このブログページでは「効果的な自閉症療育とは?」ということを書いていこうと思います。
「効果的な自閉症療育について」現在2021年ですがこの先10年、20年すると変わっている内容でしょう。
むしろ変化、進化している方が望ましいです
このブログページでは「現在のところこのような自閉症療育が効果があるらしい」、ということについて私の知っていることを書いていきたいと思います。
またここまでブログ内でご紹介してきた「EBP(Evidence Based Practice:エビデンスベースドプラクティス)」と「ケースフォーミュレーション(Case Formulation)」についての相性や扱い方についても書いていきましょう。
そのためにまず「効果的とはどういう意味か?」そして、グループ比較研究とシングルケーススタディについて最初、簡単に書いて行きます。
「効果的」とはどういう意味か?
このページでタイトルとなっている「効果的」とはどういった意味なのでしょうか?
私の答えとしては、
「効果的なエビデンスがある」と述べる場合、一言でいえば「AとBで差がある」というように述べることができるでしょう。
「効果」とは「比較したときに、差があるかどうか」です。
また、「どのように比較するか?」については、さまざまな研究法によって比較する法方があり、
研究法によって、研究内で示された「差」の影響力が大きいのかどうかというヒエラルキー(階層)が存在します。
「(ABA自閉症療育のエビデンス4)準実験/RCT /メタ分析/系統的レビューの解説(https://en-tomo.com/2020/03/28/hierarchy-2/)」
でご紹介したように研究法にはいろいろなものがあるのですが、大きく分けると、
1. グループ比較研究 or シングルケーススタディ
2. 複数の研究を包括した研究 or 個々の研究
に分けられます。
このブログページでは「1.グループ比較研究 or シングルケーススタディ」について書いていきましょう。
「複数の研究を包括した研究 or 個々の研究」については上で紹介している「(ABA自閉症療育のエビデンス4)準実験/RCT /メタ分析/系統的レビューの解説のURL」からご覧ください。
グループ比較研究 or シングルケーススタディ
グループ比較研究とは例えば40人のお子さんを用意し、20人(グループA)と20人(グループB)に分けます。
このときお子さんをランダムにグループ分けしたものが「個々の研究」としては最上位のヒエラルキーとなる「RCT(ランダム化比較試験)」と呼ばれる研究法です。
グループ分けし例えば、
「グループA」のお子さんには「ABA介入」を行い、「グループB」のお子さんには「非ABA介入」を行うとグループ間で行う介入の差を設定するのですが、
介入前に例えば「尺度」と呼ばれる、「IQ」や「社会性」、「言語」、「親のストレス」などを測っておき、介入前は「グループA」と「グループB」のお子さんは差がなかったということを確かめておきます。
ABA自閉症療育ではグループ比較研究に差こそありますが、数週間〜数年間の間それぞれの介入を続け、
介入前は「尺度」に差がなかったAとBのグループが、介入後は「尺度」に差があったというところで「効果」を示すのです。
「尺度」に差があったかどうかは「統計」で示します
対して、シングルケーススタディではどうでしょうか?
