本ブログページでは「プロンプト(prompt)」を使用する際のコツについて書いていければと思います。
プロンプトの使用について、いろいろなコツがあると思いますが今日ご紹介するのは、プロンプトを使用するとき2つの方向性があるよ、という点です。
それ以外の方向性もあるかもしれませんが、本ブログページでは私が意識している2つの方向性をご紹介しましょう
それは、
(1) 1つの種類の侵襲度を上げる方向性
(2) 別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性
の2種類です。
このことを意識するとプロンプト使用について幅が広がると思いますので是非、ご紹介する方法をご活用いただければと思います。
そもそも「プロンプトとは?」という方もいらっしゃるでしょう。
James E. Mazur (2006) によれば、
プロンプトとは好ましい行動をより起こしやすくさせる刺激のことです。
一般的な言葉に言い換えると「プロンプト」とは目的行動を引き起こすためのヒントと思ってもらえればわかりやすいでしょう。
ABA自閉症療育ではまだお子様が上手くできないことをできるように教えていきます。
最終的にはお子様が自立して(ノーヒントで)できるように練習をするのですが、最初は一人で自立して課題達成が難しいため、手助け(ヒント)が必要です。
このときの「手助け(ヒント)」のことをプロンプトと呼びます。
プロンプトについて詳しく書いたページとして「(ABA自閉症療育の基礎42)オペラント条件付けー強化法とプロンプト(https://en-tomo.com/2020/09/27/reinforcement-prompt/)」がありますので、
「プロンプトとは?」という方は是非ご一読いただければ幸いです。
さて、本ブログページではこのような「プロンプト」を使用するときページ冒頭でも記載した2つの方向性があるよ、という内容で書いていきたいと思います。
プロンプト使用におけるプロンプトの2つの方向性
上でプロンプトについて簡単に紹介をした中で「プロンプト」とは目的行動を引き起こすためのヒントという言い方をしました。
「ヒント」ということは、ヒントの受け手がそのヒントに気が付かなければ意味がありません。
Raymond .G .Miltenberger (2001)は「プロンプトを提示する前に対象者の注意を引き付けておくことが大切である」と述べていまが、「ヒント」を出してもお子様がそのヒントに気がつけないとすれば、それは意味がないのです。
また私たちが気がつける「ヒント」とはどういったものでしょう?
私が気がつける、感じることができる刺激は例えば以下のようなものだと思います。
・ 視覚刺激(目で見て捉えられるもの)
・ 聴覚刺激(耳で聞いて捉えられるもの)
・ 触覚刺激(肌で触れて捉えられるもの)
・ 臭覚刺激(鼻で嗅いで捉えられるもの)
・ 味覚刺激(舌で感じて捉えられるもの)
いわゆる「五感」で感じられる刺激です。
余談ですが昔私は「五感以外の第六感ってあると思う?」と海外の方に聞いたとき、
私は映画のシックスセンスを思い浮かべながら「霊感」と答えるだろうなと質問をしたのですが、
その方に「ある!バランス感覚!」と言われ「確かにぃ!!」と思ったことがあります
以上の中から個人的には「臭覚刺激」と「味覚刺激」は使用しづらいと思っていますので、
私は「視覚刺激」「聴覚刺激」「触覚刺激」3つのいずれかを使用もしくは併用してプロンプトを扱っている、ということが多いです。
本ブログページでも「視覚刺激」「聴覚刺激」「触覚刺激」3つのプロンプトを用いて解説を行っていきます。
下のイラストをご覧ください。
便宜上、お子様の名前は「たろうくん」としましょう。
上のイラストではお母様はたろうくんに「おはよう」と言っていますが、たろうくんは「おはよう」とは返していません。
朝、「おはよう」とあいさつがあったとき、適切な反応は「おはよう」と同じようにあいさつを返すことでしょう。
でも、たろうくんは「おはよう」とあいさつが返せていないので、もしこの場面を療育機会と捉えるのであれば、お母様はたろうくんに「おはよう」とあいさつが返せるように何かしらのプロンプトを入れて行くことになります。
注意点:プロンプトと弁別刺激は違う
1点、注意点としてプロンプトと弁別刺激は違うということを伝えさせてください。
上のイラストではお母様はたろうくんに「おはよう」と言っているのですが、これはこの場面では「弁別刺激」と呼ばれるものでプロンプトではありません。
朝、お母様がお子様を初めて見たとき、上のイラストのような場面ではお母様がお子様に「おはよう」と声をかけることは自然です。
