(ABA自閉症療育の基礎94)ABA自閉症療育で自閉症児に模倣をどう教える?DTT・NBIー模倣・般化模倣を促進する

「(ABA自閉症療育の基礎93)ABA自閉症療育で模倣は大切?自閉症児に模倣を教えるとき知っておきたい般化模倣(https://en-tomo.com/2021/08/27/autism-imitation-and-aba-generalized-imitation/)」で般化模倣とは簡単に言えば、

般化模倣とは模倣することを強化することで、別の教えていない行動についても模倣するようになる

こととご紹介しました。


(ABA自閉症療育の基礎93)ABA自閉症療育で模倣は大切?自閉症児に模倣を教えるとき知っておきたい般化模倣のサムネイル

また同ページ内でABA自閉症療育にはこの「般化模倣」を狙って模倣を教えるルートとして、DTTとNBIの2つが少なくとも存在すると思うと述べたのですが、

本ブログページではこのDTTとNBI2つのルートからどのように自閉症児に般化模倣を促していけば良いかも書いて行きましょう

DTTとNBI2つのルートについて紹介をしたのち、できなかったときにはどのように教えれば良いか?ということについても書いて行きます


まずはDTTで般化模倣を促すルートからご紹介して行きましょう。



ABA自閉症療育で模倣を促すーDTTでの般化模倣トレーニング

DTT「Discrete Trial Teaching(離散型試行訓練)」のことで、

主にロバースが行なった「EIBI:Early Intensive Behavioral Intervention (早期集中行動介入)」で使用される療育手法です。


山本 淳一・松崎 敦子 (2016) を参考にすれば、

DTTとは一元的なカリキュラムの下で明確な指示の提示があり、お子さんが行動をした後に強力な強化子(お子さんにとって価値を持つ結果)を伴わせる方法となります。


DTTで模倣を教えるオーソドックスな方法としては動作模倣というものがあり、

支援者が「マネして」などと言って何かしらの動きを行い、お子様がマネをしたあとに強化子(お子さんにとって価値を持つ結果)を伴わせるという方法がオーソドックスです。


ABA自閉症療育で動作模倣を教えるとき(その他の行動を教えるときもですが)、オペラント条件付けの理論を使用します。


オペラント条件付けの理論に沿って模倣を教えます
Aが支援者の「マネして」Bがお子様のマネをする行動Cがお子様のマネの行動結果に対しての強化結果

発達がゆっくりなお子様の場合は最初は「タッチする」、「手を上げる」、「お腹を触る」などの簡単な動きをマネさせるようにすると良いでしょう。

動作模倣で大きな身体の動きをマネさせる場合、「粗大運動(そだいうんどう)の動作模倣」と呼び、指先や口先などの小さい動きをマネさせる場合「微細運動(びさいうんどう)の動作模倣」と呼ぶことが一般的です。


O.Ivar Lovaas (2003) 動作模倣プログラムの究極目標は、子どもに般性模倣を教えることと述べています。

般性模倣は本ブログページで書いている般化模倣と読み替えてもらって構いません。


動作模倣を教えて行く順番について例えばO.Ivar Lovaas (2003) を参考にすれば、


(1) ものを使った動作模倣(バケツにつみきを入れる、太鼓を叩く、コップで飲むふりをする、おもちゃの食べ物を食べるふりをするなど)

(2) ものを使わない動作模倣(ひざを叩く、回る、腕を組む、あごをさわるなど)

(3) 手先の器用さが必要な動作模倣(指をさす、紙を切る、2個のレゴブロックを引っ張って外す、人形の髪の毛にヘアクリップをつけるなど)

(4) さらに手先の器用さが必要な動作模倣(人差し指と中指で机の上を歩く、両手の人差し指の先同士を合わせる、歯を指さす、握り拳を作って親指から順に1本ずつ広げるなど)

(5) 顔の動作模倣(口を開く、息を吹く、チュッと音を立てる、舌を出すなど)


また以上のものは基本的には上から順番に難易度が上がると考えられるものの、各番号内(1−5)にも難易度設定があります。

そのため、例えば(1)「ものを使った動作模倣」ではおもちゃの食べ物をたべるふりをするというプログラムを行い、(2)「ものを使わないプログラム」のひざを叩くというプログラムも同じ時期に行う、並行して各番号のプログラムを進めるということでも構わないでしょう。


