ABA自閉症療育でお子様に療育を行なっている中で「プロンプト(Prompt)」という言葉を耳にすることがあると思います。
このプロンプトを一般的な、簡易的な言葉で言い換えれば「ヒント」や「補助」と思ってもらって構いません。
ABAのプロンプトについて例えばRaymond .G .Miltenberger (2001)を参考にすれば、
本来、自然に行動を引き起こすであろう刺激を「弁別刺激」と呼ぶのですが、
そのような自然な「弁別刺激」に反応できないとき、反応できるよう付加する刺激がプロンプトです。
例えばあなたが朝、起きてリビングに向かったとしましょう
お子様も同じタイミングでリビングにやってきました
あなたはお子様に「おはよう」とあいさつをします
お子様もあなたに「おはよう」とあいさつを返します
このときあなたが先にお子様へ「おはよう」と言ったこと、これは「弁別刺激」です。
「弁別刺激」を一般的な、簡易的な言葉で言い換えれば「合図」や「キュー」と思ってもらって構いません。
相手から「おはよう」とあいさつがあったことは、自身(この場合はお子様)が「おはよう」とあいさつをする「合図」になりますね?
ですのでお子様はあなたに対して「おはよう」とあいさつを返します
上のようなやりとりの流れは一般的で「受け入れられない」、「変だ」と思うものではないでしょう。
しかし、もしあなたが「おはよう」と言ったとき、お子様があいさつを返してこなかったとしたらどうでしょう?
特にこの理由が「相手からあいさつがあったとき、あいさつを返す」ということが未学習(または学習途中)である場合はプロンプトが効果的です。
※他の原因として「親子間」の関係が一時的に悪化していたり、あいさつに対する強い恐怖や不安などがあり、「相手からあいさつがあったとき、あいさつを返す」ということはできるものの、抑制がかかる形であいさつを返さない場合は他の手段が有効な場合もあります
例えば、
・ 「おはよう、と言って」と直接的に伝え相手の行動を促す
・ 「ん?何言うんだった?」と間接的に伝え相手の行動を促す
・ 「お、は?」と言うべき言葉の単語一部分を伝え相手の行動を促す
・ 紙に「おはよう」と書かれた文字を見せ相手の行動を促す
・ お父様にきてもらって、お父様とお母様であいさつのモデルを見せ相手の行動を促す
・ 5秒くらいこちらが固まって反応を待つことで相手の行動を促す
上のようなものは全てプロンプトです。
Raymond .G .Miltenberger (2001)を参考にすれば、
自然な「弁別刺激」に反応できないとき、反応できるよう付加する刺激がプロンプトでした。
『あなたが「おはよう」と言った』自然な「弁別刺激」に反応できなかったため、反応を促すために上のオレンジのような「何か(プロンプト)」を付加する。
このようなイメージとなります。
まず以上のように「弁別刺激」と「プロンプト」を分けて考えることが大切です
Lisa McNiven (2016) はプロンプトは学習者が特定のスキルを使うのを手助けする手順であり、プロンプトは目標とされる行動に従事したり、スキルを獲得することを支援するための学習者への言葉、身振り、または身体的な支援であると述べています。
ちなみにO.Ivar Lovaas (2003) は「プロンプト」は「弁別刺激」を出すのと同時、または出してから1秒以内に行うべきであると述べていました。
O.Ivar Lovaas (2003) が述べているように、弁別刺激を出してからあまりにもプロンプトを出すのが遅いと、それはもうプロンプトとして機能しないことが多いでしょう。
また細かい話ですが、ここまで、
『あなたが「おはよう」と言った』自然な「弁別刺激」
と書いてきましたが、実はそれ以外にも、
・ 時間帯が朝である
・ あなたが目の前に(視覚的に)存在する
なども目立たないものの上記の例の中では弁別刺激に含まれています。
これは弁別刺激とは決して1つの要素だけではない、ということです。
弁別刺激もいろいろな刺激の複合物である、このことも知っておきましょう。
さて本ブログページタイトルは『プロンプトはフェイディングをして行こう「自発行動促進と依存防止」、強化子をセットにする』です。
タイトルから、
・ プロンプトをフェイディングする理由「自発行動促進」のため
・ 強化子をセットにすること
・ プロンプトをフェイディングする理由「依存防止」のため
について以下、書いていきましょう。
読みやすくするように上の順番でブログ記事を書いていきます。
最初に『プロンプトをフェイディングする理由「自発行動促進」のため』について書いていきますが、その中で最初に「フェイディングとは?」という点についても見ていきましょう。
プロンプトをフェイディングする理由「自発行動促進」のため
まずプロンプトを「フェイディング」するということの意味を書いていきます。
『自然な「弁別刺激」に反応できないとき、反応できるよう付加する刺激がプロンプト』
がキーワードです。
そしてもう一つこれを考えるときに必要な視点は「なぜプロンプトを行い、行動を促すのか?」ということになります。
それはなぜでしょうか?
