早いもので「ABA自閉症療育の基礎」の章は100ブログに達成しました
この章をどこまで続けるか?というところもありますが記念すべき100記事目は「偏食指導」をテーマに書いて行きます。
千葉県栄養士会(2022.9.9サイト観覧)によれば「偏食(へんしょく)」とは、
一般的にある特定の食品に対する好き嫌いがはっきりしていて、しかもその程度がひどい場合
を言うようです。
「偏食」というのは、別に自閉症の方だけが陥る状況ではございません
最初にこのことを意識することは結構大切なことだと思っています
例えば私の友達には大人になっても「生魚が食べれない人」や「煮たお肉は食べれない人」などがいますが、この人たちも偏食を持っていると言えるでしょう。
小さい頃は「緑色の野菜がものすごく嫌いで食べられない」という友達も周りにいました。
私の友達は自閉症ではありません(そういった診断は無いと思います)でしたが、偏食を持っていました。
私自身は食の好き嫌いは無いため偏食の気持ちが理解できるとは言えませんが、嫌悪的な目で嫌いな(食べることができない)食材を見ている友達を当時、目にすると本当に嫌なんだなという気持ちにを持っていたことを覚えています。
私は自閉症のお子様で偏食の問題を抱えている方に今まで多く出会ってきました。
私の友達は生魚が食べられないにしても魚から摂取する必要があるタンパク質は「焼き魚」、「大豆」、「肉」と代替が効くと思いますが、
自閉症のお子様が抱える偏食問題で極端な例で言えば例えば「唐揚げと焼きそばとクッキーしか食べない」などの状態も存在し、栄養素の観点から心配です。
また、篠崎 昌子・川崎葉子・猪野 民子・坂井 和子・高橋 摩理・向井 美恵 (2007) の研究でも書かれていましたが、
「いつもと違う場所では食べない」や「いつもと違う人がいたら食べない」、「食器が違うと食べない」などのパターンも存在するでしょう。
こういったパターンも偏食と呼べます。
そして、生まれてからずっと偏食があったというお子様もいますし、「昔は食べれたものが徐々に食べられなくなってきている」という状態であるお子様もいます。
また「食べられない」というのは、実際に食べさせようとすると強く抵抗するため、正しく言えば「食べさせることが非常に困難である」状態です。
本ブログページでは以上のような偏食についてどのように指導を行って行くのかについて書いて行きましょう。
ABAを用いて偏食指導を行った研究を2本引き合いに出し、私が行う偏食指導についても述べて行きます。
使用する論文は、
Robert L. Koegel・Amber A. Bharoocha・Courtney B. Ribnick・Ryan C. Ribnick・Mario O. Bucio・Rosy M. Fredeen・Lynn Kern Koegel (2012) の
「Using Individualized Reinforcers and Hierarchical Exposure to Increase Food Flexibility in Children with Autism Spectrum Disorders(自閉症スペクトラムの子どもにおける食の柔軟性を高めるための個別の強化子と階層的エクスポージャーの使用)」と、
Tonya Davis・Madison Crandall・Laura Phipps・Regan Weston (2017) の
「Using Shaping to Increase Foods Consumed by Children with Autism(シェイピング手続を用いて自閉症の子どもが食べることができる食目を拡大する)」です。
上で紹介した論文のタイトル「括弧内( )」タイトルは私訳ですがこの2本はほとんど同じ手続きを用いています。
ほとんど同じ手続きなのですがRobert L. Koegel他(2012) はその手続きを「エクスポージャー」として分析、説明しており、
Tonya Davis他 (2017) は「シェイピング」の手続きとして分析、説明しました。
※ エクスポージャーやシェイピングについてはブログ内でも解説しています。検索窓でそれぞれのキーワードを検索するとブログ記事が出てきます
どのような観点から分析・説明をするかというトピックもとても面白いなと思いますが、本ブログページではどのように彼らが偏食指導を進めて行き、自閉症のお子様が食べられる品目を拡大していったのか?