動作模倣の難易度順についてはO.Ivar Lovaas (2003) のマニュアル内にかなり細かい記載があります。

もし興味がある人は手に取ってみても良いでしょう。


O.Ivar Lovaas (2003)

動作模倣のプログラムでは大きな動きから細かい動きができるようレベルアップして行くことが基本です。


Enせんせい

特に「(5)顔の動作模倣」はその後「音声模倣」という発語を促すプログラムへと発展して行くことが期待できるでしょう


O.Ivar Lovaas (2003) のマニュアルではその後、2段階、3段階の動作模倣のプログラムも紹介されています。

2段階、3段階の動作模倣とは「頭を叩いてから(1段階)足踏みをする(2段階)」というように複数の動きの模倣です。


私たちの生活で模倣を使うとき、単一の動きだけを模倣する機会は少ないでしょう。

例えば私はボーリングが苦手なのですが学生時代ボーリングの上手い友達から見てマネようとしたときを思い出すと、


・ レーンに立つ位置

・ 腕の上げる高さ

・ 腕をどのように振り下ろすか

・ フォロースルー後の形


とかなり複数の連続した動きを模倣していたことを思い出します。


動作模倣のプログラムでは、単一の動きで模倣できるようになった動き同士を合わせて複数の動作模倣を教えて行くということも行うようにしましょう


すでにできた模倣を使って2段階のモデルを見せ、モデルを見せたその後、お子様に2段階のモデルを行ってもらう
イラストは「パー」したあと「グー」してもらうことを狙っている


ABA自閉症療育で模倣を促すーNBIでの般化模倣トレーニング

続いてNBIで模倣を教えて行くルートをご紹介します。

NBIとは「NBI(Naturalistic Behavioral Interventions:自然主義的行動療法)」のことで、

DTTと同じでABAの療育手法、主にオペラント条件付けの理論を使用してお子様に療育を行っていく方法なのですが山本 淳一他(2016) を参考にすれば、

子どもの興味に合わせた遊び場面や日常生活の中で、DTTより比較的自然なセッティングの中で多様な行動を促し、比較的自然な強化子を伴わせることが特徴です。


イメージとしてはDTTではお子様に対して教える側が「これをマネするんだよ」と行って欲しい動きのモデルを見せそれを模倣させていたことに対し、NBIでは、

お子様の自発的な動きを模倣行動に結びつける

ということに重きが置かれている印象があります。


私個人としては動作模倣を教えるとき、DTTで教えるよりこのNBIで教える方法の方が難易度が高いと感じますが、例えば保育士さんなどお子様と遊ぶことが上手い人はNBIの方が簡単と思うかもしれません。


Enせんせい

人によって得意なものとそうじゃないものはありますね


NBIで動作模倣を強化して行きたいときの1つの方法が「逆模倣」というものです。

逆模倣というキーワードは例えば佐久間 徹 (2013) は著書の中で出てきます。


佐久間 徹 (2013)

佐久間 徹 (2013) は著書の中でロバースの手続きの改善点を述べました。

以下は私なりに佐久間 徹 (2013) が著書で述べた改善点をまとめたものです。


(1) 発声や発話に食べ物を伴わさせる手続きは有効だが、生活場面との弁別が生じる可能性がある(般化しない)

(2) ロバースの行っているセッションは集中的で日数も経費もかかるので、日常の中にトレーニングを持ち込むことでこのことが解決できる可能性がある

(3) 社会的な強化子(例えば母親の応答)として機能するように、食べ物以外の結果を伴わせて強化子として機能するようにする必要がある

(4) 言葉の意味を教えるとき、りんごを「りんご」と教えているが実生活では必ずしもりんごは「りんご」と呼ばれない。例えば3時にはそれは「おやつ」と呼ばれるかもしれない。そのため対象物と名称を固定化することは言語本来のダイナミクスではない可能性がある

(5) 周囲の人からの承認、微笑、尊敬、感謝などは通常一時性強化子よりも強化力が高いがそれを有効利用していないことがある

※ 本著は過去のロバースの手続きに対しての改善点を述べているもので、例えば現在ではロバースも食べ物を強化子として使用すると言うよりは社会的強化子の重要性も述べている


フリーオペラント法は例えば以上のようなロバースの改善点を踏まえ開発されました。


逆模倣はフリーオペラント法の中で使用される手続きですが、フリーオペラント法を紹介した本著の中で佐久間は「子どもを過保護にし充分に甘やかす。わがままは可能な限り受け入れる」という方向性についても書いています。