このブログページで「あいさつ」を例に出しましたが、
「あいさつ」で言えば、最終的にはあなたの前以外でも適切なタイミングではお子様があいさつができるようになって欲しいでしょう?
ただそれができる、そのためには、
まずはあなたの前で「あいさつ」ができるようになる必要がある、色々な人、場所、タイミングで適切に行えるために「あなたの前でできる」という最初の種を蒔く必要があるのです。
ただ現状、『あなたがお子様に「おはよう」』という弁別刺激を提示したとしても『お子様からあなたに「おはよう」』という反応(行動)が返ってくることが無い(もしくは少ない)、
こういった現状があった場合、『お子様からあなたに「おはよう」』という行動は促して引き出す必要があり、そのとき使用するものが「プロンプト」となります。
『あなたがお子様に「おはよう」』という弁別刺激を提示したタイミングで本来は返ってくるであろう『お子様からあなたに「おはよう」』が無い、
だから「プロンプト」が必要なのだ、という観点に立てば、
『あなたがお子様に「おはよう」』という弁別刺激以外の付加した刺激(関わり)全てがプロンプトと呼べるのです。
『あなたがお子様に「おはよう」』という弁別刺激以外の付加した刺激以外のもの(プロンプト)は本来、
「自然な弁別刺激」に含まれない刺激となるため、それがなくともお子様が反応できるように練習をして行く必要があります。
「自然な弁別刺激」に含まれない刺激、これはつまりプロンプトのことです。
使用しているプロンプトを徐々に無くして行って「自然な弁別刺激」のみで反応(行動)できるように計画し、支援して行くことをプロンプトフェイディングと言います。
そしてここまでの説明で項タイトルの『「自発行動促進」のため』という部分の理解も深まったかもしれません
しかし私たちの世界に「何の弁別刺激もない世界」は存在しないでしょう。
歩くときには道という弁別刺激があり、臭いが入ってきたとき木花の香りも弁別刺激になることもあります。
そのため「弁別刺激の下で出現した行動は自発行動ではない」と考えてしまうとややこしくなるでしょう。
「何が自発行動とは何か?」ということも悩んでしまったときは?
「自然な弁別刺激」のみで反応(行動)できたとき、自発行動
と捉えれば良いでしょう。
支援を行うときの頭としてはそれで充分なはずです。
つまりここまで例に出してきたあいさつの場合、
『あなたがお子様に「おはよう」』という弁別刺激を出したとき、『お子様からあなたに「おはよう」』という反応(行動)が返ってくる
これが達成できたとき、それはお子様の自発的な行動と言えます。
「あいさつ」で言えば、最終的にはあなたの前以外でも適切なタイミングではお子様があいさつができるようになって欲しいでしょう?
例えばABA自閉症療育の最終的な目的は?
