1つ前の本章ブログページ「「関係フレーム理論」ってなに?:「刺激等価性」とは?についても解説(ABA:応用行動分析学の言語行動7)(https://en-tomo.com/2024/10/18/what-is-relational-frame-theory/)」、
の内容を簡単に書き直したページが本ブログページです。
「簡単に書き直したブログページ」、
今まではこのような趣向のブログページを書いたことはありません。
現在330を超えるブログページがある本ブログですが初めての試みです。
本ブログで最初にアップし出した内容は「自閉症ABA療育のエビデンス」についてでした。
これが2020年の3月ごろです。
そして次に2020年7月ごろから「ABA自閉症療育で使う基礎理論」の章が始まりました。
この章は100を超えるブログページがある本ブログでも最大の記事数を誇る章です。
今後は他のコラムとかの章にどこかで数は抜かれそうですが(笑)
「ABA自閉症療育で使う基礎理論」の章では「レスポンデント条件付け」と「オペラント条件付け」の理論から始まりましたが、
初期のものは現在アップしているブログページと比べると文字数が少ないものが多いなという印象を持っています。
正直今のブログを書くスキルを持って「レスポンデント条件付け」と「オペラント条件付け」の理論を書くと本ブログページのように簡単に書き直したページを作ったかもしれません。
多分、1つのページで詳しく書こうと思ってしまうので長くなってしまうでしょう。
私自身のブログの書き方が年々変わって来ていて、1つのブログページで伝えられる内容を可能な限り詰め込んだ方が良いかも、と言う気持ちもあり先の上でもご紹介したURL先、
『「関係フレーム理論」ってなに?:「刺激等価性」とは?についても解説(ABA:応用行動分析学の言語行動7)』
では「関係フレーム理論」について長くなってしまいましたが1ページにまとめた、という経緯がありました。
本章1つ前のブログページ「「関係フレーム理論」ってなに?:「刺激等価性」とは?についても解説(ABA:応用行動分析学の言語行動7)(https://en-tomo.com/2024/10/18/what-is-relational-frame-theory/)」のページはワードソフトで23枚の量でした。
「内容も難しければ、文字の量も多い」ということがあったと思います。
そこで本ブログページでもっとざっくりと「関係フレーム理論」について簡単に書いていければと思った次第です。
本ブログページは先のブログページの内容をざっくりと書いたもので、先のブログページから内容をかいつまんでいます。
本ブログページでは「あー、関係フレーム理論ってだいたいこう言うことかぁ」と、読み終わったあとに皆様が思えることを目指す、という1点に目的を絞って書きました。
また本ブログでこれも初の試みなのですが今回、参考文献はありません。
もし内容元が気になる方は先の『「関係フレーム理論」ってなに?:「刺激等価性」とは?についても解説(ABA:応用行動分析学の言語行動7)』をご覧ください。
では以下から「関係フレーム理論」について簡易的にしたざっくりとした解説を見て行きましょう。
「関係フレーム理論とは?」ー簡単に書き直した
「関係フレーム理論」とはABAの比較的新しい理論で、「ルール支配行動」や「刺激等価性」の研究をさらに推し進めるために提唱された理論です。
「ルール支配行動」とは人間特有の行動で、
ルールの存在があり、そのルールに従って行動したときそれはルール支配行動と呼ばれます。
「ルール支配行動」とは「言語」によって起こる行動と思ってください。
例えば、友達に「夏休みの朝、公園でラジオ体操に参加したら、お菓子もらえるで」
と言われたら、お菓子が欲しい場合に、行ったことはない(直接体験したことはない)にも関わらず、公園でラジオ体操に参加する、というような行動です。
「刺激等価性」とはシドマンという研究者グループによって1980年代には体系化された理論で、
訓練していない刺激間に新たな関係が生じること
を「刺激等価性」と呼びました。
「レスポンデント条件付け」と「オペラント条件付け」の理論では「直接経験した学習」によって行動に変化をもたらす、というものでしたが、
「刺激等価性」の発見により、『「直接経験した学習」がなくとも、結果的に学習が成立する』ということが証明された、というところが大きいところでしょう。
※ 少しわかりにくいかなと思って、特に書いていませんが刺激等価性によって生じる学習は実は「般化オペラント(オペラント条件付けの学習が般化したもの)」と考えられていて、実際にはオペラント条件付けの理論の中にあることも知っておいて良いかもしれません
また『「直接経験した学習」がなくとも、結果的に学習が成立する』ことで言えば「観察学習」や「般化模倣」も同じようなことが言えると思います
さて、「刺激等価性」とは、『「直接経験した学習」がなくとも、結果的に学習が成立する』という内容になるのですが、
これは、AとBとCという刺激があったとき、
A=B(AとBは同じ)、
B=C(BとCは同じ)、
という2つの関係性を教えられるだけで「A=B=C」であると、直接教えられていない学習が成立する。
「等価である(同じである)」という学習は直接教えられなくても成立する
という内容でした。
そして一度「刺激等価性」の学習過程を習得すると、特に意識していなくとも派生的に「等価である(同じである)」という学習が勝手に成立してしまうこともポイントです。
このような『「直接経験した学習」がなくとも、結果的に学習が成立する』という内容ですが、そののち、
実は「刺激等価性」が示した「等価」以外の学習も成立することがわかりました。
例えば「比較」です。
太郎くんは次郎くんよりも背が高い、次郎くんは三郎くんよりも背が高い
と教えられると、直接教えられていないにも関わらず、
太郎くんは三郎くんよりも背が高い
と、学習することができます。
「直接経験した学習(直接教えられたこと)」がなくともです。
これは「等価(同じ)」の関係性ではありませんね?