グループ比較研究ではグループ間の比較を示しますが、シングルケーススタディでは個人間の比較を示します。
これはまた「シングルケーススタディ」の章で詳しく書いていきたいと思いますが、時系列によって条件を変え、個体内に対して有効で効果的な方略を探っていく研究です。
例えば代表的なシングルケーススタディのデザインに「ABABデザイン」というものがあるのですが、
「ABAB」デザインでは自閉症のお子さんの「モノを投げる」という行動について分析する際、
「A条件」・・・特に親からの注目・関わりは与えない
「B条件」・・・親から十分に注目・関わりを与える
と2条件を準備しA条件とB条件を例えば15分づつ、それぞれ2回「ABAB」と繰り返してお子さんに示し、「A条件下のお子さんのパフォーマンス」と「B条件下のお子さんのパフォーマンス」を比較し「差」を比較します。
以上の条件比較を行い、
「A条件」では「モノを投げる」という行動が頻発し、「B条件」では「モノを投げる」という行動がほぼない、というような条件間の差が見られた場合、
「モノを投げる」という行動は親からの注目や関わりを求めて行っている可能性があるというように分析ができます。
グループ比較研究でもシングルケーススタディでも「可能性がある」というところまでしか言及できないことには注意しましょう。
科学とはそのような慎重な姿勢で取り組むことが大切です。
Alan E. Kazdin (1983) はグループ比較研究もシングルケースデザインも、どちらも異なる条件下でのパフォーマンスを比較するため、論理は基本的に変わらないと述べています。
「何と何を比較しているのか?」と言った違いがあるものの、比較をして「差があるかどうか」ということを研究では求められ、研究で示された「差」が介入効果と呼ばれることと知っておきましょう。
※ メタ分析においては「効果量」というものを統計で算出することができるのですが、私もまだメタ分析について良くわかっているわけではなく、メタ分析の場合はこの限りではないかもしれません
グループ比較研究から見た効果的な療育とは?
以上のような研究によって自閉症児に対して効果的と言われる介入方法がこれまで示されてきました。
グループ比較研究からは以下のような関わりが自閉症児に対して効果的だろうと言われています。
Katarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008) はNational Research Council (2001)の内容から自閉症児への効果的な介入要素は以下に集約できると述べました。
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・ 自閉症が疑われればただちに介入プログラムを開始すること
・ 最低週5日、1日5時間の集中的な訓練への能動的な参加
・ 短期間用に構成された計画的指導の機会の反復利用
・ 毎日、大人からの個別的配慮を受ける
・ 親の訓練を含む家族の力の統合
・ 進行中の評価と対応する計画作成の再調整の機構
・ 以下についての指導を優先させる(a)機能的、自発的コミュニケーション(b)各設定を通じて人と関わる教示(c)仲間との交流に焦点をあてた遊びのスキル(d)新しいスキルの保全と自然的状況への般化(e)問題行動に対する機能的評価と肯定的行動の支持
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お子さんにもよりますが、最初は基本的にマンツーマンでの支援から始め計画的に集団適用を行っていき、このような内容の療育支援を少なくとも2年間程度は続けることが推奨されます。
個人的な見解ではありますが、このような高密度の介入で示される「効果」については「回復(Recovery)」という状態を目指したものでしょう。
「回復」とは自閉症児が周囲のお子さんとほとんど見分けがつかない状態へ成長することを示す言葉であると考えられます。
ABA高密度介入を行い、自閉症児が回復した研究について私が知っている最も有力な結果はこのブログページでも紹介してきたO. Ivar Lovaas (1987)とGlen O. Sallows・Tamlynn D. Graupner (2005) があります。
O. Ivar Lovaas (1987)では19人中9人(47パーセント)、Glen O. Sallows他 (2005) では23人中11人(48パーセント)のお子さんが急激な成長を遂げ、通常学級で成功(原文はsucceeding)しているという結果でした。
※ 一応、この数値は私が知っているMAXということ
また、必ずしも全ての研究でこの数値を達成してきたわけではないこと、
そして、実際には研究ではカットオフといって例えばIQX以下のお子さんは研究から除外されているなど、「全ての自閉症児に適用できる結果」とは違うことはお伝えしておきます
これらの研究では「EIBI:Early Intensive Behavioral Intervention (早期集中行動介入)」という療育手続きで支援されています。
もし私が誰かから「科学的に最も強固な自閉症介入は何ですか?」と聞かれたら?