このような「自然な場面」で「自然に使用される刺激(この場合は「おはよう」)」は「弁別刺激」と呼ばれます。
弁別刺激と違い、プロンプトはヒントですので最終的には無くしていって(このプロンプトをなくす工程をプロンプトフェイディングと呼びます)、
最終的にはお子様が自立して(ノーヒントで)、弁別刺激の下で一人でできるように練習をするのですが、
上のイラストのような場面ではお母様がお子様に「おはよう」と声をかけている「おはよう」は無くさなくて構いません。
『ん?でもそれって、お母さんが「おはよう」って声掛けしないとおこさんから自発的に「おはよう」っていうことの練習はしなくて良いってこと?』などのご意見があるかもしれません。
このご意見はその通りで、この設定はお母様から「おはよう」って言ったときあいさつできるようになる練習はできますが、お子様が自分から「おはよう」と言う練習ではありません。
このことについては最後、簡単に解説は行おうと思いますが、一旦、本ブログページはプロンプトの2つの方向性について書いていくページですので、
朝、お母様がお子様を初めて見たとき、上のイラストのようにお母様がお子様に「おはよう」と声をかけた場面でお子様が「おはよう」とあいさつが返せるように何かしらのプロンプトを入れて行く設定で内容を進めて行ければと思います。
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さて、どのようにプロンプトを使用してこのような場面のたろうくんに支援をしていけば良いのでしょうか?
以下、「プロンプト」を使用するときページ冒頭でも記載した2つの方向性、
(1) 1つの種類の侵襲度を上げる方向性
(2) 別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性
をご紹介しながら、支援の方法について書いていきましょう。
1つの種類の侵襲度を上げる方向性
まず1つめは「1つの種類の侵襲度を上げる方向性」でプロンプトを使用するです。
例えばシンプルに、以下のイラストを見てください。
お母様は「おはよう」とあいさつをしたお子様が「おはよう」と返さずに黙っていることに対して、「おはよう だよ」と言っています。
この聴覚刺激の「おはよう だよ」は、「自然な場面」で「自然に使用される刺激(この場合は「おはよう」):弁別刺激」以外の刺激のためプロンプトです。
イラストではたろうくんはお母様のプロンプトに対して「おはよう」と返せているので、お母様の「おはよう だよ」はプロンプトとして機能しています。
聴覚刺激の「おはよう だよ」というプロンプトによって目的行動の「おはよう」をお子様が行うことができましたので、このあとにお子様を強化する(例えば褒める)ことによって、
今後、お母様がお子様に朝、「おはよう」とあいさつをした場面でお子様から自立して「おはよう」と返ってくる確率が上がることが期待できるでしょう。
でも、もし「おはよう だよ」というプロンプトだけでお子様が「おはよう」と言ってくれなかったときは?
以下のイラストを見てください。
上のイラストではお母様は「おはよう だよ」とプロンプトを出したものの、お子様は黙ったままであったため、
お母様は「お」「は」「よ」「う」と一文字ずつはっきりとお子様に行ってほしい行動を聴覚刺激のモデルを用いて提示をしました。
お子様ははっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」に反応し、「おはよう」と返すことができています。
ここでプロンプトの「侵襲度(しんしゅうど)」という言葉をご紹介させてください。
あまり聞き慣れない言葉かと思いますが、プロンプトには侵襲度という考え方があります。
プロンプトの侵襲度
侵襲度は、強ければ行動を引き起こしやすくなることがメリットです。
反面、デメリットとして侵襲度が強いとプロンプトフェイディングは難しくなります。
侵襲度が弱ければ行動は引き起こしにくいですが、プロンプトフェイディングが容易です。
侵襲度とは、ヒントの強さと捉えてください。
例えば、例で出した、
『「おはよう だよ」という聴覚刺激の声掛け』と『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』では、
『「おはよう だよ」という聴覚刺激の声掛け』よりも『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』の方が侵襲度が強い、
よりヒントとしての強さが強い、という感じがしないでしょうか?