Enせんせい

これはABA自閉症療育を行なっている専門家でも賛否意見が分かれるところかもしれません

例えば「え?それって不適切な注意引きや要求行動を強化しちゃうんじゃない?」など、聞こえてきそうです


「不適切行動を強化する」ということはABA自閉症療育では見る人が見れば「禁忌」のような行為に映るかもしれません。

個人的には佐久間のフリーオペラント法は甘えさせることも含め、理にかなっていると思うところもありますので興味がある人は是非読んでみて下さい。


私の解釈でフリーオペラント法とは?をものすごくシンプルに言うとすれば、

フリーオペラント法とは先行刺激の影響をできるだけ小さくし、お子様の自発的な行動に対して(社会的)強化子を伴わせることでお子様の自発行動を拡大して行く方法

と言えると思います。

言い換えれば、一般的な自然な発達にかなり近い発達の促し方です。


また他の個人的な印象としてはフリーオペラント(特に佐久間の著書で書かれているもの)では自閉症児の「特定の行動を修正する」というよりは「親子関係全体を含めて育む」というような、大きな視点で療育を行なっていく方法のように思っています。


このような関係性も含めた療育の行方は私の印象としては実は近年海外の方があとから注目をしてきているイメージで、

例えば上手な人の関わり方について近年Ty W. Vernon・Anahita N. Holden・Amy C. Barrett・Jessica Bradshaw・Jordan A. Ko・Elizabeth S. McGarry・Erin J. Horowitz・Daina M. Tagavi・Tamsin C. German (2019) などの研究がありますが、

Ty W. Vernon他 (2019) の研究はNBIの1つPRTの新しいPRTのエッセンスを示したRCTのパイロットテスト研究です。

気になる人は以下のブログページでまとめていますのでご覧ください。

「(ABA自閉症療育のエビデンス14)PRISM(Pivotal Response Intervention for Social Motivation)(https://en-tomo.com/2020/06/07/prismpivotal-response-intervention-for-social-motivation/)」


(ABA自閉症療育のエビデンス14)PRISM(Pivotal Response Intervention for Social Motivation)のサムネイル

フリーオペラント法は日本で開発されたもので、興味がある人はGoogleなどで「フリーオペラント 自閉症」などで検索してみると論文が観覧できると思います。

少し話は逸れてしまいましたが、以下話を模倣に戻し、逆模倣についてご紹介して行きます。


佐久間 徹 (2013)逆模倣の手続きとしてお子様の動作、発声、発話をそのまま模倣して返す。飛び跳ねたら一緒に飛び跳ね、「あいーあいー」と声を出したら一緒に「あいーあいー」と声を出すことを紹介しました。

佐久間 徹 (2013) によれば逆模倣はお子様自身が受容されている、共感されているんだということを具体的に伝えるために効果的なようです。


手続きの発展としては逆模倣から始め、相互に模倣し合うことを狙って行きます。

お子様が親御様から模倣されていることに興味を持ち出し楽しみ始めたようすがあれば順調です。

逆模倣が強化されると徐々に親御様を注目する行動も強化され、あるタイミングで親御様の方の動きに釣られてお子様が親御様と同じ動きをすることが見られたら(お子様の模倣行動)、その模倣に強化子を大きく伴わせましょう


大きく強化子を伴わせるとは、模倣が見られる度に抱っこやおんぶ、高い高いなどを行うことをイメージしてください。

療育後、支援している側はかなり汗をかいている、このような状態になっているでしょう。


Enせんせい

初期はお子様の行動を逆に模倣していた関係性から、お子様が親御様の行動を模倣するチャンスが広がり、

そのチャンスの中で模倣する頻度を上げて行く方法が逆模倣だろうと個人的には考えています


本格的にやるのであればできれば最初の数ヶ月は毎日20分以上はこのような時間を集中的に作れればベストです。

NBIはかなり幅広い支援方法が開発されている印象ですので本ブログページでご紹介したフリーオペラント法以外の模倣促進手続きも存在するでしょう。


以下、もし模倣行動が出現しなかった場合のプロンプトについて書いて行きます。

結構色々なパターンがありますよ


模倣行動が出現しない場合ーABA自閉症療育アイディア

上のブログページではABA自閉症療育で使用するDTT、NBIでお子様の模倣行動を促す手続きをご紹介してきました。

ABA自閉症療育では以上のような手続きで模倣を促し、促した模倣が般化する、般化模倣を狙って行きます


「どこまで模倣力が上がれば般化模倣が生じるか?」、ということは個々のお子様によることと、

また「般化模倣ができたとは、どの程度の範囲で模倣が般化したときなのか?」と聞かれても全体に対して均一の答えを出すことはなかなか難しく個々の生活状況によるという答えになるでしょう。