上にオレンジ色の文字で示しているKatarzyna Chawarska他 (2008) が述べている療育に必要な要素を取り入れEIBIを行う療育がエビデンスとして最も強固であると答えるでしょう。
このような研究ではお子さんのさまざまな領域がトレーニング・介入されます。
例えば、
・ 言葉
・ あそび
・ 模倣
・ ルールを守る
・ 問題行動対応
・ 身辺自立スキル
などです。
このような広い領域に対して介入方法を「CTMs:Comprehensive treatment models (包括的治療モデル)」と呼ばれるものだと思います(参考 Connie Wong・Samuel L. Odom・Kara A. Hume・Ann W. Cox・Angel Fettig・Suzanne Kucharczyk・Matthew E. Brock・Joshua B. Plavnick・Veronica P. Fleury・Tia R. Schultz, 2015)。
EIBIについては「メタ分析」という「複数の研究を包括した研究」が10確認できました(2020年3月30日時点)。
「(ABA自閉症療育のエビデンス5)EIBI(早期集中行動介入)のメタ分析(https://en-tomo.com/2020/03/30/eibi-metaanalysis/)」
ABA自閉症療育といっても様々な種類があり、メタ分析が存在するのは私が調べた限りでは「EIBI」と「PRT:Pivotal Response Treatment(機軸行動発達支援法)」のみでした(2020年3月30日時点)。
両者メタ分析はあるものの「EIBI」はグループ比較研究のメタ分析であるのに対し、「PRT」のメタ分析はシングルケーススタディを集めたメタ分析(記述統計)であるため、やはりエビデンスの硬さで言えば「EIBI」の方が硬いと言わざるえないでしょう。
私は「だからEIBI」を選択せよという立場ではありません
私の2021年現在の方針は以下のULRに示しています
「(ABA自閉症療育のエビデンス8)では、どうするか?(https://en-tomo.com/2020/06/01/that-way/)」
シングルケーススタディから見た効果的な療育とは?
シングルケーススタディはその名前(「シングル」=「ひとつ」)から「一人」について研究するもの、というイメージを持つかもしれません。
しかしそんなことはなくRobert H. Horner・Edward G. Carr・James Halle・Gail Mcgee・Mark Wolery (2005) はシングルケーススタディは1人の参加者に適用することもできるが、通常、研究となると複数の参加者(例えば、3人〜8人)を含むことがあると述べています。
良いデザインのシングルケーススタディでは3人〜8人など複数人を対象に研究を行うものです。
シングルケーススタディの詳細については別で作成していく「シングルケーススタディ」の章で記載をしていきますが、
療育を行う際にシングルケーススタディの研究を読む、シングルケーススタディを学ぶことで以下のメリットを受けることでしょう。
・ グループ比較研究では介入手続きの詳細が記載されることが少ないが、シングルケーススタディでは手続き、例えば面接内容の抜粋や使用した教材などが記載され、比較的詳細な手続きの把握が可能
・ あなたのお子さんに行っているその介入が有効・効果的かどうか評価し判断できる(参考 Ghaleb H. Alnahdi, 2013)。というシングルケーススタディの強みがあるため、方法論が勉強できる
特に示した内容で下の方の恩恵が個人的にはとても魅力的だと感じています
しかしシングルケーススタディのデメリットとしては科学としての「一般可能性」がグループ比較研究と比べて弱いという点かなと思っているのですが、例えば私は大学時代に統計学の教授から言われたことが印象的でした。
「シングルケーススタディでは、データの数が少なく、研究の結果から一般化することが難しいぞ」と言う内容です。
確かにグループ比較研究と比べるとシングルケーススタディ1本の研究から解釈して言える範囲というのが少ないということは弱点と言えるかもな、と感じるところですが、
