ここまでのブログページでオペラント条件付けやレスポンデント条件付けの基礎について学んできました。
最近の、
「(ABA自閉症療育の基礎67)自閉症診断、ABA自閉症療育にどう活かす?自閉症診断をどう捉える?(https://en-tomo.com/2020/12/20/autism-diagnosis-intervention/)」
や
「(ABA自閉症療育の基礎68)療育の問題行動解決とは?ケースフォーミュレーション、アセスメント方法から介入まで(https://en-tomo.com/2020/12/23/aba-case-formulation/)」
ではABA自閉症療育の「診断ベース」ではなく「個体ベース」のオーダーメイド介入方略による支援の考え方を学んできましたが、
このブログページは「では、介入法略を採択する際、どのような基準で採択するか?」ということをテーマに書いて行きたいと思います。
イラストの赤色で矢印を引いたところ「どういった基準で採択するのか?」が今回のテーマです。
解決(介入)方法を選択する際に参考となるポイントを5点ご紹介します。
知っておくことで介入選択の際ヒントとなるでしょう。
ABA自閉症療育ではお子さんに負荷が少ない方法で問題行動を解決する
Paul A. Albert & Anne C. Troutman (1999) は本の中で「レベルⅠ」から「レベルⅣ」までの問題行動を減少させる4つの選択段階について述べました。
Paul A. Albert他(1999) が述べた4つのレベルは以下イラストの内容です。
かなり専門用語も多く難しい内容に思うかもしれません。
以上の内容を私なりに簡単にまとめ直すと以下のイラストとなります。
以下、簡易的に直したこのイラストを参考に解説を行っていきましょう。
レベル1:強化のみを使用した支援
お子さんの問題行動で悩んでいるとき、
まず「レベル1:強化のみを使用した支援」で行動変容が可能かどうか検討しましょう。
このレベル1の支援には「先行子操作」と呼ばれる、「環境の豊穣化支援」や「NCR:Non Contingent Reinforcement(非随伴性強化法)」などがあてはまるでしょう。
「(ABA自閉症療育の基礎64)オペラント条件付けー先行子操作で適切行動を増やし問題行動を減らす(https://en-tomo.com/2020/12/06/antecedent-control-procedures/)」
「(ABA自閉症療育の基礎63)オペラント条件付けー速攻で問題行動を減らす「NCR:非随伴性強化法」(https://en-tomo.com/2020/12/02/non-contingent-reinforcement/)」
「(ABA自閉症療育の基礎62)オペラント条件付けー環境の豊穣化支援、適切に余暇を過ごす方法(https://en-tomo.com/2020/11/29/aba-environmental-abundance/)」
以上のような先行子操作の他に「適切な行動を拾って強化子続ける」という結果操作も「レベル1:強化のみを使用した支援」にあてはまります。
また今までご紹介してきた内容だとプロンプトを多量に使ってフェイディングしていく「エラーレスラーニング」もこのレベル1にあたるでしょう。
もしレベル1のみでお子さんの問題行動が減少、消失するのであればレベル1で問題解決を目指すようにします
体感としては50パーセント以上の問題行動はレベル1のみでコントロールすることが可能です。
レベル2・3・4:強化+消去・負の罰・正の罰を使用した支援
もし強化のみで問題行動の解決が難しい場合、順に「レベル2:強化+消去を使用した支援」、「レベル3:強化+負の罰を使用した支援」、「レベル4:強化+正の罰を使用した支援」の導入を導入します。
しかし実はレベル2、レベル3、レベル4は「レベル1:強化のみを使用した支援」を構想する際に組み込んでおく必要があるでしょう。
例えば「レベル1:強化のみを使用した支援」を行うということは?