とは言え教えた行動が般化するためにはまず種になる行動を教える必要がありますので、そういった意味ではもし方法がわからないと言った場合は本ブログページで見てきた方法を試してみるのは良いと思います


さて、手続きを紹介はしてきましたが動作模倣は実はお子様によってはなかなか獲得に時間のかかるスキルです。

特にアイコンタクトや共同注視が乏しい、他者への興味関心が薄いと言ったお子様の場合その傾向が顕著だと思います。


本項ではなかなか動作模倣をお子様が行なってくれない場合にどうすれば良いかというポイントを書いて行きましょう。



お子様が模倣したくなるシチュエーションを工夫するー模倣行動

お子様の模倣行動が出現しなかったとき、試して欲しいことはお子様が模倣したくなるシチュエーションを工夫することです。

例えば音楽が好きなお子様の場合は音楽に合わせて模倣を促すことなどが考えられるでしょう。


・ DTTでは「結んで開いて」の手遊びが好きなお子様の場合は「その手をうえに」のときに一緒にお子様の右手を上げるよう誘引する(対面で親御様がモデルを出すとき、親御様は左手を上げる)

・ NBIでは「結んで開いて」の手遊びが好きなお子様の場合は親御様が1人で「結んで開いて」の手遊びを行い誘引し、お子様が少しでも模倣したり興味を持ったタイミングで笑顔やくすぐりなどを返す


などが考えられるでしょう。


お子様の好きな手遊びで興味を惹く

またお子様が模倣したくなるシチュエーションを工夫することは自然で直接的ではない強化子(例えばお菓子)を使用することでも作ることが可能です。

例えばお子様の好きなクッキーを口の前に持って行き模倣行動のモデルを見せると、クッキーがないときと比べて模倣行動を行う確率が上がります。


この自然で直接的ではない強化子を使用する方法は色々試したけれども難しい場合に使用するようにしましょう。

最初はこの方法で模倣を促すことになったとしても、そのときに抱っこやハグなどの強化的な関わりを行って行くことで、徐々にお子様も人との関わりだけで行動してくれるようになることが期待できます。