という点に焦点を当てて書いて行ければと思います。
以下自閉症、発達障がいと呼ばれるお子様に対しての偏食指導について手続き(法方)を見ていきましょう。
自閉症児への偏食指導研究
以下Robert L. Koegel他(2012) とTonya Davis他 (2017) の研究を紹介して行きましょう。
その中でRobert L. Koegel他(2012) とTonya Davis他 (2017) の研究手続きを紹介し、偏食指導の方法をお伝えいたします。
自閉症児への偏食指導研究ー参加者の簡易プロフィール
2本の自閉症児への偏食指導研究ではどのような方が対象となっていたのか?
あなたのお子様が同じ手続きで大丈夫か確認するフィルターの1つです
Robert L. Koegel他(2012)の研究には6.4歳〜7.8歳の3名の自閉症児が参加しています。
以下、彼らの簡単なプロフィールです。
1人目、6歳11ヶ月自閉症のダニエルくんの自発的な発言はステレオタイプ、エコイック、学んだフレーズで構成されており、興味の幅は限定されているお子様でした。
IQは平均よりも低いと推定されています。
ダニエルくんは新しい食べ物が提示されたとき、泣くこと、叫ぶこと、泣くこと、そして食べる場所から逃げることなどの食事行動を示しました。
ダニエルくんが研究参加時に食べることができた食物はラスティのピザ、フライドポテト、チキンナゲット、牛ひき肉、ケチャップ、そしてバニラアイスクリームの6目でした。
2人目、6歳4ヶ月自閉症のケンくんの自発的な言語は、たいてい1〜2語の発話、または時折3〜4語の発話を含む学習フレーズで構成されていました。
発達検査を受けたものの検査不可だったもののIQは平均よりも低いと推定されたようです。
ケンくんは新しい食べ物が提示されたとき、食事場所から逃げる、叫ぶ、叩く、そして投げるといった食事行動を示しました。
ダニエルくんが研究参加時に食べることができた食物はアップルソース、ヨーグルトスムージー、オレオクッキー、マクドナルドフライドポテト、シュニッツェルチキン、金魚クラッカー、バター付きスパゲッティ麺、プレッツェル、ポップコーン、フルーツスナック、ゼリービーン/グミ、チーズパフ、そしてトレーダージョーズのバナナピーナッツバターワッフルの13目でした。
3人目、7歳8ヶ月自閉症のロビーくんの自発的な言葉は、限られた複雑な会話の交換を伴う4〜5語の発話でした。
IQは平均よりも低いと推察され、また適応能力も低かったため普段母親からの援助を必要としていました。
ロビーくんは新しい食べ物が提示されたとき、吐き出し、不適切に食べ物を払う、叫ぶ、泣く、泣くなどの食事行動を示しました。
ロビーくんが研究参加時に食べることができた食物はシロップ、ポテトチップス、シリアル、マカロニとチーズのワッフル、トルティーヤと卵、バナナ、パン、クッキー、フライドポテト、チーズとマヨネーズのサンドイッチ、ピーナッツバターとゼリーのサンドイッチ、チキンナゲット、そしてピザの13目でした。
以上Robert L. Koegel他(2012)の研究に参加した参加者の簡単なプロフィールです。
以下Tonya Davis他 (2017) の研究に参加した方のプロフィールを見て行きましょう。
Tonya Davis他 (2017) の研究には1人の男の子と1人の女の子が参加しました。
参加した男の子は自閉症の7歳イアンくんです。
イアンくんは2歳からABAによる療育を受けており、またグループでのABAも受けていたようです。
Speech Serviceも1週間に2時間受けていました(多分、日本で言う言語聴覚士が行う訓練のこと)。
イアンくんは指示に従うことができて、また文章で話すこともできました。
イアンくんが研究参加時に食べていたものは母親が作ったピューレ野菜とチキンでした。
参加した女の子は8歳のエリーさんです。
エリーさんは自閉症以外にてんかん、ADHD、知的障がいの診断がありました。
彼女は1ー2語の言葉を話すことができ、1ステップの指示にも従うことができました。
エリーさんも毎週、ABA自閉症療育を受けており、他に作業療法、理学療法、言語療法も受けていました。
エリーさんが研究参加時に食べていたものポップコーン、ペパロニ、ジュースでした。
以上Tonya Davis他 (2017)の研究に参加した参加者の簡単なプロフィールです。
以下、以上のようなプロフィールの研究参加者についてRobert L. Koegel他(2012)そしてTonya Davis他 (2017) がどのように食べられる品目を増やしていったのか、手続きを書いて行きます。