『「おはよう だよ」という聴覚刺激の声掛け』よりも『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』の方がよりたくさんヒントを与えている、そういうニュアンスです。
もう少しわかりやすい例を出すとすれば、
『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』のプロンプトを今回イラストで出しましたが、以下のイラストをご覧ください
上のイラストでは『はっきりと示された聴覚刺激の「お」』というプロンプトのみでたろうくんの「おはよう」と言う行動を引き起こしています。
この例の『はっきりと示された聴覚刺激の「お」』というプロンプトが、『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』のプロンプトと比較して侵襲度が弱いというのはわかりやすいでしょう。
またプロンプト(ヒント)を無くして行くプロンプトフェイディングの段階でも『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』よりも『はっきりと示された聴覚刺激の「お」』というプロンプトの方が無くすとき無くしやすいというのは伝わりやすいかと思います。
無くすとき無くしやすい理由ですが、例えば『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』を無くして行く(プロンプトフェイディング)とき、フェイディングのルートとして、
(1)プロンプト:「お」「は」「よ」「う」
(2)プロンプト:「お」「は」「よ」
(3)プロンプト:「お」「は」
(4)プロンプト:「お」
(5)プロンプト無し
というルートでプロンプトフェイディングを行うアイディアが考えられますが、
『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』をフェイディングして行く先に『はっきりと示された聴覚刺激の「お」』があることが示されているからです。
なんとなく、プロンプトの侵襲度について伝わりましたでしょうか?
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今回の例では「聴覚刺激」のプロンプトを使用しています。
このように「聴覚刺激」という五感の1つの種類を用いてその侵襲度を上げて行くと言う方法で目的行動を行なってもらいました。
このようにプロンプトを使用するときの1つの方向性として侵襲度を調整するという方法があります。
では次に「別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性」をご紹介しましょう。
別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性
次に2つめ、別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性です。
先ほども出した以下のイラストをご覧ください。
お母様は「おはよう」とあいさつをしたお子様が「おはよう」と返さずに黙っていることに対して、「おはよう だよ」と言っています。
この聴覚刺激の「おはよう だよ」は、「自然な場面」で「自然に使用される刺激(この場合は「おはよう」):弁別刺激」以外の刺激のためプロンプトです。
しかし「おはよう だよ」と伝えてもお子様はまだ目的行動が出現していないため、プロンプトをさらに加えて行くこととなります。
先ほどは侵襲度を上げて『はっきりと示された聴覚刺激の「お」「は」「よ」「う」』を用いましたが、次は「聴覚刺激」以外に「視覚刺激」も用いてプロンプトの侵襲度を上げていきましょう。