ここで学習したことは彼らが「太郎くん=次郎くん=三郎くん」という等価ではなく、「太郎くん>次郎くん>三郎くん」という身長の比較です。
あなたは「太郎くん」「次郎くん」「三郎くん」の顔を今イメージできないでしょう?
※ 知り合いにこれらの名前の人がいるからその人の顔がイメージできたからできる、というのはちょっと考えないこととして・・・
でもこの3人の身長の関係性を理解することができました。
知らない顔の人でも情報を処理し、3人についての情報(刺激)を自由に意味づけ知ることができます。
三郎くんが花子さんに恋をしていたとしましょう。
花子さんは太郎くんを見て、
「あら、太郎くんくらい背が高い男の子って素敵」
と言っています。
三郎くんは直接に花子さんから、
「背が低い男の子は素敵じゃない」
や
「三郎くんの身長は素敵じゃない」
など言われていないにも関わらず、あまり良い気分にはならないことは想像にたやすいでしょう?
花子さんは決して上のオレンジ色のセリフは言っていません。
にも関わらず、もしかすると三郎くんは、
「花子さんは僕のような背の低い男の子のことは好きじゃないかもしれない」
と「反対」の学習が成立してしまうかもしれません。
花子さんは決して上のオレンジ色のセリフは言っていないにも関わらずです。
そして、三郎くんは落ち込んでしまいました。
三郎くんは花子さんが言ったセリフから推論してしまったのですね。
勝手に刺激同士が結びつきます。
例えば、
太郎くんは次郎くんよりも背が高い、次郎くんは三郎くんよりも背が高い
という部分、刺激同士の結びついて勝手に生じた学習は「太郎くんは三郎くんよりも背が高い」です。
「関係フレーム理論」ではこのような刺激同士の結びつきを「相互的内包」、「複合的内包」と呼びます。
※「関係フレーム理論」でもこのような刺激同士の結びつき「相互的内包」、「複合的内包」は自分の意思とは関係なく勝手に起こってしまいます
花子さんの「あら、太郎くんくらい背が高い男の子って素敵」というキーワードは、
結びついた刺激同士の意味を変えました。
刺激の意味が変わることを「刺激の機能が変わる」とABAでは言うことが多いです
三郎くんは直接学習していない(花子さんが言った内容ではない)にも関わらず、花子さんが言ったセリフから推論し、結びついた刺激は意味を持ってしまうこととなりました。
それは、花子さんは「あら、太郎くんくらい背が高い男の子って素敵」という言語刺激を言っただけなのに、三郎くんは勝手に、
「背が低い男の子は素敵じゃない」
ということから、
「三郎くんの身長は素敵じゃない」
と刺激の機能を変換し解釈してしまいました。
「関係フレーム理論」ではこのような刺激の意味が変わってしまうことを「刺激機能の変換」と呼びます。
またこの「刺激機能の変換」は三郎くんの情動にも影響を与えました。
三郎くんは、
「花子さんは僕のような背の低い男の子のことは嫌いかもしれない」
などと推論し(「反対」の学習の成立)、三郎くんは落ち込んでしまいました。
これは「刺激機能の変換」が生じ結果、気持ちが落ち込むという三郎くんの情動をも揺るがす学習です。
さて、「関係フレーム理論」では上で例に出したように特に意識していなくとも派生的に学習が成立してしまうことに加えて、
特に人間は恣意的(自由に、勝手に)に刺激同士を関連づけることが可能である
ということも大きな特徴だと思います。
ある日花子さんが、
『私、「ローリング・ソバット」できる男の子より「ドラゴンスープレックス」できる男の子の「方が好き」!!』と言ったのを三郎くんが耳にしました。
緑の「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」は刺激(この場合は言語刺激)で、
ピンクの「方が好き」は「比較」のフレームです。
皆さんは「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」って知っていますか?