母親に対しての「注意引き」の意味で泣くことを繰り返すお子さんがいたとします。
このようなことがわかっていた場合、お母様に10分に1回、意図的にお子さんに関わりを持つようにしてもらうという支援が考えられるでしょう。
「母親からの注目」が遮断化されることが無くなったお子さんは「注意引き」の意味で泣く必要がなくなり、「泣く」という行動を起こさなくなります。
※「NCR:Non Contingent Reinforcement(非随伴性強化法)」の一例
以上のような内容を構想し、介入を行っていっていることになります。
これは「NCR」といって「確立操作」を利用した支援の例です。
※ 確立操作については例えば「(ABA自閉症療育の基礎48)オペラント条件付けー確立操作「遮断化」「飽和化」「嫌悪化」(https://en-tomo.com/2020/10/19/establishing-operation-type2/)」
理想は以下のイラストのような行動のグラフが描ければ良いですが、
お子さんのコンディション(睡眠不足や直前に嫌なことがあった、体調など)などによってはお母様が10分に1回、意図的にお子さんに関わりを持つということを行っていても泣いてしまうことがあったりします。
また単純に10分に1回、意図的にお子さんに関わりを持つという介入計画自体が少し甘く、泣くことが減りはしたものの、日常的にまだ生じている。
ということも起こってくるかもしれません。
そのため「レベル1:強化のみを使用した支援」を構想した場合も、仮に問題行動が起こったときにはどのように対応する(「レベル2の消去?」「レベル3の負の罰?」「レベル4の正の罰?」)かについては決めておく必要があるでしょう。
「レベル1:強化のみを使用した支援」で問題行動をなんとかしようと思ったときも、問題行動が起こったときにはどう対応するか事前に話し合っておく必要があるとすれば、
・ 「理想は強化のみで問題行動をなんとかできたらいいんですが、もし問題行動が出現したときには消去しましょう」(レベル2:強化+消去を使用した支援)
・ 「もし問題行動が出現したときには負の罰をしましょう」(レベル3:強化+負の罰を使用した支援)
・ 「もし問題行動が出現したときには正の罰をしましょう」(レベル4:強化+正の罰を使用した支援)
ということも含めて介入計画を考えておく必要があります。
そしてもう一歩踏み込んで、
「理想は強化のみで問題行動をなんとかできたらいいんですが、もし問題行動が出現したときには消去しましょう。問題行動を消去しながらプロンプトを出して、適切な行動が出現させ、その後に強化するようにしましょう」
などどんどんと介入計画を実施したときに起こり得る可能性を詰めていって具体的なものにして行きましょう。
私が人から「行動介入を行うとき、何を基準に方法を選択すれば良いか分からないのですが何を基準に選択するのですか?」
と質問を受けたときは以上のような介入推奨手順についてまず説明することが多いです。
上の内容から、ABA自閉症療育で私が問題行動を扱う際の手続きとしては
レベル1で問題行動を解決することを目指すのですが、その中で問題行動が出現した場合にどのように対応するか?についてレベル2、3、4の手続きを決めておく
ということになるでしょう。
ABA自閉症療育では短期的・長期的な変化を分け問題行動を考える
ここまでのブログページでも「先行子操作」と「結果操作」というキーワードが出てきています。
先行子操作については上で例を出していますが結果操作とは紹介してきたブログページで言えば「強化法」、「罰」、「分化強化」などがそれにあたるでしょう。
「(ABA自閉症療育の基礎42)オペラント条件付けー強化法とプロンプト(https://en-tomo.com/2020/09/27/reinforcement-prompt/)」
「(ABA自閉症療育の基礎65)オペラント条件付けー問題行動を減らす、適切行動を増やす効果的な療育技法「分化強化」(https://en-tomo.com/2020/12/11/aba-differential-reinforcement/)」
「(ABA自閉症療育の基礎66)オペラント条件付けー問題行動を減らす罰を使用した支援、タイムアウト、レスポンスコスト、過剰修正(https://en-tomo.com/2020/12/18/aba-punishment-intervention/)」
「先行子操作」のメリット・デメリットは「速攻で問題行動を解決してくれる可能性があるが、問題の本質改善にならないかもしれない」
「結果操作」のメリット・デメリットは「問題行動が減っていくのには時間がかかるが、問題の本質改善になる」
ということでしょう。
上で出した例をもう一度見てみましょう。
母親に対しての「注意引き」の意味で泣くことを繰り返すお子さんがいたとします。
このようなことがわかっていた場合、お母様に10分に1回、意図的にお子さんに関わりを持つようにしてもらうという支援が考えられるでしょう。
「母親からの注目」が遮断化されることが無くなったお子さんは「注意引き」の意味で泣く必要がなくなり、「泣く」という行動を起こさなくなります。
以上の例の介入計画を考え実施し、お子さんの「泣く」という問題行動が生じることなく綺麗に0になり、問題が解決したとしましょう。
この場合は「先行子操作(例はNCR)」のみで問題が消失したケースです。
問題行動も消失し、「良かった良かった」と思うかもしれませんが先行子を操作し、適応する環境を作り出しただけで
別にお子さんは何か適切な行動、スキルを学んだわけでは無いですよね?