私はABA自閉症療育ではお子様が新しいスキルを獲得することが目的ではなく、
お子様に教えた知識やスキルが適切な人や場所で発揮され、自然に強化を受け発展して行くことが目的である
と思っているのですが、上のようなことを目指すステップのもっと前の段階として「まずどこかでできるようになる」ことが大切だと思っています。
例えばそれはあなたの前です。
お子様が自然に強化を受け発展して行くためには、
お子様が自発的に適切なタイミングで教えたところ以外でスキルを使用する必要があるでしょう
このようなことを達成するためにもお子様がプロンプトなく「自発的に」行動を行うことが大切になります
ここまでが「自発行動促進」のためにプロンプトをフェイディングする理由でした。
プロンプトのフェイディングとは、「自然な弁別刺激」のみで反応(行動)できたことを目指すため、徐々に出しているプロンプトが無い状況で練習をして行くことです。
プロンプトフェイディングについてO.Ivar Lovaas (2003) は、
プロンプトフェイディングでは教示の強さは維持しながら、プロンプトの方は段階的にますます弱くしていくようにすると述べています。
O.Ivar Lovaas (2003) の述べている「教示(きょうじ)」はここまでご紹介してきた「弁別刺激」と読み替えてください。
O.Ivar Lovaas (2003) の「教示の強さは維持しながら」という言葉も大切です。
「弁別刺激」は弱めていかず、そのまま残しておいて良いということも覚えておきましょう。
続けてO.Ivar Lovaas (2003) は、プロンプトフェイディングを「座る」課題で例を紹介をしています。
以下見ていきましょう。
座る課題でプロンプトフェイディングするには「すわって」と教示すると同時に、身体的プロンプトは減らすようにする
つまり、かろうじて正反応を引き起こせる程度の強さに抑えるのである
具体的には、まず子どもを完全にプロンプトして椅子に座らせる
次は子どもの肩に手を置く
それから指一本で軽く触る
さらにうなずきながら手でジェスチャーしてみせる
最後は椅子を見るだけにする
このようにシフトして行くのである
最終的には、「すわって」の教示だけにして、プロンプトは一切与えないようにする
上は「すわって」という課題のプロンプトフェイデング例ですが、プロンプト(ヒント、補助)は少しずつ弱くなっていることに気がつくと思います。
これはお子様が徐々にプロンプトなく自分一人でできるようになっているということです。
またこれはO.Ivar Lovaas (2003) が記載した方法や順序でやらなければ行けないというわけではないことには注意してください。
プロンプトフェイディングの方法や順序はお子様に合わせてチューニングし、
基本的には(怒って動かすなどの抑制的なルートを通らなければ)どのようなルートを通ったとしても、
最終的にプロンプトがフェイディングされていればOKです
ここから余談ではありますが、ここまでのエピソードで少し頭がこんがらがってしまったかもしれないことにも触れておきます。
今回、親しみやすい、想像しやすいように「あいさつ」を例に書いてきました。
そのため少しややこしかったかもしれないなと懸念しているのは、あいさつは、
(1)『あなたがお子様に「おはよう」』と言い『お子様からあなたに「おはよう」』と返ってくる
ここまで紹介した以上のパターン以外に、
(2)『お子様からあなたに「おはよう」』と言い『あなたがお子様に「おはよう」』と返す
というパターンもあるでしょう。
これは同じあいさつなのですが、「別のスキル」として教える方が賢明でしょう。
もちろん「(1)『あなたがお子様に「おはよう」』と言い『お子様からあなたに「おはよう」』と返ってくる」を教えているときに、行動が般化し、
「(2)『お子様からあなたに「おはよう」』と言い『あなたがお子様に「おはよう」』と返す」が出現することもあるでしょう。
それはそうなったらラッキーくらいに思っておいて構いません。
「おはようと言われたとき、おはようと返す」ことと、「朝、出会ったときにおはようと言う」ことは、スキル使用のタイミングが違う(弁別刺激が違う)ため、別のターゲットとして捉えます。
つまり、
(1)『あなたがお子様に「おはよう」』と言い『お子様からあなたに「おはよう」』と返ってくる
→ 『あなたがお子様に「おはよう」』という弁別刺激を出したとき、『お子様からあなたに「おはよう」』という反応(行動)が返ってくる = お子様の自発行動
(2)『お子様からあなたに「おはよう」』と言い『あなたがお子様に「おはよう」』と返す
→ 朝、リビングであなたを見つけるという弁別刺激があったとき、『お子様からあなたに「おはよう」』という反応(行動)がある = お子様の自発行動
というように分けて考え、教えましょう。
同じに捉えてしまうと、「あれ?あいさつの自発行動って何やっけ?何が自発なんだっけ?」と混乱してしまうかもしれません。
だから分けて考えましょう。
次の項では「強化子をセットにすること」について書いていきます。
強化子をセットにすること
ここまでプロンプトフェイディングについて、
プロンプトのフェイディングとは、「自然な弁別刺激」のみで反応(行動)できたことを目指すため、徐々に出しているプロンプトが無い状況で練習をして行くことです。
とご紹介してきました。
さて本項は「強化子をセットにすること」ですので、このことについて書いていきましょう
今やっとプロンプト、ヒント付きで出来たとき、ヒントをなくしてできるようになるのだろうか?