自閉症児への偏食指導研究ー研究手続き・スモールステップの介入計画
Robert L. Koegel他(2012)、Tonya Davis他 (2017) のどちらの研究でも介入開始前にお子様に食べて欲しい品目のリスト作成が行われました。
もしあなたがお子様に対して偏食指導を行っていこうと思ったとき、
まず最初にお子様に食べて欲しい食物のリストアップから始めても良いと思います
Robert L. Koegel他(2012)、Tonya Davis他 (2017) どちらの研究でも介入前にベースラインが測定されていますが、本ブログではベースライン測定のところは一旦置いておいて、どういった手続きで食べられる品目を拡大していったのかについて述べて行きましょう。
まずはRobert L. Koegel他(2012)、Tonya Davis他 (2017) の研究でどのようなスモールステップの支援計画が立てられたのかです。
Robert L. Koegel他(2012)の研究では、お子様が新しい食べ物にチャレンジするときの受け入れレベルが以下のように設計されています。
レベル0 食べ物を試すことを拒否する(破壊的な行動の有無にかかわらず)
レベル1 食べ物に触れ、それを口に向かって動かす(食べ物を投げるなどの破壊的な行動として食べ物に触れることは含まれません)
レベル2 食べ物を唇につける
レベル3 食べ物を噛む
レベル4 噛んで口に入れ、飲み込むことを拒む
レベル5 食べ物を噛むが飲み込むことを拒む
レベル6 しぶしぶ食べ物を飲み込む
レベル7 不快感や破壊的な行動の兆候なしに食べ物を受け入れる
以上のようにスモールステップ化し、新しい食べ物でも上のレベルで受け入れられることを目指して練習をして行きました。
「レベル7 不快感や破壊的な行動の兆候なしに食べ物を受け入れる」が達成できたとき、それは新しい食べ物が食べられるようになった、と判断して良いでしょう。
Tonya Davis他 (2017)の研究では、お子様が新しい食べ物にチャレンジするときの受け入れレベルが以下のように設計されました。
レベル0 全拒否
レベル1 食べ物を唇に触れる
レベル2 食べ物を口に入れる、食べ物を飲み込まない
レベル3 食べ物を飲み込む
の4段階のレベルでした。
レベル0からレベル3は定義づけされていますので定義もご紹介します。
定義は以下のものです。
レベル0の全拒否の定義:参加者が食品と接触しない場合
レベル1の食べ物が唇に触れるの定義:参加者が評価中の食料品に手で触れ、SDの提示から2分以内に唇に触れることと定義した
レベル2の食料品を口に入れる、食べ物を飲み込まないの定義:参加者が自分で食べ物を掴み、それを2分以内にSDに続いて唇の面を越え口に入れることと定義した
レベル3の食料品を噛んで飲み込むの定義:参加者が自分で食べ物を掴み、それを唇の平面を通り過ぎて口に入れ、それを2分以内にSDに続いて顎を上下に1回動かして咀嚼した後に嚥下することと定義した
「レベル3 食べ物を飲み込む」が達成できたとき、それは新しい食べ物が食べられるようになった、と判断して良いでしょう。
何ができれば良いか行動を定義することはスムースな介入には大切なこととなります。
以上がRobert L. Koegel他(2012)、Tonya Davis他 (2017) の研究で行われたスモールステップでの支援計画です。
以上のスモールステップの支援計画に基づき介入を行っていきます。
ここまで見ていただいてRobert L. Koegel他(2012)、Tonya Davis他 (2017) 両方の研究で用いられた支援計画、かなり似ていると思われませんでしたか?
私がこれらの論文を見て「あぁ良いなこの手続き、私も使おう」と思ったところも以下、少し紹介しましょう。
2つの研究で共通しているステップに、
「食べ物を一旦口に入れるものの、飲み込まない」というステップがあります。
これは一度口に入れた食べ物を「吐き出す」ことを許可するということです。
これらの論文を読む前、私の行う偏食指導にはここのステップは入っていませんでしたが、これらの論文を読んでからこのステップを自身の手続きに入れるようにしました。
このステップはお子様によってチューニングをしますが、
「5秒間口に入れる」とか「1回噛む」とか、「舌の味を感じる部分に食品を置く」、「細かく(例えば米粒以下のサイズ)したものを口に入れる」など更に細かく分けチューニングします。
一度口に入れた食べ物を「吐き出す」ことを許可することについて、
ABAの考え方として、それは間違いではないか?