例えば、以下のような感じです。
上のように次は「視覚刺激」として『ひらがなの「おはよう」』と書かれた文字も提示しました。
この「視覚刺激」、『ひらがなの「おはよう」』も「自然な場面」で「自然に使用される刺激(この場合は「おはよう」):弁別刺激」以外の刺激のためプロンプトです。
しかし「おはよう だよ」と伝えてもお子様はまだ目的行動が出現していないため、プロンプトをさらに加えて行きましょう。
ここで使用しているプロンプト侵襲度では、
『聴覚刺激の「おはよう だよ」のみ』と比較して、『聴覚刺激の「おはよう だよ」 + 視覚刺激のひらがなの「おはよう」』も加えた状態のプロンプトの出し方の方が侵襲度が強い、
ということになります。
このような考え方です
次にまた新しく刺激を加えるので、次のものは『聴覚刺激の「おはよう だよ」 + 視覚刺激のひらがなの「おはよう」』よりもさらに侵襲度が強くなるプロンプトとなります。
上のように次は「触覚刺激」として『「おはよう」というタイミングの合図』も示すようにしましたところ、たろうくんは「おはよう」と言うことができました。
お母さんが左手で太郎くんの右腕辺りをトントンしているのが『「おはよう」というタイミングの合図(触覚刺激のプロンプト)』です。
ここまでの侵襲度を確認すると、
(侵襲度が弱い↑)
<1>『聴覚刺激の「おはよう だよ」のみ』
<2>『聴覚刺激の「おはよう だよ」 + 視覚刺激のひらがなの「おはよう」』
<3>『聴覚刺激の「おはよう だよ」 + 視覚刺激のひらがなの「おはよう」 + 「おはよう」というタイミングの合図』
(侵襲度が強い↓)
<1>よりも<2>、<2>よりも<3>の方がプロンプトの侵襲度が高くなっています。
侵襲度の強いプロンプトを使えば良いかといえばプロンプトフェイディングのことを考えれば決してそうでもないし、かといって侵襲度が弱すぎて目的行動が出現しないということであればプロンプトとして機能していないため、意味がありません。
ここらへんのプロンプト侵襲度の調整が難しい点かもしれませんが、お子様によって調整し使用して行く必要があります
ここまででプロンプトを使用するとき2つの方向性があるということをご紹介して来ました。
ここまでプロンプトの出し方について書いて来ましたが、もしエラーが生じることがほとんどの確率で予測されるのであればエラーを確認してからプロンプトを出すのではなく、
エラーを予測しエラーが生じないように最初からプロンプトを使用することについて書いていきます。
エラーを予測しエラーを織り込んでプロンプト使用する
ここまでプロンプトについて、
(1) 1つの種類の侵襲度を上げる方向性
(2) 別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性
の2つを書いて来ました。
ここまで書いて来たのはプロンプトの出し方の「方向性」の話でした。
ここからは少し、どちらのプロンプトを使用するにせよ、エラーを予測しエラーが生じないように最初からプロンプトを出すこと、そしてフェイディングすることについて書いて行きましょう。
エラーを予測しエラーを織り込んでプロンプト使用する方法です。
エラーが生じないように学習を進めて行く方法を「エラーレスラーニング(Errorless Learning):無誤学習(むごがくしゅう)」と言うのですが、基礎実験としては、
H. S. TERRACE (1963)がハトで行った、エラー(間違い)が生じないよう最初から正解できるようヒントを多めに入れ、正解をさせる中で学習をさせた方が学習が早いという実験結果があります。
私たちはお子様の行動を修正するとき、お子様が間違ったことを確認してから、間違いを修正することを促す(プロンプトを出す)ことが多いでしょう?