シングルケーススタディの研究者はこのことに対してリプリケーション(手続きの反復実施)によって弱点を克服することを大切に考えています(参考 David H. Barlow・Michel Hersen, 1984)。
シングルケーススタディによって示される効果的なエビデンスの内容は「自閉症症状からの回復」ではないでしょう。
もっと局所的な、例えば、
・ アイコンタクトを増加させる(参考 R. M. Foxx, 1977)
・ 「どこ?」「だれ?」という質問ができるように教える(参考 Mark L. Sundberg・Melisa Loeb・Lisa Hale・Peter Eigenheer, 2002)
・ 宿題を自立してさせる(参考 Patricia Korzekwa Hampshire・Gretchen D. Butera・Scott Bellini, 2016)
・ 偏食指導で食べられる食べ物を増やす(参考 Abby Hodges・Tonya Davis・Madison Crandall・Laura Phipps・Regan Weston, 2017)
このようなさまざまなテーマの研究が存在し、研究内では支援の方法がある程度詳細に書かれています。
以上の文献は全て自閉症児に対して介入を行ったもので、最後の偏食指導の論文は参加のお子さんは2人ですが、その他の研究は3人以上のお子さんが参加しているものです。
またシングルケーススタディでは、
「マルチプルベースラインデザイン(multiple-baseline)」
「反転デザイン(withdrawal):例えばABABデザイン」
「交互治療デザイン(alternating treatments)」
での研究がエビデンスある研究として例えばBrian Reichow・Fred R. Volkmar (2010) を参考にすれば考えられますが上でご紹介した4つの研究はこの基準をクリアしています。
もしシングルケーススタディで効果的な研究は?と言われれば上のデザインを採用し、効果を上げている研究はシングルケーススタディの中で効果的なエビデンスを持っていると言えるでしょう。
エビデンス・ベースド・プラクティスとケースフォーミュレーションの相性
エビデンス・ベースド・プラクティス(以下、EBP)とこのブログページでご紹介してきたケースフォーミュレーション、私は両方をみなさまにブログで推奨してきました。
エビデンスのあるものを採択するのはどうかな?
とも言ってきたし、個別にオーダーメイドで介入を行うケースフォーミュレーションが良いよ!
とも言ってきました
EBPとは支援を行うときにエビデンスに基づいた実践をしよう!
という内容で原田 隆之(2015)を参考にすれば心理療法にも徐々にその流れが来ています。
噛み砕いて言えばEBPとは今まで職人的に、援助者が良いと思っている内容で支援するのではなくちゃんとエビデンスがある支援方法を採択しようよ!
ということでしょう。
対してケースフォーミュレーションは、
「(ABA自閉症療育の基礎68)療育の問題行動解決とは?ケースフォーミュレーション、アセスメント方法から介入まで(https://en-tomo.com/2020/12/23/aba-case-formulation/)」
でご紹介しましたが、
ケースフォーミュレーションは個人に対してオーダーメイドで介入・アセスメント方略を計画していく方法です。
私は上記のような内容を皆様が療育を行う際に推奨をしてきたわけですが、
Patricia A. Bach・Daniel J. Moran (2008) はEBPはケースフォーミュレーションに難問を投げかけてくると述べています。
確かにEBPとケースフォーミュレーションは水と油、とまでは言いませんが相性バッチリ!というわけではないでしょう。
EBPは例えば「自閉症と呼ばれる(診断される)」人たちへの有効な介入方法を求めます。
しかしケースフォーミュレーションでは『病気の診断ではなく、問題についての「臨床的見解」を作成することを目的とする(参考 Patricia A. Bach他, 2008)」のです。
「診断ベース」で有効な介入方法を模索するEBP、対して「診断ではなく個人に焦点」を当てることで個人に対して有効な介入方法を模索するケースフォーミュレーション
これらの矛盾している内容について私たちはどのように考え、取り組んでいけば良いのでしょうか?