以上のような疑問を持たれるかもしれません。
考えようによっては、一度口の中に食物を入れると言うことは「嫌悪的な味」を感じると思うので、吐き出すことは逃避行動となり負の強化を強めてしまう(食べる行動を弱める)のではないか?
という考え方もあるかもしれません。
「吐き出す」ことを許可するは、このように解釈することも可能です。
そのように解釈できることは承知していますが私は経験上、偏食指導を行うとき、一度口に入れたものの出しても良いというステップを入れ込むことは効果的だと考えています。
ここまで書いてきたようにRobert L. Koegel他(2012)、Tonya Davis他 (2017) 両方の研究では似たようなスモールステップの支援計画が立てられました。
以下このようなスモールステップの支援計画に対してどのように介入を進めていったのかについて書いて行きましょう。
自閉症児への偏食指導研究ー研究手続き・介入方法
Robert L. Koegel他(2012)の研究では、お子様が欲しい強化子を要望したとき、どのようにすればその強化子が手に入るのかが教示されました。
例えばお子様から「フライドポテトが欲しい(これはお子様にとって好みの食べ物)」や「ビデオが見たい」と要望があったとき、
Robert L. Koegel他(2012)はお子様にそうであればどのような行動を実行する必要があるのかを伝えました。
例えばお子様が「ビデオが見たい」と言ったとき、支援者は「じゃあ、X(これは今偏食指導でチャレンジしている食べ物)を唇につけよう」などと指示したということです。
そしてお子様が指示した内容の行動(例えば食物を唇につける)ことができたとき、お子様が欲した強化子と共に大きな賞賛が与えられました。
先ほど書いたスモールステップの支援計画に基づいて徐々に求めるレベルを上げていくのですが、介入の基本は以上のようなものです。
Robert L. Koegel他(2012)では破壊的な行動(かなり反抗的な態度)無しに3回連続で実行できたとき、次のレベルへと進められました。
次にTonya Davis他 (2017) の研究手続きを見て行きましょう。
Tonya Davis他 (2017) の研究でもRobert L. Koegel他(2012)同様に介入対象になっている食べ物をお子様が受容できた(例えばターゲットが唇に触れるであればそれができる)場合に強化子が提供されました。
Tonya Davis他 (2017) の研究では同時に4つの食物が4つのお皿に乗せられてお子様に提示されたようですが、介入対象になっている食物の入れ物だけ色が違い、お子様から見て何の入れ物の食べ物を自分が受容すれば良いかはかなりわかりやすい設定となっていました。
※ 個人的には4つの食物を同時にお皿に乗せて提示する、ということはしなくても良いと考えています
Tonya Davis他 (2017) の研究でもお子様に例えば「チキンを唇に触れたら、タイタニックを作ってあげる!」など教示し2分以内に目標となっているレベルの行動ができたとき、お子様は30秒間強化子に触れることができました。
またお子様は大人から多くの賞賛を受けました。
※ この場合、介入対象になっている食べ物はチキン
Robert L. Koegel他(2012)同様にTonya Davis他 (2017) の研究でも破壊的な行動(かなり反抗的な態度)無しに3回連続で実行できたとき、次のレベルへと進められました。
Tonya Davis他 (2017) の研究では2分間の中でお子様が行動を起こさない場合、15秒ごとに「チキンを唇に触れたら、タイタニックを作ってあげるよ!」とシチュエーションを思い出させる声かけもしています。
Robert L. Koegel他(2012)でもTonya Davis他 (2017) の研究でも最終的にもしお子様ができなかったときしても「強化子に触れさせない」という結果を提示するだけで、特にお子様を叱咤したり問い詰めたりすることはありませんでした。
以上が自閉症児への偏食指導介入手続きとなります。
自閉症児への偏食指導研究ー研究結果
Robert L. Koegel他(2012)の研究ではダニエルくんは8つ、ケンくんは5つ、ロビーくんは9つの新しい食物を受け入れることができるようになりました。
介入期間はグラフを見ると長くて10週間程度です。
その後の期間測定もあるのですが3人は更に食べられる食物のリストが増加しました。
全員、食物の般化(トレーニングしていないものを食べるようになった)も確認されています。
Tonya Davis他 (2017) の研究結果も見て行きましょう。
イアンくんはいろいろな食物を平均すると10回の施行で最終レベルに達したようです。
エリーさんは平均17回の施行を要しました。
お子様によって最終レベルに達成する試行回数が違うという結果も知っておきましょう。
