴染みの療育方法に「エビデンスないよ」とか書いてあります。

どういった研究から早くから自閉症の発見につなげることができるか、とか個人的にとても優良な情報をくれた1冊でした。


ただ1点注意点としてがあります。2013年に診断基準が改訂されているのですが、2008年の本のため前の診断基準の内容で書かれていることにはご注意ください。

それでも充分有用な1冊かと思います。

診断基準の改訂については「(ABA自閉症療育の基礎67)自閉症診断、ABA自閉症療育にどう活かす?自閉症診断をどう捉える?(https://en-tomo.com/2020/12/20/autism-diagnosis-intervention/)」

で少し触れているので興味がある人は是非!



多分なんだけど絶版になっていて、惜しまれる1冊

ABA自閉症療育の小説として個人的No.1の本。

ストーリーを楽しむ読み物としても普通に面白いし、ABA自閉症療育を行う親御様にとっては参考になる内容が詰まっています。

Catherine Maurice (1993) LET ME HEAR YOUR VOICE 【邦訳: 河合 洋=監修 山村 宣子=訳 (1994) わが子よ、声を聞かせて 自閉症と闘った母と子 NHK出版】


Catherine Maurice (1993)

検索していると、もう絶版になってしまったのかな?と思いますが、

当時の時代背景もかなりリアル。自閉症ってこの頃、親の責任でそのような行動を取るって信じられていたとか、こんな療育方法が存在したとか、

そういった歴史書という捉え方もできます。

また著者のCatherine Mauriceは子どもにABA自閉症療育を行うために大学生をアルバイトで雇ったりしてチーム作りを行なっていくのですが、子どものためにどのような「環境作り」をするべきか?

というヒントに凄くなると思った1冊です。



さいごに

本当は2020年は東京オリンピックがあって、ということを想像していたのですが、2020年は大変な1年となりましたね。

来年はもっと明るい1年になることを祈っています。


このブログページでは私が良い本だなと思ったものを紹介しましたが、

「これ入ってないのかよ!?」と思った本もあったと思います。

そのような本についてはまた、Twitterから教えていただければ幸いです。


2021年は皆様にとって良い年になりますように!

本格的に寒くなってきたのでお風邪など召されませんよう、ご自愛ください。

また来年もどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m


またご紹介させていただいた書籍の感想や、お勧め書籍などありましたらお気軽にTwitterからご連絡ください!

良いお年をお過ごしくださいません。



【参考文献】

・ Catherine Maurice (1993) LET ME HEAR YOUR VOICE 【邦訳: 河合 洋=監修 山村 宣子=訳 (1994) わが子よ、声を聞かせて 自閉症と闘った母と子 NHK出版】

・ 原田 隆之 (2015) 心理職のためのエビデンス・ベイスド・プラクティス入門 エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」 金剛出版

・ 今田 寛・中島 定彦 (2003) 学習心理学における古典的条件づけの理論 培風館

・ James E. Mazur (2006) LEARNING AND BEHAVIOR:6Th ed. 【邦訳 磯 博行・坂上貴之・川合伸幸,訳 (2008) メイザーの学習と行動 日本語版 第3版 二瓶社】

・ Jonas Ramnerö & Niklas Törneke (2008)The ABCs of HUMAN BEHAVIOR:BEHAVIORAL PRINCIPLES FOR THE PRACTICING CLINICIAN 【邦訳: 松見純子 (2009)臨床行動分析のABC 日本評論社】

・ Katarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008) AUTISM SPECTRUM DISORDER IN INFANT AND TODDLERS:Diagnosis, Assessment, and Treatment 【邦訳: 竹内 謙彰・荒木 穂積 (2010) 乳幼児期の自閉症スペクトラム障害 診断・アセスメント・療育 クリエイツかもがわ】

・ 森 博嗣 (2011) 科学的とはどういう意味か 幻冬社新書

・ 小野 浩一 (2005) 行動の基礎 豊かな人間理解のために 培風館

・ Raymond .G .Miltenberger (2001)Behavior Modification : Principles and Procedures / 2nd edition 【邦訳: 園山 繁樹・野呂 文行・渡部 匡隆・大石 幸二 (2006) 行動変容方入門 二瓶社】

・ 島宗 理 (2019) 応用行動分析学 ヒューマンサービスを改善する行動科学 新曜社

・ 杉山 尚子・島宗 理・佐藤 方哉・リチャード W マロット・マリア E マロット(1998)行動分析学入門 産業図書

・ 山上 敏子 (2007) 方法としての行動療法 金剛出版