ここで少し自閉症療育、発達障がいの分野において私が思う特徴を述べさせてください
大人の臨床を行う場合、例えば「うつ病」、「恐怖症」、「不安障がい」、「パニック障がい」、「強迫性障がい」などの疾患や「不登校」、「引きこもり」、「暴力行為」、「引っ込み思案」などの症状に対して介入を行うとき、
基本的には例えば言葉の能力が発達している方がほとんどですので、言葉を使用して面接を行い解決を目指していくことが可能です(もちろん、SSTなども行います)。
基本的には困っていることを解決するため、言葉でのやりとりの中で、本人の生きたい方向性について話し合い、今生じている問題をどう扱っていくか話し合い、できることを拡大していくことができます。
対して自閉症児や発達障がいの方への支援(特に幼児)の場合、
言葉の遅れ、模倣力、あそび、衝動性のコントロール、微細運動などの運動能力、基本的な社会的スキルなどの基礎能力を教えていくことと並行し、普通は家庭や園での問題行動もあるため、問題行動対応も並行して行っていく必要があるのです。
つまり広い領域への底上げアプローチを行いながら、並行してそのときそのとき生じる問題解決も行って行かなければなりません。
自閉症や発達障がい以外の方へのサポートでは基礎能力を教えていくという過程は、比較するとほとんどありません。
このような内容も踏まえ、私のEBPとケースフォーミュレーションを取り入れたスタンスの提案は以下です。
基礎能力を鍛えることに対しては、グループ比較研究のエビデンスを参考にする
基礎能力を鍛えるための細かいプロンプトの入れ方や学習環境設定などは、困った場合シングルケーススタディの研究法を参考にする
そのときに生じる問題行動はシングルケーススタディの研究を参考にする
教えたい必要な適切なスキル例えば「お友達に誘いかける」などがあるときは、シングルケーススタディの研究を参考にする
これが現在の私のスタンです、もう少し具体的にしましょう。
「(ABA自閉症療育の基礎68)療育の問題行動解決とは?ケースフォーミュレーション、アセスメント方法から介入まで(https://en-tomo.com/2020/12/23/aba-case-formulation/)」
でご紹介したイラストを、以下、少し改変しました。
赤色で「どういった基準で採択するか?」と書かれた部分が改変部分です。
行動問題の解決方法を選択する際、ヒントになる情報をお知らせいたします。
「(ABA自閉症療育のエビデンス25)焦点介入(https://en-tomo.com/2020/06/27/focused-interventions/)」にまとめましたが、
Connie Wong他 (2015) は「焦点介入(Focused interventions)」と称し、科学的に有効である27の支援方法について研究で示しました。
URLでは27の介入方法紹介していますが、ABA(応用行動分析)のアプローチが多く入っています。
※ ただしほとんど英語でのご紹介となっていることは申し訳ないですが、なんとなく介入方法の名前を見たらイメージできるものもあるでしょう。是非、「翻訳」すれば日本語でなんと言うかも出てきますので、必要であれば日本語の研究を検索してみてください
またConnie Wong他 (2015) では紹介されていませんが、ここまでのブログで紹介をしてきた「エクスポージャー(曝露療法)」や「行動契約」、「トークン」を使用した支援なども個人的には有効であると考えています。
まとめると、
イラストの赤色の四角で囲まれたところが「どういった基準で採択するか?」と示されたところは、アセスメント(仮説)に対応した介入選択のフェイズなのですが、
もし何の介入を選んで良いかわからないと言った場合は「シングルケーススタディの研究を参考にする」もしくは「焦点介入(私は「エクスポージャー(曝露療法)」や「行動契約」、「トークン」も含んで選択しています)」の中からどれかを選択し、
シングルケーススタディによってその介入があなたのお子さんに効果的かどうかを検証(ケースフォーミュレーション)していくという方法で問題行動や教えたい適切な行動を教えて行く。
シングルケーススタディのデザインから得た結果を参考とし「プロンプトの入れ方や環境設定」、「問題行動」、「教えたい必要な適切なスキル」を教えていく・続けて行く・変えて行くを判断するのが個人的には良いと考えています。
さいごに
ブログページでは「効果的とはどういうことか?」について、「効果的なエビデンスがある」と述べる場合、一言でいえば「AとBで差がある」というように述べることができると思いますということを記載しました。
ブログページではその後、グループ比較研究とシングルケーススタディの概要をご紹介し、それぞれのエビデンスのある自閉症療育の内容を示しました。
その後EBPやケースフォーミュレーションについて記載し、この2つが相性バッチリでないことを述べました。
その後、私なりの回答として、
基礎能力を鍛えることに対しては、グループ比較研究のエビデンスを参考にする
そのときに生じる問題行動はシングルケーススタディの研究を参考にする
という大枠をご紹介いたしました。
次は「人と人の相互作用」という内容で書いて行きます。
これまでのページでは基本的にお子さんの行動を変化させることを目的としてABAを使用する内容を書いてきましたが、次のページでは実は私たちもお子さんから強化を受け行動が変化していくということについて書いて行きましょう。
【参考文献】
・ Abby Hodges・Tonya Davis・Madison Crandall・Laura Phipps・Regan Weston (2017)Using Shaping to Increase Foods Consumed by Children with Autism. Autism Spectrum Disorders. Journal of Autism and Developmental Disorders. 47:2471-2479