しかし、もしあなたのお子様が毎回1回目はエラーをしており、その後プロンプトによって修正している、ということがパターンになっている場合、最初からエラーをすると織り込んでプロンプトを出し、1回目はエラーをさせずに目標行動を成功させ、プロンプトをフェイディングする、
という方法で行動を修正した方が結果的に早く行動修正が生じる、ということがあります。
そのため毎回1回目はエラーをするため1回目にプロンプトを入れそこから行動修正を始めているといったパターンに陥っている場合、
最初からエラーをすると織り込んでプロンプトを出し、
1回目はエラーをさせずに目標行動を成功させ、プロンプトをフェイディングするというルートを試してみてください
またエラーレスのルートを取ったときも、そうでないとき(お子様がエラーをしたのちにプロンプト修正するとき)も、
1回のチャンスで2回−3回、目的行動を出させ、強化するということを行った方がプロンプトフェイディングが早く進むでしょう。
下のイラストをご覧ください。
上のイラストはお子様が先生にスマホを貸してもらう場面です。
※「P」はプロンプトの回数、「R」は強化(上のイラストでは1ー2回目は言語賞賛、3回目は実際に目当てのアイテムが手に入ること)
目的行動は言葉で「貸して」と言うこと。
1回のチャンスで2回−3回というのは、お子様にスマホを貸す1回の機会に2回−3回目的行動を出してもらうということです。
1回目(P1)では先生は「貸して」という侵襲度のプロンプトを使用し、お子様も「貸して」と言えています。
ここでスマホを渡してしまうのではなく、もう一度プロンプトの侵襲度が下がった状態のプロンプト(「か・・・」)を出し、目的行動を引き出しています(2回目:P2)。
そして3回目(P3)「ん?」というさらに侵襲度が下がった状態のプロンプトを出して3回目の目的行動を引き出し、スマホを渡しました。
このように1回のチャンスで2回−3回、目的行動を出させ、強化するということを行った方がプロンプトフェイディングが早く進む場合があるので、是非試してみてください。
また最後に重要なこととして、プロンプトはあくまで目的行動を引き起こす手段です。
このことも大切で、プロンプトで引き起こした目的行動はしっかりと強化されることで強まり、維持して行きます。
そのためプロンプトで目的行動を引き起こしたあとは、しっかりと強化(例えば褒めるとか)し、行動が強まり、プロンプトがなくとも目的行動が出るように関わって行きましょう。
さいごに
本ブログページではプロンプトの方向性について、
(1) 1つの種類の侵襲度を上げる方向性
(2) 別の種類のプロンプトも併せて侵襲度を上げる方向性
の2つをご紹介しました。
そしてそののち、
・ エラーを予測しエラーが生じないように最初からプロンプトを出すこと
・ 1回のチャンスで2回−3回目的行動を出させプロンプトフェイディングすること
・ プロンプトはあくまで目的行動を引き起こす手段なのでしっかりと強化すること
について書きました。
また本ブログの序盤、本ブログで例として出したお母様がお子様に「おはよう」と言って、お子様から「おはよう」と返ってくる設定において、
この設定はお母様から「おはよう」って言ったときあいさつできるようになる練習はできますが、お子様が自分から「おはよう」と言う練習にはなりません
お母様からではなく、お子様が自分から「おはよう」と言う練習を行う場合は同じあいさつをする朝の場面ではありますが、別の場面として捉え練習する方が有用だと思います
このことについては最後、少し解説を行おうと思います
という記載をしました。
このことを簡単に解説しましょう。
ABAでは行動は「特定の先行状況の下で行われる」と考えるのですが、
・ お母様から「おはよう」って言ったときの先行状況
と、
・ お子様が自分から「おはよう」と言う先行状況(お子様が朝、お母様を見つけた先行状況)
は少し違います。
「先行状況」は「場面」と読み替えていただけるとわかりやすいかもしれません。
確かに「朝」、「お母様に出会った」という意味では同じ先行状況なのですが、
「おはよう」と声をかけられたときと、かけられていないときではお子様から見たときに場面が違うように見える可能性があるでしょう。
そのため私は、個人的にはこの2つは分けて考えて、練習をするのであれば別々の場面として捉え練習する方が良いと思います。
本ブログページの内容が誰かの参考になれば幸いです。
また、どうぞよろしくお願いいたします。
【参考文献】
・ H. S. TERRACE (1963)ERRORLESS TRANSFER OF A DISCRIMINATION ACROSS TWO CONTINUA1. JOURNAL OF THE EXPERIMENTAL ANALYSIS OF BEHAVIOR VOLUME 6, NUMBER 2
・ James E. Mazur (2006) LEARNING AND BEHAVIOR:6Th ed. 【邦訳 磯 博行・坂上貴之・川合伸幸,訳 (2008) メイザーの学習と行動 日本語版 第3版 二瓶社】
・ Raymond .G .Miltenberger (2001)Behavior Modification : Principles and Procedures / 2nd edition 【邦訳: 園山 繁樹・野呂 文行・渡部 匡隆・大石 幸二 (2006) 行動変容方入門 二瓶社】