本当は母親からの注目を得るために、その子の発達の状態にもよりますが例えば、
・ 母親の近くに行き、ぽんぽんと叩く
・ 「ねぇねぇ」と話しかける
・ 何かを生産(例えば絵を描く)し、母親に見せに行く
・ どうしても母親が対応できないときは、そのときにできる一人遊びを探す
などのことができないと、本質的な解決には至っていません。
本質的な解決とはまた同じ環境に戻ったときに上手くやることができるということです。
とは言え「先行子操作」の素敵なところは、私たちには生活がありますから、問題行動が速攻で減っていくことや消失することはかなり魅力的です。
このように考えたとき、
イラストのように先行子操作で短期的な介入法略を行いながら、本質的な解決に至っているわけではないことを自覚し、結果操作でそのときにして欲しかった本質的な解決につながる行動を時間をかけながら教えていく
という視点で介入計画を立てるようにすれば良いと思います。
「先行子操作」と「結果操作」のメリットを生かしながら、またデメリットを補う形で短期・長期という時間軸で設計し、介入計画を立てていくことで問題行動を捉えて行きましょう。
ABA自閉症療育でどのような問題行動から扱う?
自閉症療育という領域はほんとうに様々なことを生活の中で教えながらまた、生活を通して教えている中で生じる様々な問題行動をその度にどう介入するか考えながら、続いていく。
例えば1980年に書かれた「CLAC:Check List for Autistic Child」という行動評定の尺度を作成した梅津耕作の著書があります。
本の中では例えば「食事」「排便」「身だしなみ」「あそび」「対人関係」「言語」「数字」「模倣」「計画性」など、様々な行動評定の指標が紹介されているのですが、
これは生活に必要なさまざまなところで発達についての遅れや問題が生じるためにさまざまな領域をフォローした尺度が必要であったからのようです(参考 梅津 耕作, 1980)。
例えばお子さんについての「問題行動」を聞いていくと1つだけの問題行動で困っているご家庭は少ないように思います。
複数の問題行動について困っていると話されることが多いのですが、
私は「全部一気に手を付ける」というのではなくその中で焦点を絞って少しずつ手をつけていくタイプです。
本当は「ABA(応用行動分析)」の理論自体をしっかりとペアレントトレーニングし、いろいろな問題行動にどう対応するかレクチャーして、親御様の問題行動対応を般化させていくということが理想的だと思いますが、残念ながらまだそこまでは至っていないと思います。
※ だからこそABAを伝えようとこのブログを書いているのですが・・・
複数の問題行動についてお話しされる、私が焦点を絞って少しずつ手をつけていくタイプであるため、どの問題行動から扱っていくのかを決めなければいけません。
私がどの問題行動を扱うかを決めるときに指標としていることは以下のようなものです。
・ 親御様、お子さんが解決することの動機付けの高い問題行動から扱う
→ 本人たちも解決したい動機付けが高いので、積極的に介入に取り組める可能性が高いです
・ 変化しやすそうな問題行動から扱う
→ 問題行動が解決した、介入が上手くいったと経験することで「問題行動は解決する」という意識を持つことができます
