(ABA自閉症療育の基礎27)オペラント条件付け−4つの随伴性と三項随伴性

このページまでの、

「(ABA自閉症療育の基礎20)オペラント条件付けー正の強化と負の強化(https://en-tomo.com/2020/08/15/aba-positive-reinforcement-negative-reinforcement1/)」

「(ABA自閉症療育の基礎21)オペラント条件付けー正の強化と負の強化で覚えておきたいポイント(https://en-tomo.com/2020/08/16/aba-positive-reinforcement-negative-reinforcement2/)」

のページでは「正の強化」と「負の強化」をみてきました。



強化についての振り返り

「強化(Reinforcement)」について

特定の状況の下(A)で、特定の行動(B)が生起したとき、特定の結果(C)が伴う。

その後、特定の状況の下(A)で特定の行動(B)が増加した場合、それは強化と呼ぶ

と紹介しました。


そして、

坂上 貴之・井上 雅彦 (2018) を参考に、

環境に何かを付け加えることによる環境の変化を「提示型」 

環境から何かを取り去ることによる環境の変化を「除去型」 

と呼び、

「提示型=正の強化」

「除去型=負の強化」

と紹介し、

行動が増加したとき、その行動の前後の環境変化に注目し、

行動の前になかったものが行動ののちに出現し、行動が増加した場合を「正の強化」

行動の前にあったものが行動ののちに消失(もしくは低減)し、行動が増加した場合を「負の強化」

と呼ぶと解説しました。


「強化」はイラストで「ココ」と示される結果が伴います


罰についての振り返り

「(ABA自閉症療育の基礎25)オペラント条件付け−罰(https://en-tomo.com/2020/08/20/operant-conditioning-basic-punishment/)」

「(ABA自閉症療育の基礎26)オペラント条件付け−「正の罰」と「負の罰」(https://en-tomo.com/2020/08/21/aba-operant-conditioning-positivepunishment-negativepunishment/)」

では「罰(Punishment)」について

特定の状況の下(A)で、特定の行動(B)が生起したとき、特定の結果(C)が伴う。

その後、特定の状況の下(A)で特定の行動(B)が消失・減少した場合、それは罰と呼ぶ

と私は後輩育成をするときに教えているとを書きました。


これらのページでは「罰」についても「正の罰」と「負の罰」があると述べ、罰についても

「提示型=正の罰」

「除去型=負の罰」

と紹介しました。

行動が消失・減少したとき、その行動の前後の環境変化に注目し、

行動の前になかったものが行動ののちに出現し、行動が消失・減少した場合を「正の罰」

行動の前にあったものが行動ののちに消失(もしくは低減)し、行動が消失・減少した場合を「負の罰」

と呼ぶと書いています。


「罰」はイラストで「ココ」と示される結果が伴います


4つの随伴性ー「正の強化」、「負の強化」、「正の罰」、「負の罰」

ここまでのページで

「正の強化」

「負の強化」

「正の罰」

「負の罰」

という4つのパターン(随伴性)が出てきています。

この4つのパターンを分かりやすくイラストにすれば、以下のように示すことが可能でしょう。


「正の強化」、「負の強化」、「正の罰」、「負の罰」の見方

上のイラストでは外側の黄色いセルの2つの掛け合わせによって「正の強化」、「負の強化」、「正の罰」、「負の罰」のどれにあたるかを示します

このような掛け合わせによって「正の強化」、「負の強化」、「正の罰」、「負の罰」のどれにあたるかが決まるということと、

以下のイラストからわかる関係性、


「B」の変化が「強化」か「罰」かを決定する
「A」「C」の変化が「正」か「負」かを決定する

「B(Behavior):行動」の変化が「強化」なのか「罰」なのかを決定する

「A(Antecedent):行動に先立つ環境、先行状況などと呼ばれる」「C:(Consequence):結果」の変化が「正」なのか「負」なのかを決定する

と覚えるのもわかりやすいと思います。


「B(Behavior):行動」の変化が「強化」なのか「罰」なのか決定するとは、

行動は増えたときには「強化」

消失・減少したときには「罰」


「A(Antecedent):行動に先立つ環境、先行状況などと呼ばれる」「C:(Consequence):結果」の変化が「正」なのか「負」なのかを決定するとは、

「A」のときに無かったものが、行動後「C」で出現した場合は「正」

「A」のときにあったものが、行動後「C」で消失・低減した場合は「負」

ということです。



三項随伴性(Three-term Contingency)