・ Alan E. Kazdin (1983) Single-Case Research Designs in Clinical Child Psychiatry. Journal of the American Academy of Child Psychiatry. No22, 5 p423-432
・ Brian Reichow・Fred R. Volkmar (2010) Social Skills Interventions for Individuals with Autism: Evaluation for Evidence-Based Practices within a Best Evidence Synthesis Framework. Journal of Autism and Developmental Disorders. No40 p149-166
・ Connie Wong・Samuel L. Odom・Kara A. Hume・Ann W. Cox・Angel Fettig・Suzanne Kucharczyk・Matthew E. Brock・Joshua B. Plavnick・Veronica P. Fleury・Tia R. Schultz (2015) Evidence-Based Practicesfor Children, Youth, and Young Adults with Autism Spectrum Disorder: A Comprehensive Review. Journal of Autism and Developmental Disorders 45:1951—1966
・ David H. Barlow・Michel Hersen (1984) SINGLE CASE EXPERIMENTAL DESIGNS; Strategies for Studying Behavior Change 2/ed 【邦訳: 高木 俊一郎・佐久間 徹 (1988) 一事例の実験デザインーケーススタディの基本と応用ー 二瓶社 (改訂 2008)】
・ Ghaleb H. Alnahdi (2013) Single-subject designs in special education: advantages and limitations. Journal of Research in Special Educational Needs
・ Glen O. Sallows・Tamlynn D. Graupner (2005) Intensive Behavioral Treatment for Children With Autism: Four-Year Outcome and Predictors. AMERICAN JOURNAL ON MENTAL RETARDATION Vol 110, No6 p417–438
・ 原田 隆之 (2015) 心理職のためのエビデンス・ベイスド・プラクティス入門 エビデンスを「まなぶ」「つくる」「つかう」 金剛出版
・ Katarzyna Chawarska・Ami Klin・Fred R .Volkmar (2008) AUTISM SPECTRUM DISORDER IN INFANT AND TODDLERS:Diagnosis, Assessment, and Treatment 【邦訳: 竹内 謙彰・荒木 穂積 (2010) 乳幼児期の自閉症スペクトラム障害 診断・アセスメント・療育 ,クリエイツかもがわ】
・ Mark L. Sundberg・Melisa Loeb・Lisa Hale・Peter Eigenheer (2002) Contriving Establishing Operations to Teach Mands for Information. The Analysis of Verbal Behavior. No18 p15-29
・ O. Ivar Lovaas (1987)Behavioral Treatment and Normal Educational and Intellectual Functioning in Young Autistic Children. Journal of Consulting and Clinical Psychology, 55(1) p3–9.
・ Patricia A. Bach・Daniel J. Moran (2008)ACT in Practice Case Conceptualization in Acceptance & Commitment Therapy. 【邦訳 武藤 崇・吉岡 昌子・石川 健介・熊野 宏昭 (2009) ACTを実践する 星和書店】
・ Patricia Korzekwa Hampshire・Gretchen D. Butera・Scott Bellini (2016) Self-Management and Parents as Interventionists to Improve Homework Independence in Students With Autism Spectrum Disorders. Preventing School Failure 60(1) p22-34
・ R. M. Foxx (1977) ATTENTION TRAINING: THE USE OF OVERCORRECTION AVOIDANCE TO INCREASE THE EYE CONTACT OF AUTISTIC AND RETARDED CHILDREN. JOURNAL OF APPLIED BEHAVIOR ANALYSIS. No10 p489-499