・ 介入コストの低そうなところから狙う
→ ABA自閉症療育を始めたての親御さんにまずは手軽なところから始めてもらうと、意外に簡単に「問題行動は解決する」という意識を持つことができます
・ 変化させると他にも波及しそうな問題行動を狙う
→ 例えば母親に対して「泣くことで注意を引く」という問題行動がある。「ねぇねぇと話しかける」というスキルを教えたとすれば、園で他の友達や先生に話しかけるきっかけにもなるかもしれない、というように適切行動が波及して行きそうなスキル培う問題行動を狙う
・ 緊急度が著しく高い場合は最優先でその問題を扱う
→ 例えば「赤信号で走り出す」や「お友達に椅子を投げる」など、自身や他者が死ぬ危険がある、怪我をする危険があると判断した場合には他の優先項目度外視で取り組む
以上のような点を意識し、取り組むべき問題行動を判断しています
ABA自閉症療育で問題行動を扱うときの評価の仕方
O.Ivar Lovaas (2003)は急速に進歩するお子さんもいるが、時間をかけて学習する子もいる。劇的な向上を期待して、子どもに過度のストレスを与えないようにすることが大切であると述べました。
私もそう思いますが、
問題行動を扱う際に聞く意見で多いのは「先生、昨日もあの子、また泣いたんですよ」
などの評価ですが、例えば介入前は1週間毎日泣いていたお子さんが、介入を始めると1週間のうちで2日しか泣かなくなったのにネガティブに評価してしまう
ということが起こります。
このようなことが起こらないため、正しく評価するためにデータを取ることは大切だと感じているのですが、
「問題行動が有る/無い」という「白/黒」ではなく、時間軸で観察し「減っているかどうか?」、「良くなっているかどうか?」という視点で見なくてはいけません。
そもそも人の行動を変容させようということは時間がかかるものだと思っています。
例えば私は朝、仕事に行くときにブラックコーヒーを買って飲みながら駅まで歩いていくことがほとんどです。
これは眠気覚ましでもあり、味も好きなので習慣となっています。
あなたもありませんか?普段習慣的に行っている行動。
例えば私は「朝コーヒー買うな。明日から買ったらダメ。わかった?」と突然言われたらきっと抵抗します。
「え?なんで?」
と思いますし、納得できる理由を聞いたりしますよ?理由を聞かれることはめんどくさいですか?当たり前です。
大人に例えればわかりやすいですが、人(あなたの子どもも含めてね)に行動変容を求めるということは実は結構難しいことだし、本人にも負荷がかかることでしょう。
このようなことを意識して「問題行動が有る/無い」という「白/黒」ではなく、
徐々に変化していく過程を認め、少しずつでも良い方向に向かっていればちゃんと評価してあげる、受容してあげる、褒めてあげるという姿勢が大切だと思います。
・ あなたが毎朝飲んでいるその紅茶はもう飲まないようにしようね
・ 1ヶ月の生活費を5000円少なくしましょうね
・ 明日から上司に1日1回は何かしら質問しなきゃだめよ
・ 寝る前に1時間本を読まないとね
・ 朝起きてから30分ランニングしなければいけませんよ
とか言われたら理由も知りたいし、あと、やれっていうなら方法もしっかり教えて欲しいでしょう?