「強化」と「罰」、そして「正」と「負」、この4つのキーワードから

「正の強化」

「負の強化」

「正の罰」

「負の罰」

というパターンが考えられます。

このようなパターンは「行動」とその前後の「環境」から成り立つパターンです。


Enせんせい

ABAでは行動と環境をセットにして捉え、行動を変えて行こうという考え方が基本になります


このブログでは

行動は「B(Behavior):行動」

前後の環境は「A(Antecedent):行動に先立つ環境、先行状況などと呼ばれる」「C:(Consequence):結果」

で表してきました。

(参考 例えば)

「(ABA自閉症療育の基礎16)オペラント条件付けの基本ユニット(https://en-tomo.com/2020/08/07/operant-basic-unit/)」


「(ABA自閉症療育の基礎16)オペラント条件付けの基本ユニット」で紹介したイラスト

このような「行動」とその前後の「環境」から成り立つパターンは「三項随伴性(Three-term Contingency)」と呼ばれます。

以下、出てくる「先行事象」と「結果事象」という言葉は

「先行事象」=「A(Antecedent):行動に先立つ環境、先行状況などと呼ばれる」

「結果事象」=「C:(Consequence):結果」

という言葉に置き換えて読んでください。


Raymond .G .Miltenberger (2001) によれば三項随伴性は先行事象と行動と結果事象の関係性を意味します。

島宗 理 (2019) はABAの分析の基本単位として、オペラントにおいては先行事象、行動、後続事象からなる「三項随伴性」が基本単位となると述べています。

このブログではたびたび「機能分析」というワードが出現してきましたが、宮下 照子・免田 賢 (2007) を参考にすれば、

機能分析とは先行事象、行動、後続事象から、

何がきっかけで行動が起こり、

行動がどういう機能を果たしているのか、

後続する結果が行動をどのように強めているのか

の三項随伴性を分析する

こととなります。

機能分析は特に、お子さんの問題行動に対処する際に力を発揮する手法です。

お子さんに有効な機能分析を行っていくためにも「行動」と「環境」で捉える「三項随伴性」の考え方には慣れていく必要があります。



さいごに

このページでは「ABA自閉症療育の基礎(https://en-tomo.com/aba-basic/)」、オペラント条件付けでここまででみてきた4つの随伴性、

「正の強化」

「負の強化」

「正の罰」

「負の罰」

についてまとめてきました。

このブログでは4つの随伴性をまとめたのですが、本によってはさらに多くの随伴性(例えば「阻止の随伴性」)が紹介される場合があります(参考 杉山 尚子・島宗 理・佐藤 方哉・リチャード W マロット・マリア E マロット, 1998)。

興味のある方は調べてみてください。


またこのページでは「三項随伴性」というキーワードが紹介されました。

ページ内では「行動」とその前後の「環境」から成り立つパターンを「三項随伴性(Three-term Contingency)」と呼ぶことを紹介しました。

「三項随伴性」はABA療育の基本となりますが、特に「機能分析」を行っていくときに必要な考え方です。


次のページでは一度「罰」に戻ります。

O. Ivar Lovaas・James Q. Simmons (1969)の研究を参考に「罰」を臨床適用した場合の効果について見ていきましょう。

この研究は自傷行為を行う3人の精神遅滞児に対し電気ショックを使って自傷行為を減らそうとした研究です。



【参考文献】

・ 宮下 照子・免田 賢 (2007) 新行動療法入門 ナカニシヤ出版

・ O. Ivar Lovaas・James Q. Simmons (1969) MANIPULATION OF SELF-DESTRUCTION IN THREE RETARDED CHILDREN. JOURNAL OF APPLIED BEHAVIOR ANALYSIS No3, 143-157

・ Raymond .G .Miltenberger (2001)Behavior Modification : Principles and Procedures / 2nd edition 【邦訳: 園山 繁樹・野呂 文行・渡部 匡隆・大石 幸二 (2006) 行動変容方入門 二瓶社】

・ 坂上 貴之・井上 雅彦 (2018) 行動分析学 行動の科学的理解をめざして 有斐閣アルマ

・ 島宗 理 (2019) 応用行動分析学 ヒューマンサービスを改善する行動科学 新曜社

・ 杉山 尚子・島宗 理・佐藤 方哉・リチャード W マロット・マリア E マロット(1998)行動分析学入門 産業図書