お子様に模倣してもらう行動の難易度を下げるー模倣行動

お子様の模倣行動が出現しなかったときに試して欲しい他の方法はお子様に模倣してもらう行動の難易度を下げる方法です。


例えば、

お子様に行って欲しい模倣行動(ターゲット行動)が「あごをさわる」であった場合、もっと広い範囲の「頭をさわる」方が簡単ですし、

「両手を上げる」よりも動きの可動域の狭い「ほっぺをさわる」方が簡単なお子様が多いかもしれません


「かもしれません」と濁したのは、お子様によってもそれぞれ難易度が微妙に違ってくるからですが、

今行っている模倣行動が難しい場合は少し難易度を下げることを検討しましょう。


難易度の下げ方は以下のイラストのような感じで、


既にできていることと、できて欲しいことの中にある難易度設定

既にできていることと、できて欲しいことの中にある難易度設定を考えプログラムを設計して欲しいです。


またRobert L.Koegel・Lynn kern Koegel (2012) の著書からPRTのエッセンスをヒントに、

「教えている模倣」に加えて「既にできる模倣」も織り交ぜることで課題全体の難易度が下がったようにお子様が感じられる工夫をすることもできます。


例えば、

<できる課題> → <できる課題> → <教えている課題> → <できる課題> → <できる課題> → <教えている課題> → <できる課題> ・・・


のような形で課題設計しましょう。


このとき織り交ぜる課題は最初は1:1以上の比率で「できる課題」を混ぜ、また規則性のないランダムな順番で混ぜることがポイントです。



身体プロンプトを使用するー模倣行動

お子様の模倣行動が出現しなかったときに試して欲しい他の方法として身体プロンプトの使用も検討しましょう。

プロンプトは簡単に言えば適切な行動を引き起こすための「ヒント」です。

「身体プロンプト」では字の如く、ターゲット行動が出現しなかった場合に身体的なヒントを与えます


具体的には例えば手を上げる模倣を促したいときにお子様が模倣しなかったとすれば、モデルを出していない方の手でお子様の手を上げることをサポートします。

このとき最初はがっつりと手を掴んで上げてサポートしても良いでしょう。

※ 慣れてきたらお子様ができるだろう最小のサポートから行うようにしていってください


今出しているプロンプトを弱めて行く、例えば徐々に指で上げて欲しい手を突くだけなど、プロンプトを弱めて行くことを意識しましょう。

このようなプロンプトを弱めて行く手続きをプロンプトフェイディングと言います。

プロンプトフェイディングのコツは「お子様が1人でやってる感」をいかに演出できるかどうかです。


またプロンプトを使用するだけでは行動の変化を望むことは難しいでしょう。

ここまで紹介した方法全てにも共通するのですが、ABAでは行動が発達して行くためには理論上、強化子の存在が必須です。

そのためプロンプトを行いターゲット行動が出現したときにはしっかりと強化し、行動が発展して行くことを狙って行きましょう。


プロンプトと強化については以下のブログページが参考になると思います。

「(ABA自閉症療育の基礎42)オペラント条件付けー強化法とプロンプト(https://en-tomo.com/2020/09/27/reinforcement-prompt/)」


(ABA自閉症療育の基礎42)オペラント条件付けー強化法とプロンプトのサムネイル


さいごに

本ブログページではABA自閉症療育で模倣を促進する手続きについてDTTとNBIの視点から書いてきました。

そしてその後、模倣行動が出現しないときに行うべきポイントをご紹介しました。


まだ模倣行動を獲得していないお子様の場合特に、模倣の獲得はお子様の成長を著しく促すでしょう。

例えば本ブログページでは「身体プロンプト」というプロンプトが出てきましたが、模倣自体もプロンプトとして使用することが可能です。

お子様がターゲット行動を行わない際、親御様が身体プロンプトを行わなくともモデルを見せることで行動を促すことができます。

プロンプトフェイディングではプロンプトの「侵襲度(しんしゅうど)」を弱めて行くことが肝要なのですが、一般的に身体プロンプトよりもモデルでプロンプトを出した方がプロンプトの侵襲度が弱いです。

※ プロンプトの侵襲度とはプロンプトの強さ、弱い方が自発的な行動に繋がる


また自発的な模倣(般化模倣)が促進されれば、周囲を見てお子様が勝手に行動をしてくれる可能性も広がります。

これは自然にお子様が成長してくれることと読み替えても良いでしょう。


Enせんせい

私は般化模倣に期待できる最大の効果がこの自然な成長であると思います


さて本ブログページでは模倣の促進の仕方をご紹介しました。

模倣を促進することで般化模倣が生じることを期待しながら、日々模倣行動の強化に努めましょう。


次も模倣行動についてのブログページとなります。

次のブログページでは模倣行動の中でも「音声模倣」というものにフォーカスし書いて行きましょう。



【参考文献】

・ O.Ivar Lovaas (2003) TEACHING INDIVIDUALS WITH DEVELOPMENTAL DELAYS 【邦訳: 中野 良顯(2011) 自閉症児の教育マニュアルー決定版・ロヴァス法による行動分析治療 ダイヤモンド社】

・ Robert L.Koegel・Lynn kern Koegel (2012) Pivotal Response Treatment for Autism Spectrum Disorders 【邦訳 小野 真・佐久間 徹・酒井 亮吉 (2016) 発達障がい児のための新しいABA療育 PRT  Pivotal Response Treatmentの理論と実践 二瓶社】

・ 佐久間 徹 (2013) 広汎性発達障害児への応用行動分析(フリーオペラント法) 二瓶社

・ Ty W. Vernon・Anahita N. Holden・Amy C. Barrett・Jessica Bradshaw・Jordan A. Ko・Elizabeth S. McGarry・Erin J. Horowitz・Daina M. Tagavi・Tamsin C. German(2019)A Pilot Randomized Clinical Trial of an Enhanced Pivotal Response Treatment Approach for Young Children with Autism- The PRISM Model. Journal of autism and developmental disorders, 49(6)

・ 山本 淳一・松崎 敦子 (2016) 第2章 発達障害の支援の基本 早期発達支援プログラム 【編集 下山 晴彦・村瀬 嘉代子・森岡 正芳 (2016) 必携 発達障害支援ハンドブック 金剛出版】