あ、今日は無理という日も出てくると思いますし、大人も子どもも変わらないですよ。
ABA自閉症療育で問題行動を扱うとき型ではなく機能で見る
例えば「泣く」という行動でこのブログページを書いてきましたが、「泣く」ではなく「物を投げる」、「頭を叩き自傷行為をする」でもなんでもよいですが、
行動を「型」から理解しようとすれば解決が遠のいてしまうことがあります。
行動の「型」とはどのような行動を行なっているか?と読み替えてください。行動の見た目のことです。
ABAの有名な研究に、
Brian A. Iwata・Gary M. Pace・Michael F. Dorsey・Jennifer R. Zarcone・ Timothy R. Vollmer・Richard G. Smith・Teresa A. Rodgers・Dorothea C. Lerman・Bridget A. Shore・Jodi L. Mazaleski, Han-Leong Goh・Glynnis Edwards Cowdery・Michael J. Kalsher・Kay C. Mccosh・Kimberly D. Willis (1994)があります。
Brian A. Iwata他 (1994) は152の自傷行為を行う人たちの事例から、自傷行為を行う意味(機能)を分析し、実は同じような自傷行為でも人によってやっている意味が違うことを見出しました。
Brian A. Iwata他 (1994) の研究結果では、
・ ネガティブな事象からの回避が58例(38.1パーセント)
・ ポジティブな注目やアイテムを獲得するためが40例(26.3パーセント)
・ 自動強化(automatic (sensory) reinforcement accounted )が39例(25.7パーセント)
・ 複数の意味を持つが8例(5.3パーセント)
・ 不明が7例(4.6パーセント)
同じような自傷行為(同じような行動の「型」)でも人によって行っている意味が違うということは実際にあり得ますので、このことは覚えておきましょう。
「うちの子も3歳の頃はよく泣いたのよ。そのときにね、◯◯をすれば泣き止んだのでお勧めよ」というアドバイスが効かないこともありますね。
善意に溢れたこのようなアドバイスは私は個人的にはすごく良いものだなとも思いますが、
人によって意味が違うので、行動の「型」から解決策を模索するのではなく行動の前後から分析し、ケースバイケースで問題解決を計画する必要があるでしょう。
またもう一点、
・ 複数の意味を持つが8例(5.3パーセント)
このようなグループがいることを忘れてはいけません。
というより個人的には発達がまだ未熟なお子さんはこのようなケースが非常に多いと思います。
例えば「泣く」という行動、
・ 「着替えなさい」と言われたときに泣く
・ 「お腹がすいたとき」に泣く
・ 「お母さんから注目して欲しいとき」に泣く
という「泣く(泣く以外でも)」がさまざまなシチュエーション、さまざまな意味(機能)を持って生じることはあり得ます。
シチュエーションによって子どもが泣いている意味が違うことを知っておくこと。
この観点から、親御様から「子どもが泣くのをなんとかしたい」と相談されたとき、「どのようなシチュエーションでの泣きを減らしたいか?」という視点に立ち、解決したい場面の介入戦略を組んでいく。
いろいろな意味があると考えられるときは「泣き全体を減らす」などというざっくりとした介入計画は組まない
まずはどのシチュエーション(機能)の泣きから減らしていくか?
という考え方が大切だと思います。
ABA自閉症療育は「丁寧に、丁寧に」
焦らずでも結果は出す
さいごに
このブログページではABA自閉症療育で問題行動を解決する方法を導入する際の推奨手順について5点書いてきました。
1:ABA自閉症療育ではお子さんに負荷が少ない方法で問題行動を解決する
2:ABA自閉症療育では短期的・長期的な変化を分け問題行動を考える
3:ABA自閉症療育でどのような問題行動から扱う?
4:ABA自閉症療育で問題行動を扱うときの評価の仕方
5:ABA自閉症療育で問題行動を扱うとき型ではなく機能で見る
もう慣れてくるとオートでできるようになっているのですが文字に起こすと、
いろいろ基準を儲けているのだなと自分でも思います
自閉症療育で問題行動を扱っているとお母様、お父様から、
・ 自分の子どもだけどイライラする
・ なんでそんなことをするのか理解できない
・ 本当に嫌になります
などストレスがかかっているんだろうなという意見も度々受け、
例えば特に「スーパーで買うことを拒否すると癇癪を起こす」、「電車の中で突然叫ぶ」、「病院で歌い出す」、「友達を叩く」、「異性に異常に接触する」、「唾を吐く」など、
周りから少し「なんでそんなことするん(あなたの子は)?」と思われるシチュエーションではストレスは高くなるのかな「他者の目」が入ると、と思っています。
難しい課題かもしれませんが親御様が子育てストレスを低く保つことは良好な効果をもたらすようです。
例えばエビデンスとしてLisa A. Osborne・Louise McHugh・Jo Saunders・Phil Reed (2007)が2歳6ヶ月から4歳の自閉症児65人(男性59人、女性6人)の家族を対象に行った研究では、
両親の子育てストレスは「低時間グループ」には影響しなかったが、「高時間グループ」では子育てストレスが高いと子どもが受ける療育の利益が減少してしまうという結果があります。