それを達成するために欠かせないのが「強化子」です。
ABAで強化子とは「行動を増加させる、強める結果」のことを言います。
強化子についてもっと詳しく言えば、強化子は「正の強化子」と「負の強化子」に分けられるのですが、これはどちらも行動を増加させる、強める作用を持つものです。
但しABA自閉症療育では基本的に「正の強化」が推奨されます。
「正の強化子」と「負の強化子」については過去にブログでも扱っていますので、検索窓に入れてキーワード検索をしてみてください。
「正の強化」による「行動を増加させる、強める結果」というのは行動の拡張も含みます。
このとき行動の拡張を含むとは、
以前強化された弁別刺激下(シチュエーション)に類似した場面でも、行動が生起しやすくなる
と言う意味です。
つまりプロンプトを徐々に段階的に抜いて行くことは、以前強化された弁別刺激下(シチュエーション)に類似した場面で行動を引き起こさせている、と言い換えられます。
このとき、以前強化された弁別刺激下(シチュエーション)に類似した場面で行動を引き起こさせるため、「正の強化」によって「行動を増加させる、強める」ことが必須です。
「正の強化」によって「行動を増加させる、強める」ことで類似場面で行動が出現する可能性、確率が上がります。
そのためプロンプトフェイディングと強化子をしっかりと与えることはセットで捉えてください。
細かくプロンプトをフェイディングする設計だけでも、強化子を適切に与えるだけでも、どちらかだけではプロンプトフェイディングの支援は不十分です。
『「プロンプトを使用する」+「正しく強化する」』 → 『「前よりも弱めのプロンプトを使用する(プロんプトフェイディング)」+「正しく強化する」』
というように、
プロンプトフェイディングを行うとき、常に正しい強化子も必要になります。
このことも大切なことですから覚えておきましょう。
またコツとして、プロンプトフェイディングがなかなか上手くいかないときは、
・ ターゲットが難しすぎないかどうか見直す
・ 1回のチャンスで何度か実施する
・ 与える強化子を強めにしてみる
という方法で取り組むのが良いと思います。
「1回のチャンスで何度か実施する」と「与える強化子を強めにしてみる」という2つの方法は併用しても構いません。
この方法については「(ABA自閉症療育の基礎83)ABA自閉症療育で言葉・発語を教えるのに最適!マンドトレーニング(https://en-tomo.com/2021/03/18/aba-mand-training/)」の、
「テクニック:1チャンスに何度もマンドさせる」の項目で解説をしていますのでご参照ください。
最後に『プロンプトをフェイディングする理由「依存防止」のため』について書いていきます。
プロンプトをフェイディングする理由「依存防止」のため
Raymond .G .Miltenberger (2001)はできるだけ速やかにプロンプトを取り除き、プロンプトから自然な弁別刺激に刺激性制御を移転させる必要性を述べました。
私もRaymond .G .Miltenberger (2001) が述べているように、
プロンプトについては必要がなさそうになったのであればできるだけ速やかに取り除くようにする方が良いと思います。
「できるだけ速やかに取り除く」というのは、
徐々に段階的にではあるものの、スススーっと可能な限りスピーディにタイミングを見て取り除いて行く、ということです
まず前提としてそのようにプロンプトのフェイディングについては捉えておいてください。
さて本項タイトルにある「依存」とは何でしょうか?
ABA自閉症療育には「プロンプト依存」という言葉があります。
プロンプト依存とは、出現して欲しい適切な行動も、プロンプトを使用した状況で練習することをあまりにも続けてしまうと、プロンプトがなければ出現しなくなってしまう現象
です。
例えば「指示が出てからでしか動かない」、「自発性が著しく低い」といった状態のお子様の場合、
生活の多くの中でプロンプトが使用されており、生活全体の活動がプロンプト依存に陥っていないかどうかを一度、確認をする必要があるでしょう。
※ 「指示が出てからでしか動かない」、「自発性が著しく低い」といった状態のお子様の場合、上のように生活全体の活動がプロンプト依存になっていることの他に、不安感が高く自発性が低下しているなどの別の角度からのアセスメントも必要となってきますが
O.Ivar Lovaas (2003) もプロンプト依存を避けるために指導者は全てのプロンプトを段階的に撤去しなければならないと述べています。
プロンプトを使用して強化し、行動を増やして強める中で、自発性を高め行動を発展させて行くことは重要ですが、同じように正しくプロンプトをフェイディングして行くことも重要です。
このことを覚えておきましょう。
と、ここまでプロンプト依存を避けるためにフェイディングして行く重要性を書いてきました。
ただ次の点も覚えておきましょう。
プロンプトは依存を避けるためにもフェイディングして行くことは重要なのですが、教えているスキルは1日で習得できる、というものばかりではありません。