Tonya Davis他 (2017) の研究では1時間のセッションで10施行を1週間に2回行ったので、大体2人とも週に1つ、2つくらい食物の品目が増えていった計算になるでしょう。
Tonya Davis他 (2017) の研究ではグラフを見ると91試行行われました。
だいたいどれくらいの試行回数をどれくらいの期間で行った結果なのか、目安として知っておいてもよいでしょう。
以上がRobert L. Koegel他(2012)とTonya Davis他 (2017) の偏食指導研究結果です。
さいごに
Robert L. Koegel他(2012)は考察の中で自閉症の顕著な特徴である、ある種の硬直性と柔軟性の欠如に関して、この分野(偏食)でのさらなる研究は非常に生産的である可能性があると述べました。
確かに自閉症児・者は「こだわりが強い」、「変化に弱い」と言われることがありますね
Robert L. Koegel他(2012)の述べているように自閉症の偏食については、彼らの特徴でもあるこのような「こだわりが強い」、「変化に弱い」一側面を反映していると言えるかもしれません。
本ブログページ冒頭「生魚が食べれない人」や「煮たお肉は食べれない人」、そういう私の友達を紹介しました。
ただ彼らは例えば婚約者の親がそのことを知らず自慢の手料理だと言ってそれらを出してきたとすると食べるかもしれません。
しかしRobert L. Koegel他(2012)とTonya Davis他 (2017) の研究に出てきたお子様たちを思い出してみてください。
彼らは介入前、自身が食べることができない食物が提供されたとき、食事場所から逃げる、叫ぶ、叩く、投げる、吐き出すなどの社会的に受け入れられない程のレベルで強い抵抗を示していました。
「生魚が食べれない人」や「煮たお肉は食べれない人」も嫌な食物が提供された場合、同じように嫌な気持ちを感じると思いますが、自閉症の方が示す抵抗はもっと強い場合があります。
Tonya Davis他 (2017) は考察で食物の柔軟性に欠けるお子様を持つご家庭は、子どもの食事を管理するために家族の毎日の日課を調整しなければならないかもしれないと述べ、
食べ物への柔軟性が高まるとレストラン、友人の家、誕生日パーティー、休暇、見学などお子様が家の外で食べる能力が高まり社会的な機会が増加すると述べました。
私自身が偏食指導が好きな理由もまさにここで、お子様が偏食があるが故に旅行に行けない、家族全体の食事のメニューとは別に毎日偏食の子ども用メニューも用意しなければいけないという多大なる手間を抱えているご家族様に出会ってきたことから、
家族が楽になるという1つの手段として偏食指導が好きです。
かなりやりがいのある分野だなと感じています。
次のページでも偏食指導について書いて行きましょう。
「ABA自閉症療育の基礎」の章ではこれから数ページに渡って偏食指導について書いて行きますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【参考文献】
・ 千葉県栄養士会 https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/generational/hensyoku/
・ 篠崎 昌子・川崎葉子・猪野 民子・坂井 和子・高橋 摩理・向井 美恵 (2007) 自閉症スペクトラム児の幼児期における摂食・嚥下の問題 第1報 食べ方に関する問題 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 11(1) p42-51
・ Robert L. Koegel・Amber A. Bharoocha・Courtney B. Ribnick・Ryan C. Ribnick・Mario O. Bucio・Rosy M. Fredeen・Lynn Kern Koegel (2012) Using Individualized Reinforcers and Hierarchical Exposure to Increase Food Flexibility in Children with Autism Spectrum Disorders. Journal of Autism and Developmental Disorders. 42(8): 1574–1581
・ Tonya Davis・Madison Crandall・Laura Phipps・Regan Weston (2017)Using Shaping to Increase Foods Consumed by Children with Autism. Journal of Autism and Developmental Disorders. 47 : 2471–2479