Lisa A. Osborne他 (2007) の研究では1週間あたり15.6時間以上介入を行ったグループを「高時間グループ」、それ以下を「低時間グループ」と定義したのですが、
特に幼いお子さんと過ごす時間は生活中ほとんどずっとだと思いますので15.6時間を優に超えてくるでしょう。
そのためABA自閉症療育に本格的に取り組むとすればあなたは「高時間グループ」に入ります。
個人的にはマインドフルネスやPBSが良いと思いますが(参考 Singh NN・Lancioni GE・Karazsia BT・Myers RE・Hwang YS・Anālayo B, 2019やNirbhay N. Singh・Giulio E. Lancioni・Oleg N. Medvedev・Rachel E. Myers・Jeffrey Chan・Carrie L. McPherson・Monica M. Jackman・Eunjin Kim, 2018)
私はまだ「マインドフルネス」はできません。
※ 参考「(ABA自閉症療育のエビデンス23)親のストレス対処:MBPBS(https://en-tomo.com/2020/06/19/mbpbs/)」
難しいかもしれませんが、ストレスをあまり溜め込まずに療育ができることが大切です
次にブログページでは「お子様とのホームワーク設定」について書いて行きます。
言葉の遅れの少ない、年長さんくらいのお子さんとの療育で良く使用するものです。
【参考文献】
・ Brian A. Iwata・Gary M. Pace・Michael F. Dorsey・Jennifer R. Zarcone・ Timothy R. Vollmer・Richard G. Smith・Teresa A. Rodgers・Dorothea C. Lerman・Bridget A. Shore・Jodi L. Mazaleski, Han-Leong Goh・Glynnis Edwards Cowdery・Michael J. Kalsher・Kay C. Mccosh・Kimberly D. Willis (1994) THE FUNCTIONS OF SELF-INJURIOUS BEHAVIOR: AN EXPERIMENTAL-EPIDEMIOLOGICAL ANALYSIS. JOURNAL OF APPLIED BEHAVIOR ANALYSIS. No2, 27, p 215-240
・ Lisa A. Osborne・Louise McHugh・Jo Saunders・Phil Reed (2007)Parenting Stress Reduces the Effectiveness of Early Teaching Interventions for Autistic Spectrum Disorders. Journal of Autism and Developmental Disorders Jul;38(6):1092-103. Epub Nov 20.
・ Nirbhay N. Singh・Giulio E. Lancioni・Oleg N. Medvedev・Rachel E. Myers・Jeffrey Chan・Carrie L. McPherson・Monica M. Jackman・Eunjin Kim (2018)Comparative Effectiveness of Caregiver Training in Mindfulness-Based Positive Behavior Support (MBPBS) and Positive Behavior Support (PBS) in a Randomized Controlled Trial. Frontiers in Psychology 7
・ O.Ivar Lovaas (2003) TEACHING INDIVIDUALS WITH DEVELOPMENTAL DELAYS
【邦訳: 中野 良顯(2011) 自閉症児の教育マニュアルー決定版・ロヴァス法による行動分析治療 ダイヤモンド社】
・ Paul A. Albert & Anne C. Troutman (1999) Applied Behavior Analysis for Teachers:Fifth Edition【邦訳 佐久間 徹・谷 晋二・大野 裕史 (2004) はじめての応用行動分析 二瓶社
・ Singh NN・Lancioni GE・Karazsia BT・Myers RE・Hwang YS・Anālayo B (2019) Effects of Mindfulness-Based Positive Behavior Support (MBPBS) Training Are Equally Beneficial for Mothers and Their Children With Autism Spectrum Disorder or With Intellectual Disabilities. Front Psychol. 2019; 10: 385. Published online 2019 Mar 6. doi: 10.3389/fpsyg.2019.00385
・ 梅津 耕作 (1980) 自閉児の行動評定 金子書房