「ABA自閉症療育での行動の見方の章(https://en-tomo.com/aba-behavior-definition/)」
ではABAでは行動をどのように扱うか?と、言う点に触れていきましたがこの章からはABAの基礎となる学習理論の解説へと入っていきます。
この章ではABAで使用する学習理論を学んでいきます
レスポンデント行動とオペラント行動
この章はABA療育で行動を考える際に使用する「ABAの基礎」の学習理論などについて書いていくページとなります。
小野 浩一 (2005) は行動には2種類のものがあるし「行動はレスポンデント行動(Respondent behaivior)とオペラント行動(Operant behaivior)の2種類に分類することができる」と述べました。
彼は、
レスポンデント行動を
「行動の先立つ環境変化によって誘発される行動」
オペラント行動を
「行動ののちの環境変化によってその生起頻度が変化する行動」
と述べています。
彼によればレスポンデント、オペラントはSkinnerによる造語でありレスポンデントは「応答する(respond)」、オペラントは「環境に働きかける(operate)」に由来します。
そしてレスポンデント行動には生得性のレスポンデント行動と学習性のレスポンデント行動があるが、オペラント行動はすべて学習性であると述べました。
簡単に言えば「環境から誘発される(環境に誘発されて、自分でコントロールができない行動)」行動はレスポンデント行動です。
例えば「目に息を吹きかけられて目を瞑ってしまう」ことや「不意に熱いものを触り手をひっこめる」などの反射。勝手に湧き上がってくる「何かされることで起こる怒り」や「嫌なことがあって生じる悲しみ」「ハッピーな気分」などを感じると言ったものはレスポンデント行動になります。
「環境に働きかける(自分で自発できて、自分でコントロールできる行動)」ことができる行動はオペラント行動です。
例えば「手を上げる」「右を向く」「話す」「~のように考えた」「~のように思うようにした」などと言ったものはオペラント行動になります。
※ 「感じる」、「考える」、「思う」などを行動と言われて違和感を持つ場合は「(ABA自閉症療育での行動の見方3)顕在的行動と潜在的行動(https://en-tomo.com/2020/07/01/overt-behavior-covert-behavior/)」を参照
レスポンデント行動とオペラント行動の比率
日常生活において私たちはレスポンデント行動とオペラント行動の両方を行なっていてJon・Baily & Mary・Burch (2006) の推測では前者と後者の割合はおそらく1対20くらいの割合のようです。
彼らは「私たちにとって大切なほとんどがオペラント行動であり、残りの行動がレスポンデント行動になります。行動分析家はもっぱらオペラント行動に関心を持ちますが、人の生活に苦痛をもたらしている場合はレスポンデント行動に注意を払うことが大切です」と述べました。
大人の臨床問題では確かに彼らが述べたようにレスポンデント行動に注意を払うことが重要です。
これは経験から来た感覚ですが、大人でうつ病や不安障害系などの疾患を抱え悩みを相談されにきた人に支援を行う場合にはレスポンデント行動に注意を払う比率を高めます。
ただし子どもの臨床においては大人と比べてオペラント行動に注意を払う比率を高めて支援しています。
この感覚はなんとなく心理臨床を行っている人には共感していただけるかもしれません。
この章では「学習理論」について学んでいきますが、Baily & Mary・Burchが述べたように私たちが日常で行っている行動のほとんどは「オペラント行動(オペラント条件付けによって変化する行動)」が占めていることは覚えておきましょう。
「ABA自閉症療育のエビデンス(https://en-tomo.com/aba-therapy-evidence/)」の章ではABAのエビデンスについて書きました。
また、
「ABA自閉症療育での行動の見方(https://en-tomo.com/aba-behavior-definition/)」の章ではABAでは行動をどのように見れば良いかを書きました。
この章からはABAで用いる学習理論について書いて行きたいと思います。
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どうぞよろしくお願いいたします。
【参考文献】
・ 小野 浩一(2005) 行動の基礎 豊かな人間理解のために 培風館