例えば本ブログで例として出していた朝のあいさつなどはチャンスも少ないこともあり、1日の中でフェイディングすることは難しいかもしれません。
このように日を跨いだり、トレーニング間で何時間も間が開く場合(例えば早朝にトレーニングしたことを、夜寝る前にもするなど)、単純に練習したことを忘れているということが起こりえます。
そのためプロンプトフェイディングは意識するものの、前回の練習でフェイディングしたプロンプトのレベルよりも1ステップ前に戻したプロンプトのレベルから練習をスタートする、
ということでも大丈夫でしょう。
プロンプトフェイディングをどのようなスピードで行うかの調整はお子様によって変えて行く必要があるところです。
確かにプロンプトはできるだけ早くフェイディングして行くべきものではありますが、前のプロンプトレベルに戻っては行けない、ということはありません。
プロンプトのフェイディングもだんだんとできていったら良い、決して綺麗な右肩下がりでまっすぐな線を描くようにフェイディングできないかもしれませんが、それでも良いのです。
スキルにもよりますが、例えば1週間前と比べて現在はプロンプトが弱まっている、というような少し長期的な時間も織り込んでフェイディングすることを計画してみてください。
またプロンプトだけでなくプロンプトフェイディングが上手くいかないとき、「与える強化子を強めにしてみる」というコツを本ブログページの前項でご紹介しました。
強化子も強くすることも最初は良いのですが、あまりに強い強化子を使用して行動を引き起こす練習をした場合には、強化子もフェイディングして行く必要もあります。
このような作業を「リダクション」と呼ぶようです。
例えば島宗 理 (2019) は強化子のリダクションについて、
新しい行動を形成した後、その行動を維持するのに、「好子(こうし ※ 強化子のこと)」の量を減らしたり、頻度や確立を減らしていく手続きをリダクションと呼び、臨床・実践ではよく行われている技法
と述べています。
このようにプロンプト依存だけでなく、強い強化子がないと行動が引き起こされないという強化子依存も意識しながら、ABA自閉症療育に取り組んでいきましょう。
さいごに
本ブログページではプロンプトのフェイディングについてご紹介をしてきました。
プロンプトはお子様に何かを教えるとき、ABA自閉症療育で使用されるメジャーな支援方法です。
メジャーな度合いで言えばABA自閉症療育を行うとき、プロンプトを使用せずに行うことは無いと言って良いだろう、というレベルでメジャーであり、そのためその注意点についても知っておくべきだと思いました。
本ブログページでご紹介した注意点はプロンプトはフェイディングして行く必要がある、ということでした。
また特に本ブログページでも書きましたが、ABA自閉症療育を通してお子様に何かを教えるとき、「なぜ教えているか?」という視点を持つことが大切だと思います。
私自身の答えは、ABA自閉症療育は、
お子様に教えた知識やスキルが適切な人や場所で発揮され、自然に強化を受け発展して行くことが目的である
と考えているのですが、
「だったら自発的に行動できるためにプロンプトはフェイディングしなければだよね?」というように、
「何を目指して行っているから、どういうように行うか?」という視点を持ちながら意識し、療育を行なうことが、方法に更に磨きをかけるのかなと感じているところです。
本ブログページではプロンプトフェイディングについて、
・ プロンプトをフェイディングする理由「自発行動促進」のため
・ 強化子をセットにすること
・ プロンプトをフェイディングする理由「依存防止」のため
という3点から論じてきました。
本ブログページの内容が明日からのあなたのABA自閉症療育に活かせる内容となりましたら幸いです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
【参考文献】
・ Lisa McNiven (2016) Effects of Applied Behavior Analysis on individuals with Autism. http://gcd.state.nm.us/wp-content/uploads/2018/05/Effects_of_Applied_Behavior_Analysis_on_individuals_with_Autism.pdf
・ O.Ivar Lovaas (2003) TEACHING INDIVIDUALS WITH DEVELOPMENTAL DELAYS 【邦訳: 中野 良顯(2011) 自閉症児の教育マニュアルー決定版・ロヴァス法による行動分析治療 ダイヤモンド社】
・ Raymond .G .Miltenberger (2001)Behavior Modification : Principles and Procedures / 2nd edition 【邦訳: 園山 繁樹・野呂 文行・渡部 匡隆・大石 幸二 (2006) 行動変容方入門 二瓶社】
・ 島宗 理 (2019) 応用行動分析学 ヒューマンサービスを改善する行動科学 新曜社