できるだけ皆様が知らない人が多そうな実際にある単語を選んでみました
「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」はプロレスの技のようです。
三郎くんとそしてあなたも「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」を知らなかったと考えて以下読んでください。
あなたが三郎くんだとして「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」という刺激は全く意味を持たない刺激でした。
これらの刺激が三郎くんに取って意味を持たないのも当然で、そもそも三郎くんは「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」を知らないのです。
でも、その意味を知らない、全く意味を持っていなかったこれらの刺激「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」、
しかし花子さんがそう言っただけで、三郎くんにとって「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」はとてつもなく強い意味を持つようになります。
そして、三郎くんにとって「ローリング・ソバットよりもドラゴンスープレックスができること」は価値あることとなりました。
まだ三郎くんは聞いただけで「ドラゴンスープレックス」がどういったものか知らないはずですが、
もし隣で「昨日のTV見た?ドラゴンスープレックスやばかったな!」などと話し声が聞こえようものならきっと三郎くんは聞き耳を立てることでしょう。
なんなら三郎くんは自分から話に入って行って「それ、ちょっと詳しく教えてくれん?」と聞こうかと動機づいています。
花子さんから『私、「ローリング・ソバット」できる男の子より「ドラゴンスープレックス」できる男の子の「方が好き」!!』と聞く日までは全く意味のなかったこれらの言語刺激・・・
三郎くんにとって今、「ローリング・ソバット」「ドラゴンスープレックス」はとても価値ある情報です。
・ 一度「関係フレーム」の学習プロセスが導入されると、たった1つの基本プロセスだけで刺激同士が関係づき、自由に、勝手に派生して学習が成立する(「相互的内包」、「複合的内包」)
・ 刺激同士が関係づき、自由に、勝手に派生して学習が成立したのち、「関係フレームづけ」されると刺激と別の刺激の意味が変わることがある(「刺激機能の変換」)
・ 人間は意味のない言葉に対して「自由」に意味づける(関係フレームづける)ことが可能ですし、また望んでなくとも「勝手」に意味づいてしまうということが生じる(刺激同士の関係づけは恣意的に適用可能)
これが「関係フレーム理論」の根幹だと今、私自身は考えています。
さいごに
本ブログページでは「関係フレーム理論」について簡易的に書いてみたのですがいかがだったでしょうか?
本章1つ前のページを読んでいただいて「難しいなぁ」と思った方が「あー関係フレーム理論、なんとなく分かったわ」って今回のブログページで思っていただけたとすれば、それはとても嬉しいことです。
さて本章は「ABA:応用行動分析学の言語行動」の章で8つ目のブログページですが、
本章で一番最初のブログページである、
「ABAにおける言語行動、イントロダクション:おまけ【B.F.Skinnerの提唱した言語行動とチョムスキー】(ABA:応用行動分析学の言語行動1)(https://en-tomo.com/2023/11/03/introduction-of-verbal-behavior-in-aba/)」では以下のようなことを書きました。
ABAでの言語行動の発展をざっくりと2つに分けるとすれば、
1、ABAに多大な貢献をしたB.F.Skinnerの提唱した言語行動
からの、
2、その後に登場した関係フレーム理論(以下、RFT:Relational Frame Theory)
の2つの流れを汲んで現在、発展をしていると私は思っています。
ということを書きました。
次のブログページではルール支配行動の「プライアンス」と「トラッキング」と「オーギュメンティング」という3つの分類を見て行くのですが、これらは、
「2、その後に登場した関係フレーム理論(以下、RFT:Relational Frame Theory)」で考え分類されているルール支配行動です。
これらは「1、ABAに多大な貢献をしたB.F.Skinnerの提唱した言語行動」以降のルール支配行動の用語となります。
「関係フレーム理論」で考えられているルール支配行動「プライアンス」と「トラッキング」と「オーギュメンティング」とはどういったものか、本章次回のブログページも是非ご覧ください。
どうぞよろしくお願いいたします。